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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 3

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MISSION 6 : 埒が開かないから上陸しよう







 傭兵系美少女大鳥ホノカちゃんは、次なる任務に備えて英気を養うべく、





『みんなー!今日も集まってくれてありがとうー!

 ガチタン系傭兵アイドル、ありすちゃんのゲリララーイブ!!』




 突然始まった、謎のふりふりピンク衣装のツインテアイドルの格納庫ゲリラライブを見る羽目になっていた!!



『じゃあ一曲目は、やっぱこれだねっ☆


 私の代表曲!『恋するあなたへ大グレネード♡』

 いっくよー!』



 イェーイ!



 いや私じゃないよ、まさかの隣のキリィちゃんとリンちゃんだよ!?あの謎のアイドルの写真やら応援文句書かれたドルオタ着てるような法被(はっぴ)まで着てるよ!?




 そしてはじまった曲もすごかった……!







□恋するあなたに大グレネード♡


 作詞・作曲:ありす

 歌:ありす


 (この中は合いの手)





 いけない!遅刻遅刻、いつもの朝ね♪

 待ってるあなたへストライクブースト!(突撃ぃ!)

 突撃!ブーストチャージはあなたへの想い

 4500トン分の愛を受け止めて♪ (男なら受け止めんかい!)

 あなたの事を考えていると、頭の中グチャグチャECM (レーダー砂嵐じゃー!)

 でも好きって決めたら、正面から行くね♪

 それしか出来ない、私の恋の道!


 恋するあなたに大グレネード

 好きって気持ちは120mm口径♪ (デカすぎ感情!)


 避けようとしたって絶対無駄よ?

 私の思いは、核爆発並みなんだから!


(ありすちゃん!ありすちゃん!ガチタンアイドル!

ありすちゃん!ありすちゃん!ガチタンアイドル!)







「ありすちゃん!ありすちゃん!ガチタンアイドル!」




「何これ?」


《私に聞かれても困る》



 即席ライブステージに向かっているいつも割とクールなはずのキリィちゃんもリンちゃんもすっかりドルオタと化しているこの状況。


 訳がわからない……


「─── ありすちゃん!ありすちゃん!ガチタンアイドル!」


「いやカモメちゃんも???」


 そしてカモメちゃん、一番良識あるはずのアンドロイドな君がなんでサイリウム振ってるんだい???


「アレ?ホノカさん、ありすちゃんのライブですよ?

 テンションが少しおかしくはないですか?」


「いや、あの子誰??」





『何ぃ─────────ッ!?!?』





 待って!?コトリちゃん以外の全員に驚かれた!?



「ご存じないのですか!?」


「いや全然」


「おま、おま、マジで言っとんのけぇ!??」


「キリィちゃん、逆になんでそこまで全力応援してるんだよー、そんなキャラだったっけー?」


「ありえへんわ!!ほんまに言っとるん!?」


 わー、リンちゃんゆすらないでー??


「……ホノカさん、このありすちゃんは!


 今巷で人気の、傭兵系アイドルの!

 紅白にも出場経験のあるバラエティじゃ見ない日もない、大人気なお方なんですよ!?」


「いきなりどうしたんだい、カモメちゃんや」


 私、アイドル詳しくないんだよねー……実は。

 テレビも最近ニュースの天気予報ぐらいか、バラエティぐらい??


「……まさか、本当に……知らない……??」


 だからってなんだその宇宙人を見る目はー!

 コラー!知らない人だっているんだぞー!?


「そこの新人傭兵(スワン)ちゃん!!

 まさか本当に、私ことありすちゃんのこと知らないって言うのぉ!?」


 そして、本人もすっごい驚いた顔でステージから降りて近づいてきたー!?


「え、あ、ごめんなさ、」


「君、宇宙一ツイてる!!

 最高の条件じゃん!!

 私のこと初見でライブ見れるなんて〜……運がいいじゃん!!

 じゃあ運がいい君には握手しちゃう〜♪」



 えぇ……!?

 そ、そう来たの〜??


 いや握手しとくけど……そう来たのか〜。


「羨ましいぞホノカぁ!?

 ワシはチェキ券100枚集めてやっとじゃったんぞ!?」


「ほんまモンのラッキーガールやんけ!!

