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異世界転生してエルフのお姉さんにお世話になったら激重感情抱かれてた  作者: 火海坂猫
二章 不純愛編

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七話 問題がないわけがない

「それじゃあ、問題がないようなら今から連れてくるわ」

「えっと、ここに?」


 僕は思わず尋ねる。それ自体が問題であるように僕には思えた。


「町長さんの屋敷を借りて会うんじゃ駄目なの?」


 それが無難じゃないかと思うのだ。僕の家では色々と問題がある…………主にイリーナさんとかノワールさんとか。


「それには二つ問題があるわ…………一つはアキが町に行かなければならないということ」

「う」


 どれだけ気を付けても人間のやることである以上完璧にはならない。どれだけ僕が町人に見つからないように赴いてもアリサと同じようなことが起こらないとは断言できない。そしてそうなればマナカの友人と会っている状況ではなくなってしまう。


「…………もう一つは?」

「万が一の事態の時に町で暴れるわけにはいかないでしょ」


 つまりその場合は自分と同じ事が起こる可能性が高いとマナカは判断しているのだ。


「ええと、それなら町から離れた開けた場所とかじゃ駄目なの?」


 何も話をするだけでなら家の中にこだわる必要もないのではないかと思う。町からも僕の家からも離れた場所で話をしても問題ないはずだ。


「タカナは私の友達なのよ…………流石にそんなに相手を信用してませんなんて態度はとれないわ」

「あー、それは確かに……………」


何もない空き地に案内は流石に露骨過ぎて相手だって気づくだろう。


「でもここだとイリーナとノワールさんが…………」

「それに関しては元々話すつもりだからいいのよ」

「え」


 僕は驚く。


「でもイリーナのことは話してないんだよね?」

「イリーナに関しては先に説明するより直接見せた方がいいと考えを改めたわ」

「…………それはどうして?」

「話で聞くだけだと受け入れがたいけど、彼女に関しては直接見れば納得すると思わない?」

「…………それは確かに」


 話で聞くなら荒唐無稽でしかないだろうが、直接イリーナの無垢な様子を見れば嫌でも納得するだろう。先に話して下手に警戒させるよりは確かにその方がよさそうに思える。


「じゃあノワールさんのことは?」

「この島に来た時点でその実力はばれてるんだもの…………タカナが爆弾を突つくような馬鹿じゃないことを願うしかないわ」


 ある程度実力のある人間であればこの楽園が維持されている異常さはわかるらしい。つまりマナカの友人がこの島に来た時点でそれだけの実力を持った存在がこの島にいることはわかるのだ。


 後はその機嫌を損ねてまで勧誘しようとするかどうかであり、マナカは自分の友人がそこまでの馬鹿じゃないと考えているのだろう。


「どうせ連れてくるならあんなに警戒しなくてもよかったんじゃないの?」

「…………しょうがないでしょ、あの時はいきなりで焦ったんだから」


 アリサの指摘にマナカは憮然とした表情で答える。実際結果だけ見ればその通りではあるのだけど、マナカとしては僕らに会わせることなく友人を納得させることができるのが理想だったのは間違いない…………可能性は低くともとりあえず足掻いてはおきたかったのだろう。


「とりあえず、連れてくることに反対は無いわね?」

「私は反対! 面倒だしライバルがもし増えたら嫌だし!」

「うー!」

「却下。あんたもタカナと顔合わせる必要があるんだからちゃんと行儀良くするのよ」

「横暴だー!」

「だぁー!」


 アリサとイリーナが喚くがマナカは無視しで僕を見た。


「構わないわよね」

「まあ、うん」


 不安はまだあるが僕は頷くしかない。


「何事もなく済むと、いいわね」


 そんな僕の心境を代弁するように呟いてノワールさんが微笑む。


 本当に、心の底から僕はそう願った。


                ◇


「お待たせ、話は付いたわ」


 アキ達の了承をとって私は町長の屋敷で待たせていたタカナの元へと戻った。


「ようやく君の麗しの相手と顔を合わせられるのだね」

「…………本当は会わせたくないのよ」

「未だにそこが信じられないんだけどね、私は」


 自分の力で正しいとわかっていても信じられない…………気持ちはわかる。人間感情というものはそんなに単純じゃない。私だって同じ立場なら信じてないだろう。


「わかっていると思うけど」

「ああ、君の思い人を会う相手を不快にさせるような真似はしない…………元より私はそんなに礼儀知らずじゃないんだけどね」

「それはわかってるけど念の為よ」


 釘はどれだけ刺しておいたって無駄ではない。


「私が洗脳されていないっていうのも改めて確認しておきなさいよ?」

「そこまで言われると逆に怪しく感じるんだけどね」


 タカナがやれやれと言ったように肩を竦める。


「いざという時に冷静さを保つためには必要だと思うのよ」

「その辺りが私にはどうも理解できないのだよね」


 タカナは困ったように眉を顰める。


「仮に私がその件のアキ君に惹かれる条件を満たしていたとして、私にはその湧き上がった感情を制御する理性がある…………自分が人一倍冷静な方だと私は自負しているよ」

「それは私だって同じよ」


 だからこそあの時私は洗脳を疑ってしまったのだ。


「私なんか自分の冷静さを固定していたのよ?」

「それこそ信じられない理由の一つでもあるのだがね」


 私の固定の力はタカナのそれと同じく神様から与えられたチート能力だ。それこそ神様から直接与えられたものだけあってこの世界の魔法では再現不可能であったり威力が桁違いだったりと規格外だ…………それが何の力を使うでもなく当人の魅力それだけで貫通したというのだから信じられないのも無理はない。


「あんたも恋人ができたんでしょう?」

「出来たからこそ信じられないと言ってるのだけどね…………もちろん私は彼のことを心の底から愛しているよ?」


 しかしそれでも冷静さは失わないとタカナは言っているのだ。けれどそれはアキに対して退かれていないからこそ言えることだ。タカナの恋人に対する愛情は低いわけではないと私も思うのだが、アキに対して抱いてしまう好意は恐らくその比じゃない。


「まあいいわ、わかって貰おうとは思わないし…………わかられても困るのよ」


 それはつまりタカナがアキに惹かれてしまったということだから。


「会って、それ以外のことは納得して帰ってもらうのが一番よ」

「そこが納得できないと困る部分でもあると思うのだけどね」

「それは私たちを観察して判断して」


 もっとも今は私たちもずいぶんと落ち着いてしまっているが。


「まあ、そうさせて貰おうか」

「ええ、じゃあ行くわよ」


 不安が解消されないままに、私はタカナを連れだって町長の屋敷を出た。


 お読み頂きありがとうございます。

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