12話 属性
特に深い意味もなく発言した言葉だった。
だが、コメント欄を見る限り何かやらかしたらしい。
コメント
・殺す殺す殺す
・お前闇の神の信徒だろ
・死ね死ね死ね
急に配信に現れて荒らしを始めた『光の信者マン』とかいう名前の人物を、俺はたまらずブロックする。
「えっと……え、何今の?」
コメント
・まあその。うん、なんていうか光の神を信仰してる人って過激なんよね
・ていうか排他的っていうか
・え、ワイもガチで困惑したわ
・なんかまずいん?
・てか今の発言にキレる要素あった?
コメントの様子を見る限り、やはり俺と同じで何が起爆剤になったのか理解していない人が多いようだ。
「え〜?? んー、まあ適正を見る限り確かに俺は光の神に嫌われてるんだろうけど、別にその信徒にまで嫌われる?」
コメント
・そういう人たちだから
・仕方ないね
・まあでも対応早くて良かったよ
まあ素早くブロックしたので、被害は防げたが。
しかしこれを見る限り光属性についてはあまり触れないのが吉だろう。
「でも俺一人じゃ対応しきれないくらい荒らしが来ることもあるだろうから、その時の対応も考えとくよ。みんなが嫌な気持ちにならずに配信を楽しんでくれることが一番だからさ」
そうこうして、雑談を続けること約一時間。
この間に魔力が一割ほど回復したこともあり、俺は次の特殊部屋に向かう為、部屋を出ることにした。
「よし。魔力は今四分の三くらいまで戻ったかな。じゃあ改めて探索行きますか」
配信に向けて話しつつ、ダンジョンへ再び探索に行く。
早速ゴブリンを狼らしきモンスターを見つけたので、火魔法を放って倒す。
「結構サクッと倒せるようになったよなぁ」
【コメント】
・そういえば火ばっかり使ってるけど、属性って合計でいくつあるの?
ふと流れたコメントに俺は目が止まった。
「あー、属性の数か。まあ普段あんまりダンジョン配信とか見ない人は知らないこともあるよな」
魔法の属性は合計で八つある。
内訳としては火、水、風、土、光、闇、無、支配の八種だ。
それぞれの属性を司る神がいて、俺たちは基本的にその神のうちの誰かに祝福されて魔法に目覚める。俺の場合は確か支配の神に祝福されたはずだ。
また、魔法には自身が祝福を受けた神の属性が一番長けやすいという特性がある。なので俺の場合は支配の属性に才能がある筈なのだが、便利だから火魔法ばかり使っているところがあった。
と、そのような内容を改めて視聴者に向けて説明しつつ、探索を進める。
コメント
・ほえー
・ツーシーは支配魔法使わないん?
・でも実際、火魔法は本適正じゃない割に上手いよな
・まあチョッチ強火な性格ではあるし、火の神には好かれてそうではある
「んー、せっかくだし色んな属性の魔法を試しながら進んでみるか」
俺は最早単純作業となっていたゴブリンの丸焼きを終えてそう呟く。
検証するとしたらまずは水だろうか。
火魔法は激情を糧とするが、その対極として水魔法は静けさを糧とする。
「『水球』」
現れた新たなゴブリンに水魔法を放ってみる。
するとサッカーボールほどの水の塊がゴブリンに飛んでいき、直撃した。
水を被ったゴブリンはよろけて、水を鬱陶しそうに払っている。
「んー……微妙だなぁ」
俺は比較として同じ構築方法で『火球』を放つ。
バランスボールくらいの大きさのそれはあっという間にゴブリンを飲み込んで倒した。
サイズ的には火魔法の三分の一くらいだろうか。
水の適性は薄そうだ。
それから暫く探索もかねて様々な魔法の属性を試した。
その結果分かったことがいくつか。
まず水の適性は、やはり低めのようだ。火魔法の三分の一ほどの出力しか出ない。
次いで風。これは普通くらい。特訓したら使えるレベルだろう。
そして土。火魔法ほどではないが、適性ありといったレベルだ。中々使えそうである。
火魔法は語るまでもない。
で、少し特殊なのが闇だ。
光属性の適正が低いと闇の適性も高くなりがちなのだが、意外にも闇属性の適性は低めだった。光属性は相変わらず低いし、どちらにも適性がないのは中々珍しいらしい。
以上の六つが俺の適性に関する情報だ。
無属性には適正という概念はないし、誰でも使えるし誰でも特訓すればするほど伸びる。
そして支配属性なのだが、そもそもこれだけやや特殊な属性だ。
他属性は適性の低さはあれど誰でも少しは使えるものだが、支配属性は適正がないと全く使えない属性だ。それゆえ使い手が少なく、情報も少ない。
だからか、基本的に手探りで使える魔法を発見しなければならないのである。
「支配属性がなぁ……支配に関連したもので作れる魔法か。なんかあるかぁ?」
例えば相手の魔法を自分のものにしたりとか?
んー……試してみないと分からないよなぁ。
【コメント】
・気づいたら結構な時間配信してるよな
・もう夜だぞ
・丁度四つめの特殊個体も討伐したところだし、そろそろ寝たら?
・ていうかこのペースだと明日には一階を踏破出来るのでは?
・いやいや流石に階層主の攻略には手こずるだろうし、まだ分からんよ
「……お、もう夜なのか。確かに若干眠気がある気がする。ダンジョンの中にいると時間感覚が分からないよな」
【コメント】
・もう配信は切るん?
・寝顔見たいから配信つけといてよ
「いやいや、流石に一回切るよ。枠も立て直したいし。じゃ、また明日の7時ごろに立て直すから。みんなおやすみ」
【コメント】
・おやすみ〜
・おやすみ〜
・あ、チャンネル登録者五十人おめ