 う〜……ぐやじぃわぁ〜……!」


「てか、傭兵(スワン)にもアイドル活動している人とかいるんですね〜……先輩さんなんですよね??

 ひょっとして結構ランク高い人?」


「うーむ…………人気だけならランク1の自信あるよっ☆」


 なんていう自己肯定感〜!!


「実際、ランク4。『ハピ☆タン』を操るありすちゃんは、傭兵(スワン)としての評価も高く安定した戦績を誇っています。

 今現在、芸能活動から戦場まで、幅広く活躍中の注目のアイドル傭兵(スワン)


 それがありすちゃんなのです!」



 でーんと周りのほぼみんながありすちゃんを手を広げるように指し示す。

 何その連携。ファンクラブじゃないの私だけ??



「じゃあ新人ちゃんのためにもう一曲いこうかなぁ!」



「────すまんが、その曲はもう少し我慢してほしい、我らがアイドル殿?」



 と、タイミングよくなのか、悪くなのか我らがリーダーイケメン公爵グウィンドリンさん登場。



「スワン、予定が決まった。

 まずは、上陸しなければ話にもならない」





           ***



 予想通りというか、任務内容は簡単!

 海岸の怪獣達を殲滅して安全を確保せよだった!



<カモメ>

『久しぶりに、上空からオペレートができますねホノカさん!

 でもそれだけじゃないですよ……今日は後方支援もお任せです!』


「頼もしいねぇ……もっとも、この数じゃなぁ……!」





 バラララララララララ……!


 ペラゴルニスの真上を埋め尽くす……と言いたい密度ってだけとはいえ、10機以上のヘリ達。

 それ以上の15機のeX-Wは、たしかそゆ……なんだっけフレームだからインペリアルの正規軍!


 私含め、空にはいつもの傭兵(スワン)が4機編隊で飛んでいる!


 下の海も、ミサイルランチャー背負っているような4脚型のMW(マシンウォーカー)達、通常兵器っていえばいいのかな?なみんなと、引率するみたいな2機の4脚型eX-Wがアメンボみたいに進んでいる。


 片方はあのランク2のアンネリーゼさん!もう片方はO.W.S.の最高齢ギャル社長さん!



<オルトリンデ>

『絶景やなぁ!ま、怪獣退治ならこの数はいるもんな?』


<キリィ>

『ここらで一発、勇ましい曲でも流すけぇのぉ?』



 曲と言えば、さっきのガチタンアイドルのありすさんと、ちびっ子のシルヴィアちゃんは待機です。


 重量機は海上辛いからね……ちなみに残念そうな顔してたっすあのアイドルさん。



<エーネ>

『怪獣かぁ……一匹だけでも強そうなのに、もしかしたらいっぱいいるかもだから怖いなぁ……威力偵察、したほうが良かったかな?』


「意外と好戦的だねエーネちゃん?

 たださー、それは同意かもねー……

 なんだっけ、自立兵器も確か実弾以外は効果ないんだっけ?」



<コトリ>

《オープンチャンネルで私が解説するのも恐縮だけど、自立兵器群とかはEN防御の高さは、エーネちゃんの背中のハイレーザーが5発直撃してようやく死ぬレベルかな?》



「コトリちゃん、ハイレーザーって強いの?」


<コトリ>

《ハイって付いてるぐらいには。

 通常レーザー出力から計測値6倍以上、照射時間2倍以上のレーザーを刺す単語だよ。

 ぶっとい高エネルギーの光の棒が突っ込んでくる。

 EN防御高めのフレーム以外は穴が開くか溶けるかのどっちかかな》



「それに4発とか笑えない防御じゃん」


 まぁこっちは、比較的実弾固めだからあるいは……



<アンネリーゼ>

『あら。もしかしたら逆に実弾防御が高いタイプかもしれないのよ?

