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雪の降る国

「お父様、今なんとおっしゃいましたか?」震える唇をやっとの思いで思い通りの形に動かす。

「お前を隣国に人質として差し出すことになった。3度は言わない。今すぐ支度をしろ。」震える手を握って、何も言えずに私は立ちすくむ。寒さが故か絶望が故か、その日はやけに体が震えた。



「……朝。」どうやら私は昨日泣き疲れて寝たらしい。瞼が腫れている。

「フィフィアーナ。お湯を持ってきてくれない?」一言声をかけるともう部屋で待機していたらしいメイドのフィフィアーナがちょうど良い温度のお湯を持ってきてくれた。

「……このネヴィカーレ王国において唯一王の血を引かれた女性であるフィリア・ネヴィカーレ王女殿下ともあろう方が敵国である隣国に人質としていかれるだなんて。それにあなた様はまだ14歳という若さ。私、今回ばかりは陛下のことを許せそうにありません。」

「フィフィアーナがそう言ってくれるだけでなんか気持ちが楽になったよ。」悴んだ手を温めながら言う。

「このフィフィアーナ、あなた様に許していただけるなら隣国について参ります。」

「……フィフィーはこの国の公爵令嬢でしょ?ダメだよ。私、フィフィーには幸せになって欲しい。それに公爵家はどうなるの?」

フィフィーにはシュアンヒーという今は留学中の14歳の弟がいる。まだ公爵夫妻は健在だが戦争によって公爵は左目と右足を失ってしまったらしく、公務を行うのが難しいらしい。そろそろ代替わりと噂されている。シュアンヒーが成人の16歳になるまでは現在16歳のフィフィーが代理をやるはずだった。

「父にはあと3年頑張ってもらいます。大丈夫。私の父は強いので。むしろ私が殿下を置いてのうのうとこの国で生きていくことの方が怒られてしまいそうです。なので着いて行かせてください。あなたに永遠の忠誠を誓います。」フィフィーは公爵令嬢だからこんなことをしなくても生きていけるのに、こんなにも私のことを愛してくれている。溢れ出そうな涙をなんとか抑えながらフィフィーの手を握る。

「ありがとうフィフィー。あなたと私はこれからはもうお友達。対等な立場。お互い初めて出会った時みたいに敬語無しで喋ろうよ!」

「えぇ。リア、これからもよろしくね。」

ひと段落話がついてから私は荷造りを進めた。

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