ヘスティア先生の解説。その4
『うう・・・緊張して来ました。凄く緊張して来ましたよ~』
女神アテネに「大丈夫だから!三龍王も居るから!』とか強引に言い包められて魔法世界の管理に赴いて来た女神ハルモニア。
考えて見れば自分は箱入り娘で外界に出るのも今回が初めてなのだ。
「あー行きたくないぃいいい」とか思いつつフラフラノロノロと時間を稼ぎつつ外銀河宙域を飛ぶ。
そして魔法世界の惑星がある太陽系へと近づくと・・・グィーン!
『ふえええええええーーーー?!?!何ですかこれーーーー?!ああー?引っ張っちゃ嫌ーー!!』
突然悲鳴を上げる女神ハルモニア。
突如として途轍もない強大な神力に捕まり自分が行こうと思う方向とは全然違う方向にドンドン引き寄せられて行くからだ。
『なんですか!誰ですかー?!こんな強引な事をするのはー?!やめなさーい!!』
これは女神ハルモニアがヘスティア先生の「他者との邂逅」の射程圏内に入ったからである。
女神アテネの強引な神事により「かわいそうなハルモニアちゃん」の前提条件がクリアされて無事に「他者との邂逅」が発動したのだ。
こうなればもはや出会いは必然!向こうの都合など完全無視の力技で対象を連れて来てしまうのだ。
いや・・・わたくしが想像してたのとなんか違う・・・邂逅とか、なんかドラマティックな出会いとか期待するじゃん?
これじゃ出会いと言うより強制連行・・・つまる所で拉致じゃん?
そんな事を言ってる間に手足をバタつかせながら魔法世界の大気層へ突入する女神ハルモニア。
『もお!いい加減にしないと怒りますよ!ああ!ごめんなさい嘘です!怒らないからやめて下さーい!』
女神ハルモニアも頑張って全力で抵抗しているが何せ引っ張ってる相手は「オクドアド創世八神の母神様」である。
見習いパシリ女神ハルモニアとは比較にならないほど神力に差があるのだ。
抵抗も虚しくヘスティア先生の元へと連行される女神ハルモニア。
ヒューーーーン・・・ポスン・・・
地表に近づくとブレーキが掛かり何か硬くてスベスベしている場所にソフトタッチに到着した女神ハルモニア。
「女神様ようこそ!ここが魔法世界です!」である。
「「あらあら?女の子が空から降って来ましたよ〜』
女神ハルモニアの頭の上から可愛いくて思わず脱力する声がする。
『???????!?!?!?!ふえええええええーーーー?!?!』
女神ハルモニアが見上げると目の前には巨大な龍が居るじゃありませんか!
ヘスティア先生の見た目は割と厳ついので女神ハルモニアが驚くのも無理はない。
『な?なななななななな????』
「「あら?あらあら?まあまあ?もしやお嬢様がハルモニアちゃんですか?」」
どうやら女神ハルモニアはヘスティア先生の手のひらの上へと着地したらしい。
しかしこれが出会い・・・だと?直接見たがやはり拉致にしか見えん・・・
『あなたはどちら様ですかー?!』
「「申し遅れましたね、私はヘスティア。岩琰龍ヘスティア先生と申します。はじめましてハルモニアちゃん」」
『???ど・・・どどどどどうして私を知っているんですか?・・・・!!!まさか食べる為に狙われた?!美味しくない!多分、私のお肉は美味しくないと思いますよぉ?!』
・・・でも結構美味しそうなんだよなハルモニアちゃんって・・・年齢に似合わず胸周りにも適度なお肉も付いてて・・・全体的にも柔らかそうで。
調理とかしないで薄く捌いて刺身で醤油を付けて食べて見たいです。・・・・・ごめんなさい嘘です。
幾らマッドサイエンティストのわたくしでも食神欲求なんて持ってませんよ?本当です。
「おお?こちらの方がハルモニア様ですか?
我・・・私は地龍王ベルリンの息子のクライルスハイムです」
丁度、次の授業についての話し合いをしている時に女神ハルモニアが降って来てクライルスハイムも人の姿のままだ。
『あ・・・はい、どうも』
地龍が何で人間の姿なの?と不思議に小首を傾げる女神ハルモニア。
「「まま、落ち着いてハルモニアちゃん。先ずは深呼吸からですよ。
先生はハルモニアちゃんを食べたりしませんから安心して下さい」」
『本当ですか?食べない?』
「「うふふふ。先生は嘘を吐きません!」」
でも割と冗談抜きに神族同士の争いでは抗争相手を食べてしまう事例が往々にして多い。
敵を自分の胃袋に収めてから相手の能力をゆっくりと消化吸収する為にですね。
旦那様に頭からパックンチョっと丸齧りされ胃袋に収監されたわたくしが言うのですから説得力がありますでしょう?エヘン!