 敵は鉄分の多い生物と報告書に書いたのは、大鳥ホノカのサポートAIのあなたではなくて?』



 そういえばそうじゃん。

 しかもそれ、頭悪い私でもなんか分かる話。


<コトリ>

《確かにそれもあり得るな……

 基本的にクッソ強力な貫通弾(APFSDS)でもバーンズ装甲なら簡単に防いじゃうからなぁ……

 例えば、単一の鉄で出来てる様な肌だったら、最悪は75mmでもeX-Wの武器なら抜ける。

 でも一部が生物的角質とかだと、クッソ強力な貫通弾の原理のせいで抜くのが難しくなる》



<テレサ>

『後、そんだけでかい生き物だと、下手すっと血管とか細胞組織が空間装甲っていう弾の速度を殺す作りになってるかもとかあるっしょ?

 ま、そんなサイズの生き物は地球にいなかったから詳しくはわかんないけど。


 ま、怪獣退治なんて史上初だし、何が効くかもぶっつけ本番っしょ〜?》



「要するに、出たとこ勝負か……」



 うーん、なんとも前払い報酬の割通りな感じぃ。



<アウローラ>

『傭兵ども、呑気しているのも良いけど、そんな出たとこ勝負が始まるわよ。

 海上、浮上する巨大生物がいる!!』



 おっと、レーダーに反応!

 浮上する影も見える!!



<アウローラ>

『コンドルリーダーより、バードウォッチャー、攻撃許可を!』



<フィリア>

『バードウォッチャーよりインペリアル各機、陣形を『噛み固めフォーメーション・バイトロック』に予定変更。


 傭兵(スワン)、こちらは予定通りやる。

 君らは、君らのやり方で我々に合わせてくれ!』



「言われずとも!」



 私はとっくにロックオンしているし、無線の陣形なら、爆雷ミサイル撃ち込んでも良いわけだ!


 下の4脚型MW達が蜘蛛の子散らす様に拡散した海が盛り上がり、バカでかいイカさん登場!!


 ただし、私の爆雷ミサイル、エーネちゃんのキュアフルウィッシュ背中のハイレーザー、リンちゃんのスカイヴァルキュリアのアタッカーサテライトの雨あられに浮上してすぐ見舞われて、2方向に分かれた4脚型MWのミサイルとバルカン砲でぼんぼん撃たれるのであった。


 ハサミ付きの2本の触手を伸ばした瞬間に、私が撃ったペラゴルニス新武器な速射砲な武器腕の一撃が当たってハサミが砕ける。


 えー、武器腕が強いのか相手が脆いのか分かんないというか……



<キリィ>

『結局、コイツ何が有効だったんじゃけぇ?』


<オルトリンデ>

『……『全弾有効』、お後がよろしいようで』



 イカさん、数秒で蜂の巣!

 生きてるって言う方が証明が難しい無惨な姿に!!



<アンネリーゼ>

『オードブルにもならないのね。

 狩り甲斐がない……とまで言うのは、平和に捕食者していた巨大イカさんに失礼かしら?』


<テレサ>

『ま、本命はあっちじゃない?

 起こしちゃったみたいだけど』



 と、飛んできたのは、そこそこ太いレーザービーム。



「出たか、一番怪獣っぽいの!」



 振り上げる巨大な二つと中くらいの二つの腕!計4つ!!


 背中から伸びる腕っぽい触手の先にはお目々!こっからレーザー出るよ!


 人型っぽい2速歩行に、左右2つずつ、おでこに一個の5つの目!!



 グワァァァァァァァ!!!



「出た!明らかに強そうなの!!」


 再びレーザーが来る。

 とっさにレーザーの光の筋を中心にくるくる回りながら避けて、私は近づく!


 近づく判断は、私以外にも2機!!



<キリィ>

『アイツか!一丁前に誰が敵かは理解する脳があるようじゃ!!』


<アンネリーゼ>

『見ていたのね。そして、敵と判断した……頭が良さそう』



 キリィちゃんと……アンネリーゼさんもか!



<アウローラ>

傭兵(スワン)無茶だ!!

 陣形を守れ!!』


<アンネリーゼ>

『親愛なるインペリアル正規軍ならば、私たち抜きでも充分でしょう?

 あれは、私達と私のブラッドハントレスの獲物よ』


<キリィ>

『そういうことじゃ!

 抉らせてもらうけぇ、デカブツ!!』


「じゃ、私が最初の攻撃で!」


 とっくに射程内!

