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異世界転生してエルフのお姉さんにお世話になったら激重感情抱かれてた  作者: 火海坂猫
一章 純愛編

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五十三話 優位にあぐらをかくとすぐに逆転される

「それじゃあ私はあの子のことに関して町長と話を付けてくるわ」

「えっと、僕は行かなくてもいい」

「アキが来てまた増えても困るからいいわ」

「…………そうだね」


 僕に惹かれる異性というのはそれほど多くないという話だったけど、アリサという前例があるのだから他に増えないという保証もない。結局僕はあの日町を見まわったりしなかったから接触した人間は最小限なのだ…………下手に顔を出して他の町民から見られれば増える可能性はある。


「まあ多分今日は戻れないと思うから…………明日、話がうまく付けばあの子を連れてまた来るわ」

「うん、わかったよ」


 正直まだ不安はあるが一日の猶予ができるのはありがたい。この一日の間に明日やって来るアリサにどう接するかを決めなくてはならないだろう。

 一応マナカからは特に気負う事無く普通に子供として接すればいいだけだとアドバイスはされているが、将来的なことも考えればもっと考える必要はあるだろう。


「えっと、ノワールさん?」


 マナカを玄関で見送って振り返るとまだノワールさんは椅子に腰かけていた。今日はアリサのことの話し合いで集まってそれはもう終わっている…………その後のことは特に決めてあるわけではなかった。


「この後どうします?」

「特に何も決めては、いないわね」


 どうやらノワールさんもノープランであるらしい。


「…………」

「…………」


 とりあえず僕も席に戻ったが無言の時間が流れる。これ以上用件がなければ帰って貰って大丈夫なのだけど、それを口にするのもどうなんだろうと僕は思う…………だってそれではまるでノワールさんを邪険にしているように聞こえてしまう。


「あの、暇じゃないですか?」


 悩んだ末に僕はそう口にするが、言った後でこれもどうなのだろうかと思ってしまう。こういうことを尋ねるのは自分が沈黙に耐えかねていると言っているようなものだ。


「アキ君は、退屈?」


 案の定そんなことを聞き返されてしまう。


「いえ、退屈ではないですけど…………」


 僕としてはそう返す他ない。


「それじゃあ手を、繋ぎましょうか」

「あ、はい」


 何がそれじゃあなのかは理解できなかったけれど、とりあえず僕はノワールさんの手を取った。


「…………」

「…………」


 再び無言の時間が続く。


「アキ君は、こういう時間は嫌い?」

「…………嫌いでは、ないですかね」


 少なくとも手を繋いだからか、先ほどよりもなんだが気は楽だ。


「ノワールさんはどうですか?」

「お姉さんは少し前に、好きになったかしら」


 少し前と言うとマナカにアドバイスされて初めて手を繋いでからなのだろうか…………そう考えるとなんだか嬉しく感じる。


「…………」

「…………」


 お互いを繋いだ手から感じて、それ以外何もしない贅沢な時間が流れる。最初にそれをした時とやっていることは同じはずなのに…………あの時よりも繋いだ手を熱く感じる。


「…………」

「…………あ」


 いけないと僕はふと思う。これは確かに幸せな時間だが永遠にこうしているわけにはいかない。僕には考えるべきことがあって考えられる猶予は決まっている。その間に考えがまとまらなったらこんな幸せな時間がまたやって来なくなるかもしれない。


「…………」

「…………」


 でもこの手は離しがたかった。


「あの、ノワールさん」

「なに、かしら?」


 それならばノワールさんに相談しようと僕は口を開く。


「ノワールさんは、子供が欲しいですか?」


 それなのになぜ僕はそんなことを口にしてしまったのか自分でもわからない。


「アキ君の子供なら、欲しいと思うわね」

「そう、ですか」


 迷うことない返答に僕は頬が熱くなる。


「アキ君は、お姉さんとの子供は欲しいのかしら?」


 そんな僕にノワールさんは逆に尋ねてくる。


「…………」


 欲しい、とは即答できなかった。ノワールさんのことは好きだと思う。それは以前までの親愛の感情とは違い、異性に対するものだと今は断言できる…………けれどそれは多分まだノワールさんのように即答できるほどのものではないのだ。


「まだ、わかりません」


 僕はノワールさんとどうなりたいのか、そういうイメージがまだわいてこない。ただ彼女と手を繋いだだけの子の時間はとても幸せだと思うけれど、その先の光景はまだ浮かんでこないのだ…………いやもうしちゃってはいるのだけどね、またしたいという欲求は浮かんできていない。


「そう」


 そんな僕の返答を残念そうにするでもなくただノワールさんは受け入れる。


「それならもう少し、こうしていましょうか」

「はい」


 諭されて、僕はまた繋いだ手の感触を意識する…………あれぇ? ついこの前というか昨日の時点ではまだノワールさんも慣れていない感じだったのに、いつも通り以前のように僕が見守れられるような状態になっていることに気付いた。


「どうか、したかしら?」

「…………なんでもないです」


 ノワールさんが慣れて余裕が戻って来たのか、それとも人生経験の差で取り繕われているだけなのか…………僕には判断できない。


 というかアリサのことで忘れてしまっていたが、僕はどうにかしてノワールさんを篭絡しなくてはならないのだ。


 考えるべきことは、山ほどある。


 お読み頂きありがとうございます。

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