表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生してエルフのお姉さんにお世話になったら激重感情抱かれてた  作者: 火海坂猫
二章 不純愛編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/99

十七話 慣れてないことはするものじゃない

 人間誰しも他人に嫌われるような言動は基本的にしないものだ。前世での経験を含めても僕は誰かを罵倒ばとうしたような覚えはない。だからいきなり他人を罵倒、しかも嫌われ過ぎない程度のものと言われても本当に困る。


「アキ、とりあえず適当に言ってみたら?」


 押し黙る僕に焦れたのかマナカがうながしてくる。適当に、と言われてもそれで憎むほど嫌われたら冗談では済まないので慎重に行きたいのだけど…………しかし時間に余裕がないのも確かなわけで、とにかくやって見て考えようというマナカの物言いももっともでもある。


「ええと…………この馬鹿」

「おい、この男物凄く可愛いぞ」


 思わず素を漏らしたようにタカナが感想を呟く。


「アキが可愛いのはわかるけど好意を持っちゃ駄目でしょうが…………というか適当にとは言ったけど適当すぎない?」

「…………ごめん」


 呆れるようなマナカの視線に僕はちぢこまるしかない。いくらなんでも他に言葉の選びようはあったと自分でも思う。


「それじゃあええっと…………この不細工?」

「なんで疑問形なのよ」

「いやだって不細工じゃないし…………」


 容姿をけなしてみようと思ったが、タカナは普通に美人と思える容姿をしている。事実と異なる罵倒というのは僕にとっては難しいものであるらしい。


「私の好感度が下がるどころか上がりそうなんだが、これは嫌がらせか?」

「ちょっと耳塞いで待ってなさい」

「手が拘束されてるんだが」


 冷静に突っ込みを入れるタカナだったが、マナカは聞こえていないように僕へとその顔を具と近づける。


「あのね、相手をけなせないにしてもやりようがあるでしょう…………まずあんたは自分が好かれてるってことを自覚しなさい。それであれば容姿を責めるにしても自分の好みじゃないっていうだけでもダメージになるでしょうが」

「…………なるほど」


 美人ではあるが好みではない。ただの他人に言われれば何も感じないかもしれないが、意中の相手に言われればショックではあるだろう。


「あなたの顔は僕の好みではないです」


 タカナの容姿をけなしているわけではないからか、すんなりと言葉が出た。まあ実際にタカナは美人だとは思うけれど、僕がそれで彼女にかれたといえばそうでもない…………それを考えると方便でもない事実なのかもしれなかった。


「ぐっ」


 しかしそれを聞いたタカナが不意に唇を噛んだ。血が滲んでいるのを見るとかなり強く噛んでしまったのだろう。


「え、あ、いきなりどうしたんですか!?」

「…………これは確かに効くな」


 何かを堪えるように顔をしかめてタカナがマナカを見る。


「効いたの?」

「ああ、効いた…………しかし純粋にショックだっただけだがな」


 ショックは受けたが僕への好感度には関わらなかったらしい。


「ところでなんでお前の顔色まで悪い」

「…………いやなんていうかアキの言葉に真実味があって私にも響いたというか」


 不安げな表情でマナカが僕を見る。


「もしかして私もアキの好みじゃないの?」

「…………そんなことは、ないよ」


 相手に対するときめきが好みかどうかの反応であるとしたら事実ではあるのだが、流石にそれをここで口にするほど僕も無神経ではなかった。


「ねー、アリサ暇なんだけど!」


 深く追及されたら困るところだったけれど、そこにアリサが口を挟んでくれたおかげで話題がそれそうだ。彼女を落ち着かせるためとマナカはタカナと一緒にアリサを縛ったけれど、今のところ彼女はただ座らせられているだけだったので退屈なのも無理はない。


「あ、そ。じゃあ次はあんたの番ね」


 告げてマナカは僕を指でしゃくる。


「いいの?」

「いい薬よ」


 僕への感情に抗おうとしているタカナと惹かれるままに振舞っているアリサでは受ける衝撃も異なるだろう。それもあって確認したのだけれどマナカはむしろだからこそやれという返答だった。


「やって」

「…………わかった」


 正直躊躇いはあるがアリサにはもう少し落ち着いて欲しいというのも確かだったので、僕は彼女の前へと移動する。


「お兄ちゃん?」

「アリサ」


 まっすぐその顔を見つめて僕は口を開く。


「僕はアリサのことが女性としては好みじゃないんだ」


 それは僕の本音でもあった…………なにせ彼女は子供だ。アリサのことは嫌いではないけれど、そういう対象として見ることはない。


「ひ、ひどい………ひどいよ、お兄ちゃん」


 一瞬でアリサは涙目になった。


「え、ええと別にアリサのことが嫌いなわけじゃないから!」

「嫌いじゃないけど好みじゃないの?」

「そうじゃなくて! ええとほら、嘘だから!」

「本当?」

「本当!」


 泣きそうになる彼女に僕はぶんぶんと頭を振る。


「アキ、へたれすぎでしょ」

「いやだって…………しょうがなくないかな?」


 呆れるように見られるが、本気で泣かれそうになれば焦るに決まっている。


「そうやって甘いから調子に乗るのよ?」

「それはわかってるけど…………」


 だからって冷たくするのは僕には無理だと今悟ってしまったのだ。


「はあ…………根本的にアキの意識改革から必要かもしれないわね」


 大きくマナカが息を吐く。


「まあでも今はバランスを考えるとそれくらいがちょうどいいかもしれないわ」

「ええと…………」

「セリフは私が考えるから、アキは棒読みでもいいからそれを二人に向けて言って」

「…………それでいいの?」

「今日はそれくらいでいいことにするわ」


 初日であるし控えめに行く方向でマナカは妥協したらしい…………正直僕としてもその方が助かる。やはり嫌いでもない相手を罵倒するのは難しい。


「じゃ、とりあえずいくつか言うから耳貸して」

「うん」


 僕は言わるままにマナカに近づく。


 そして彼女の罵倒のバリエーションの多さを知った。


 お読み頂きありがとうございます。

 励みになりますのでご評価、ブックマーク、感想等を頂けるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