 速射砲発射……頭に、と思ったけどあの怪獣咄嗟に太い方の右腕を盾にした!!

 でも、その腕にヒビと欠けができた!!


 グルルル……グワァァァァァァァ!!


 怒りの、そこら辺の崖掴んでぶん投げ!!


 回避────その先に来たレーザーもちゃんと回避!


 あの怪獣の5つ目顔に驚きが見えた。

 そりゃ驚くか……作戦にはまったと思った?


<コトリ>

《ハマってるんだよね、ただ発射タイミング見て避けただけ》


 コトリちゃん心読まないでー!

 ……まぁ確かに、それで避けただけだけど。


 あの怪獣は、思ったより知能が高いのか、妙にフェイントを仕掛けて攻撃してくる。

 次は脚で海を蹴り飛ばし、砂と波をこちらへと。


 目隠しか。

 ────何が完全に隠れる瞬間、怪獣の背中から伸びるお目々触手がこっちを向いたのが見えた。


 だから、ストライクブースト起動。

 超加速を開始して波を突き破り、いるはずの位置に撃ったレーザーを真上に見ながら、アイツの目の前にきた。


「やっほ!」


 5つのお目々の、まさに目の前にペラゴルニスを持ってくる。

 その驚いた顔に向かって、速射砲!


 ボンと顔の爆発で苦悶に表情を見せる中、大きい割に早い動きの腕をアサルトブーストを駆使して右に左に避けて、避けて、もう一発顔に当てていく。





 手際がいいでしょ?しかも速い。


 当たり前じゃん、私は強化人間(プラスアルファ)


 この怪獣の動き、まぁまぁ速いけど、正直もう見切れる速さだ。

 私も私のペラゴルニスも、余裕で次の行動を読み取りながら一方的に戦える。



 まぁ、ただし、



<コトリ>

《エネルギー、残り30%》


「そりゃこんだけ動けばそうなるか!!」



 おちょくりすぎて、ペラゴルニスの燃費の悪さが際立っちゃった!

 コンデンサ容量がやばい!

 後二回ぐらいしか回避できない!


 回復……は間に合わない。

 てなわけで、デカい両腕を打ち合わせるような攻撃を2度くらいそうになって、二回アサルトブーストを蒸してもう真っ赤っか!


 再び振り上げられる右腕!避けるエネルギーはない!



 ま、避ける必要なし!



 その巨大な右腕が、バンという衝撃と共に穴だらけになる。



<アンネリーゼ>

散弾(スラッグ)でも抜けるのね』



 ライフルの雨霰、スラッグで一気に穴が空いて衝撃でよろめく怪獣。

 流石ランク2。あの恐怖の4脚、ブラッドハントレスの動きと攻撃が頼もしい!!



 次々穴だらけになっていく怪獣の顔に黒い閃光が一気に近づく。



<キリィ>

『どっせいぃ!!!』


 その額のお目々に、ブラックインパルスのとっつき!


 杭が食い込んで、続いて射出された杭の生み出した衝撃波で、頭に風穴が開く。



<キリィ>

『どんなもんじゃい!』



 これで死んだ……?


 と、ギュルンと残りの3つの目がキリィちゃんのブラックインパルスを睨む。


 バチン、と細い方の両腕を蚊を潰すように叩きつけた怪獣。

 まぁ、キリィちゃんは即座に後ろにアサルトブーストで回避して、散弾バズーカを叩き込んでいたけど。



<キリィ>

『なんじゃごりゃぁ!?

 コイツ、頭吹き飛ばしとるのに生きとるのか!?』


「……え、ってか見て!!」


 その吹き飛んだ頭、なんだか盛り上がっていってるというか……治り始めてる!?



<アンネリーゼ>

『不死身の怪物?面白くもない。じゃあ今まで痛みも感じてなかった?』



<コトリ>

《……頭、急所……そうか!!


 しまった、そいつの頭は頭じゃない!!》


 なんだか治り始めてるけど時間かかりそうな頭を細い方の左腕で押さえて、大きな左腕を振り回して私達を落とそうとする怪獣。すぐにレーザーもくる辺り頭いい……頭吹き飛んでるのに??



「コトリちゃんわかるように説明!!」


<コトリ>

《コイツも基礎は『頭足類』と同じ進化をしたナノマシン生命体だ!!

