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桜の木の下で(6)
暗転
[場所:公園、桜の木の下]
明転
[春美]:「はあ、疲れた……相変わらず、あいつらと一緒にいるのは骨がいるな。たまにこうして抜け出さないと、体がもたないな…」
春美、桜の木を見上げながら。
[春美]:「……今日も、咲いてないか」
春美、そのまま桜の木をじっと見つめる。
[杏花]:「桜の木が好きなの?」
[春美]:「ん?」
春美、辺りを見渡す。
[春美]:「気のせいか……」
[杏花]:「ねえねえ、桜の木が好きなの?」
[春美]:「何だ? 声が聞こえてきたような……」
[杏花]:「あれ、聞こえてないのかな? 春美お兄ちゃ~ん!(大声で)」
[春美]:「…………っ!」
春美、肩をびくっとさせる。表情は同じだが、確実に驚いている。
春美、ゆっくりと後ろを振り返る。