ちなみに神が神に食べられて相手の胃袋に入れられたと言っても肉体が消化される訳ではありません。奪われるのは能力とか神力とかの方ですね。
なので禁固刑において囚人の能力を奪う高位神の胃袋に収監されるのは意外と理に叶ってるんですね。
「「そうだ!気晴らしにお歌などはどうですか?」」
『歌?・・・ですか?』
神力を乗せ可愛いらしい声で童謡を歌い警戒心マックスのガクブル状態の女神ハルモニアを宥めるヘスティア先生。泣く子、怒る子を静めるにはお歌が1番なのだ。
『うー?』
そして自分の神眼でヘスティア先生を見て邪悪な存在ではないと分かったのか次第に落ち着いて行く女神ハルモニア。
『う〜ん???』
そして大いなる母神の子守唄にあてられたのか女神ハルモニアはウトウトコテンとヘスティア先生の手のひらで眠ってしまう。まだまだ子供な女神ハルモニアでした。
まあ、いきなりの現場で仕事をしろと言われて不安と緊張のせいで疲労もピークだったんだろうね。
「「うふふふふふ。可愛い」」
余談になるが女神ハルモニアはヘスティア先生の直系の子孫にあたる。
ハルモニアの系譜を上に辿って行くとティーターン神族のオーケアノス神に辿りつく。それからまた系譜を辿るとオグドアド創世神に辿り着くのだね。
ヘスティア先生もハルモニアから自分由来の何かを感じとったのか眠るハルモニアに対して生徒とは違う愛着を覚えるのだった。
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『・・・・・・・・・・・・・・・はう?!』
魔法世界へ赴任早々に寝落ちした女神ハルモニアが目を覚ます。
うぬ?!か・・・身体が動かん?!金縛りか?!とか思ったら単に最近海龍王となったアメリアが自分の上に乗っかっていただけだった。
『あの?海龍さん?結構重くて私は潰れそうです。起きて下さーい?』
まだ成長中の海龍王アメリアはヘスティア先生よりかなり小柄と言えど現在の体長40m、体重120tである。
そんな海龍に上に乗られると女神と言えどもさすがに苦しい・・・おーい?起きてー?とアメリアの身体を揺するとピクンとアメリア反応する。
「「・・・・・ふわぁああ?おひょうほはいますぅ」」
ヘスティア先生の手のひら上で器用に寝ていたアメリアが欠伸をしながら目を覚ます。
『はい、おはようございます』
この時なぜ海龍王アメリアが女神ハルモニアの上に乗っかっていたのは「寝ているハルモニアを見ているとなんか無性に龍の姿でハルモニアの上に乗っかりたいとの強い衝動に駆られた」かららしい。
この強い衝動とは海龍王アメリアを産んだ女神ティティスの力の根源によるものだ。
女神ティティスの神獣なので弱っている神を見ると保護して救済をしないと気が済まないのだ。
乗っかると言うよりは眠って無防備だった女神ハルモニアを自分の身体で隠して守ってたんだね。
この警戒モードに突入した海龍王アメリアはマジでヤバい。
激おこ状態の猫のお母さん状態だ。近づくと思い切り噛み付かれるぜ?
例え同じ龍王の地龍王クライルスハイムや天龍アメデであっても保護対象の女神ハルモニアに少しでも近づこうとしようものなら「「ガルルルルルルルルルルル!!!」」と牙を剥いて唸り本気の威嚇しまくるのだ。
海龍王アメリアの凄まじい剣幕に誰も女神ハルモニアには近づけなかった。
そしてヘスティア先生も自分の手の上にアメリアが乗っかって来たので一歩も動けなかった。
真なる天然と言えど海龍が自分の手の上に乗っかって来るなど初めての体験だった。
「「とても良い筋トレになって先生もビックリです!」」
片手で120tもある海龍をもったその状態でピクリとも動かず3時間も同じ体制をキープしたヘスティア先生の筋肉も凄いですね。
「「はじめてアメリアの事を「怖い」と思ったよ・・・ありゃもう野獣だな」」
警戒モードの海龍王アメリアを思い出して天龍王アメデもドン引きしている。
「「え?わたくしはそんな感じだったの?!」」
アメリアは警戒モード中の自分の事をあんまり覚えていないらしいね。
「「こっわ!アメリアこっわ!」」「「野獣のアメリアが怖いわー」」
アメリアを揶揄う良いネタが出来て実に嬉しそうなシーナとラーナの天龍姉妹。
余談になりますが同じ海の神様と言えば海王ポセイドンなどが有名だが実際に本気で喧嘩をすると女神ティティスの方が強かったりします。
そしてアメリア本人も知らない事だが海龍王アメリアは、神話時代に女神ティティスと大喧嘩をした海王ポセイドンをぶん殴って気絶させた女神ティティスの眷属、「巨人族のヘカトンケイルのブリアレオース(別名アイガイオーン)」の現し身(分身体)でもあります。
なので本気で戦うと三龍王の中でもアメリアが物理的な力で一番強いと思われます。
遠い未来に膝蹴り一発で自分の息子を宇宙空間にまで蹴り飛ばす・・・なんて事があるかも知れないですね。
「「まあまあ皆さん。ハルモニアちゃんも起きた事だしヨシとしましょう。
改めましてハルモニアちゃん、魔法世界へようこそ!」」
『あ・・・ありがとうございます。私はハルモニアと申します』
こうしてパシリ女神ハルモニア様の魔法世界デビューは「寝落ち」から始まったのだった。
次回のヘスティア先生は・・・まだ未定です。
次回の予定は「女神ハルモニアちゃん」についてかな?




