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11話 勝利の余韻


 それから魔石を拾い上げた俺は、チラッと自分の配信を改めて確認する。

 

 同接数、二十五人。そういえば激しい戦闘をしていると、サジェストに乗りやすくなるという話を聞いたことがある。もしかしたらその効果があったのかもしれない。


 そして嬉しいことにチャンネル登録者が三十人に増えている。

 

「さて……みんな、さっきは怒鳴って悪かったな」


 だがコメント欄はどうか。

 有り体に言うと、若干荒れていた。


コメント

・うおおお!!

・見直した、すげぇ

・なんだこいつキモっ

・かっこよかった

・死ね死ね死ね

・感動した


 大体七人くらいがコメントをくれている中、うち二人ほど荒らしている奴がいる。


「はい言論統制っと」


 俺はそういった連中をブロックし、コメント欄の治安を回復させる。

 こう言った連中が暴れると応援してくれる視聴者を嫌な気分にさせてしまう。害はあっても利がないのでブロック一択だ。


 なお俺に肯定的なコメントをくれる人たちの中には先ほどまでネガティブな事を言っていた連中もいる。だがそういう人たちはブロックしない。今、手のひらを返して応援してくれるならそれで良い。


「ごめんみんな、ちょっと荒れてたね。応援してくれた人も、俺が見返せた人もみんな見てくれてありがとう。俺はさ、何事も無理だなんて決めつけなくて良いと思う。だからそれを証明するために、絶対今回中にこの階層を踏破するよ。それをみんなに見てて欲しい」


コメント

・私は応援してるよ

・うんうん

・頑張って

・勇気貰えた

・できる出来ないじゃなく、俺もツーシーに挑戦してほしい

 

 戦闘が終わったからか、同接は十五人ほどまでに減っている。

 けれど変わらずコメントをくれる人たちがいて、画面の向こうで俺を見てくれている人たちがいる。そう思うと、胸が熱くなった。


「そっか……ありがとうみんな。せっかくだし、すこし休憩がてら雑談でもしよっか」





 リュックの中を開けながら、俺は特殊部屋の床に腰を下ろした。

 五百ミリの水が三本、チョコバーが十本ほど。他には一応懐中電灯と腕時計がある。


 早速水を開けつつ、水分を流し込んだ。


「んじゃあ、ちょっと魔力の回復もかねつつ三十分くらい休憩するわ。みんな、なんか質問とかある?」


コメント

・ツーシーって学校行ってんの?

・魔法の素質って、どの神に与えてもらった?

・引きこもりの理由って何?

・配信のサムネ変えないの?

・彼女いる?


 パッと拾えるだけでも様々な質問が投げかけられている。

 そのうちのいくつかを拾って答えた。


「引きこもりだから学校は行ってないよ。もう半年くらい不登校かな。魔法の素質は……確か、支配の神に与えられた筈。まあ支配属性の魔法は情報が少なすぎて、全然試せてないんだけどさ。配信のサムネは用意してなくて。変えれるなら変えたいんだけどねぇ」


 雑談パートに変わる、と宣言したからか同接は十八人にまで減った。

 しかし数分ごとにチャンネル登録者が増えてるし、同接の動きやコメント欄に書き込んでくれている人を見てもそこそこ視聴者は入れ替わってそうだ。


 配信開始から継続的に居てくれている二人の視聴者を除けば、数分ほど離脱したりしている人もいるようである。


 まあ今日は日曜とはいえ、今はお昼時くらいの時間帯。ずっと俺の配信を見て居るわけでもないし、そんなもんだろう。


コメント

・あの……アイコンとサムネ作ってみたんですけど、ソレイッターで送っても良いですか?


 しばらくトークを回していると、ふと一人のコメントが目に止まった。

 俺は話していた好きな食べ物の話を止めて答える。


「あ、サムネとアイコン? え、一回送ってよ、見てみたい!」


 そう言いつつ、俺はソレイッターを開き、DMの欄を確認する。

 すると仕事が早いのか、見覚えのある人からサムネとアイコンが送られてきていた。


 この人は確か俺の配信に来てくれた二人目の視聴者だ。ペンタブのアイコンだしずっと応援してくれているから、印象が良くて覚えている。それとどうやらその人のソレイッターの詳細を見る限り、イラストレーターらしい。


「え、これ? めっちゃ良いじゃん、ちょっと使わせてもらっていい!?」


コメント

・是非是非

・有能視聴者がおる

・どんなのなんや?


 アイコンとサムネを変更すると同時に、配信に送られてきた画像を表示させる。

 映ったのはお洒落なフォントで『2C』という文字が彫ってあるドアのイラスト。これがおそらく俺のアイコンだ。そして俺の身体が映った画像の上にフォントで配信タイトルである『家から一切出ずに始めるダンジョン配信者道#1』が書かれたサムネ。


 シンプルながら分かりやすいデザインで、ダンジョン配信者感がある。


コメント

・おー

・悪くないじゃん

・急造感があるのは許してください>_<

・初期サムネよりは全然マシよ


「いやー、視聴者が有能で嬉しいね。あれ、そういや切り抜きしてくれるって言ってた人いる?」


・ソレイッターにポストしといたよ

・あ、それ流れてきた

・『ツーシーの切り抜き』ってハッシュタグ出来てたな

・この人テロップ付きの一分くらいの短い切り抜きをもう三個くらい作ってるんだけど、どうやってん

・職人おって草


「なんかみんな俺のところに集まりすぎじゃない? 今配信のアナリティクス見たんだけど、合計で百人くらいはこの配信に来てるっぽいよ。しかもその四分の一くらいがチャンネル登録してくれてるし」


コメント

・でも初配信だと意外とそんくらい集まるよ

・二回目以降から大変になるね

・俺はサムネ見て、若い探索者じゃん珍し、って思ったら十五歳でビビってる

・初配信の割には落ち着いてるし、なんか特別トークが面白いってわけでもないけどダラダラ見てられる


「あー、一応ね途切れずに喋り続けることだけは意識してるかな。後、音を結構大きめに聞こえるようにしてる。結構ダンジョン配信オタクだから分かるんだけどさ、離脱しちゃう人の配信って根本的にこれが問題って場合あるしさ」


コメント

・へぇ

・なんかこれ見てると俺もダンジョン入ってみたくなるよな

・魔法あるってどんな感じなん?

・そういやツーシーって火魔法ばっか使ってたけど、結局何属性が得意なの?


 コメントを呼んで、俺は唸りながら思案する。

 自分の得意属性かぁ……。


「んー、実際よく分かってないんだよね。支配属性はこれから検証するとして、俺の気質的に火魔法とか後土魔法は得意よりだと思う。他はどうだろ……あ、そういや知人に言われたんだけどさ。俺って多分、光の神に嫌われてるんだよね。めっちゃ適正低いもん。ていうか俺なんかしたかなぁ……光の神が良く分からんすぎる」


コメント

・あっ

・光の神のネガキャンはまずい

・え、なんかまずいの?

・……お前、光の神の敵か?

・殺す殺す殺す殺す

・あ、来た

・ちょっツーシー!!


「え、俺なんかやらかした……?」

 



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