 頭足類……頭は手足の中央!!

 わかったぞ、私達が体だと思ってる部分は口と手足が変化した部位なんだ!!

 胴体は、心臓がある場所は別にあるし、脳みそはきっと心臓の部分だ!!》


「分かった!!」


 じゃあその胸板に速射砲とチェーンガン連射!!


 カカカカカン!ボン!!


 ────無傷!?いや、傷が浅い!!


<アンネリーゼ>

『重要部分だけ、固くしているっていうの?

 面倒ね……』


<キリィ>

『じゃけぇ、急所は分かった!!

 胸元じゃのぉ!?』


<コトリ>

《……コイツ、胸元に脳があるとしても、不自然なくらい胸元守ってないな?》



 レーザー、大きな腕、全て避けながら、ふとヒナちゃんが言う。


<キリィ>

『硬さに自信あるんじゃろ!?

 それが命取りなの教えるけぇ!!』


<コトリ>

《うーん、でもなんだろう?

 どこかに、もしかして頑なに守ってるわかりやすい弱点でもあるんじゃないのかな?》


 そんなのあったら楽でいいなー!


 でも探す余裕ないし……胸に集中を……



 そんな時、


 ヒュー、と何か煙と赤い閃光を放つ物が、怪物の後ろから飛んできて、ちょうど背中の盛り上がって固そうな部分に当たって、そのまま落ちていった?



「え?」


 とっさに、海岸の崖の上をズーム。


 木々の間、草むらの中、


 ────目立つ青肌、額にも目がある黒白眼な人型っぽい方々が、何か銃みたいな物を構えているのが見えた。


<コトリ>

《発煙筒!?なんで背中に!?》



「────分かっちゃった私」


 そういうことなら、背中の盛り上がってる部分に速射砲。

 突然、怪獣は背中に大きな腕を回してそれを防いだ。

 まだ他の二人も攻撃しているのに!!


<コトリ>

《……そういうことか!》


「そういう事だ!」


 というわけで、背中を守るように腕を回す怪獣のその腕に攻撃を集中!!

 大きな方の腕は、手の甲側はめっちゃ硬い!!

 しかも背中から伸びるレーザー触手が頑張ってビュンビュン撃って、こっちを邪魔してくる!


<アンネリーゼ>

『小賢しい……じゃあこうしてしまおうかしら?』


 アンネリーゼさんのブラッドハントレスが、怪獣の足元に回り込む。

 アキレス腱の辺りにスラッグガンが炸裂!


 意図が理解できた私も、ペラゴルニスの速射砲を、背中のチェーンガンも全部アキレス腱狙い!!


 よろける、倒れそうな怪獣の、それでも守り続ける両腕に近づく衝撃波!



<キリィ>

『これで終いじゃ!!』



 手の甲ごと突き込まれた、とっつきこと射突型ブレード!!


 ズバァン!


 手の甲を貫通した衝撃波が、おそらく急所の背中を傷つける。


 たまらず手を離してしまう怪獣、ひび割れた背中の堅そうな盛り上がり。


 私は、速射砲を名前通り速射した。


 一発目で硬い外皮が剥がれて、二発目でドクンドクン動く器官を黙らせた。


 黒い白目を剥いて、怪獣が倒れ込む。

 初めて気づいた。血が黄色い。

 しかも、発光しているような感じ……蛍光イエローの血を背中から流しながら……怪獣は、死んだ。



<アンネリーゼ>

『……取られちゃったわね。

 あーあ、次は単騎で仕留めないと』


<キリィ>

『浅かったか……ま、いいか。

 ホノカぁ、戦果はお前のもんじゃ!』


「…………ううん、本当の立役者は他にいるよ」


 私は、ペラゴルニスのカメラを崖の上に向ける。



 こちらを見る、異色の肌を持った、人に似た異形の人たち。


 彼女……あるいは彼、そんな未知の相手が、こっちを見ている。



「…………お礼でも言っとく?

 言葉が通じるかな?」



<コトリ>

《本気?》



「……本気!」



 我ながら、好奇心に負けたというか、

 らしくないけど、その人たちに向かっていくのだった。




           ***

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