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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 2

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MISSION 18 :恐怖の死霊部隊






 傭兵系美少女、大鳥ホノカちゃんは今!

 いっぱいいる傭兵(スワン)の中でも、50人しかいないランカースワンの中でも、何故か20位以上の上位ランカーだけで集まって活動している恐ろしい傭兵部隊、『ハロウィンスコードロン』の4機と戦うことになっています!!




<コトリ>

《やばい……あの黒い機体に注意して!!》


 コトリちゃんの言う通り、あのなんか見たことある上半身の黒い機体……速い!?


 ペラゴルニスの全力で後退!!

 でも……追いかけてくるしレーザーめっちゃ雨みたいな勢いで撃ってくる!?!


<コトリ>

《アヤナミの最悪のパルスレーザーマシンガン、『五月雨(さみだれ)2式』だ!

 あれ、エネルギー兵器系マシンガンの癖して超低燃費で充分Eシールド貫通してきて、ついでに集弾率高くて射程が長い『一択パーツ』って言われる傑作なんだよね!!》


「長文で死ぬほど喰らいたくない武器って説明ありがとうね!!!」


 レーザーの雨を必死に避けながら、相手の黒い2脚機に振り向いて反撃!

 スナイパーライフルの方を当てておく!ちょっとは傷ついた!!


<コトリ>

《ダメだすぐ移動開始して!!

 右腕が|D-Antirrhopusデイノニクスだ!!》


「思い出した!!

 75mmなのにアサルトライフルの!!」


 75mm口径は、私のスナイパーライフルと同じ口径で、これで速射できるライフルは『バトルライフル』って言うのが普通だって前言ってたよね。


 ────75mm弾がなんかボンボン撃ち込まれてくる。

 ペラゴルニスで当たったら死ぬって分かる威力を感じる……感じる距離で避けるしかない……!!


「うわぁ!?マジでなにあれ!?」


<コトリ>

《射程と継戦能力と引き換えに、近距離適正と圧倒的弾幕の短期決戦火力を手に入れた。

 それがデイノニクス……04AR-D-Antirrhopus

 O.W.S.の最高のライフル……生前は販売し始めてた頃から愛用してた……!!》


 とにかく、コトリちゃんの言う通り離れるしかない!!

 というか、ミサイルまで撃ってきた!?

 見当違いの方向に行ったと思ったら、急に私の方を見つけたみたいにくる奴!!


<コトリ>

自律誘導(AS)ミサイルまでか……なんだろう、この構成……まるで……》


「強いな……なんかあの前戦ったランク2さんと同じ殺気!!」


<コトリ>

《─────しまった、これ『ハンター・キラー戦術』じゃないか!!!

 なんでもいいから今すぐ上下に避けろ!!》


 上下!?

 疑問はあったけど、ヒナちゃん間違い言わないから、真上!!


 瞬間、真下に銃弾と青白い光が交差するように流れる。


<エリザ・B>

『……気付きますか』


 まるで答え合わせみたいなセリフの敵の通信。

 レーダー……範囲ギリギリに、左右2機いる



<ウィル・オ・ウィスプ>

『アァ!?勘だけは良いのかよ、気に入らねぇなぁ。

 素直に当たっときゃ、楽に死ねたのによぉ!!』


 左から、狙撃!!

 カメラが、遠くでこちらを伺う4脚の姿が見える。

 両腕には、スナイパーライフル!!


<コトリ>

《ハンター・キラーだ!!

 狩人(ハンター)役の機体がこちらを追い立てて、狙撃ポイントで殺し屋(キラー)役が相手を沈める!!

 面倒だな……ハンター役にあの機体が、無視するにも削り力が強い武装だから無視はできない!》


「それより気づいた!?もう一機どこかにいる!!」



<フランシィ>

『ここだよー♪』



 元気いっぱいな声と、元気ありすぎる青白い光がペラゴルニスのEシールドを掠めて大きく出力が減衰する。


<フランシィ>

『あー!また避けたのー?

 もー、避けるの禁止ー!!』


「禁止されたら死ぬの私じゃん!?」


 避けるのも難しいすごい弾速だし!!

 光った瞬間、避けてもギリギリ!!


<コトリ>

《エクレールメカニクス製プラズマビーム砲『SDP-1 MICROSS』。

 別名は『主砲』。プラズマビーム系兵器は今はAI社のが有名だけど、単純な威力で言えばこれの方が強い。

 ちょっと重いし、背中の武装用スロット二つ使う必要ある都合上、まだ真人間がeX-W乗りの主流だった頃はタンク脚の文字通り『主砲』として活躍してたからこの名前がついたんだ》


「気のせいか、2脚でぶち込んできてない!?」


 私の神経接続を通してみると、アンテナみたいな頭のガタイの良い2脚機が撃ってきてるよ主砲とやら!!


<コトリ>

強化人間(プラスアルファ)の普及は、eX-W戦闘能力の平均的向上とイコールさ。

 最悪な形で知らしめてるけど!》


「本当にね!!

 反撃もキツい……3人がかりで私を殺す気って酷くない!?」


 黒い2脚が追い詰めて、遠くの4脚が狙撃して、アンテナの主砲持ちが焼いてくる。

 こうして避けられるのはペラゴルニスの運動能力のおかげだけど、事実反撃するタイミングが思った以上に少ない!



<ウィル・オ・ウィスプ>

『チッ……ランカーでもない機体が往生際悪く!

 対して反撃できる腕もない癖に!!

 良い加減に死ねよ、うざってぇ!!』


<フランシィ>

『うー……なんかすっごく避けるよこの子ぉ……ウィルー、ECMちゃんとやってるー?動きが読まれちゃってるよぉ〜?』


<ウィル>

『アタシのせいって言いたいのかよ!!』


<エリザ・B>

『だったらどれほど良かったのでしょうね。

 ……ジェーンに3対1を指示された理由も分かってきました。

 強い……ランカーに匹敵しますか……?』



<コトリ>

《なんだ、褒められてるよホノカちゃん?》


「殺すの辞めてはくれないから嬉しくもないけどね!」


 攻撃の手を緩めてくれないし、なんならちょっと上を見れば…………







 二つの白い影が、暗い夜空を切り裂いて飛びながら、銃弾の光を交わしていく。



<ジェーン・ドゥ>

『空中戦で私のホワイトスペクターに張り合うか。

 やはり、ランク18程度の器ではないな』


<オルトリンデ>

『こっちのセリフパクんなや!

 ウチと空中戦やり合うっちゅう意味、理解する頃には遅いでワレぇ!?』





 回避(アサルトブースト)接近(ストライクブースト)、ガトリング斉射、旋回(アサルトターン)、上昇、ライフル斉射、追撃のミサイル、アサルトブースト、ミサイル迎撃、ブースト、攻撃、接近、


 ライフル斉射、回避(アサルトブースト)、回避、回避、ライフル斉射、ミサイル迎撃、接近(ストライクブースト)、攻撃、




 地上から見えるその動きは早すぎる。

 二人とも、まるで当然のように空中を華麗に舞って、光みたいに速く動く。



<ジェーン・ドゥ>

『良い戦士だ。殺しがいがある!』


<オルトリンデ>

『言っとれ身元不明死体(ジェーン・ドゥ)

 ウチがあの世(ヴァルハラ)に送ったるわ菓子折り付きでな!!』







 リンちゃん、やっぱ強い。

 でも……相手も同じぐらい強い。





「ねぇ、リンちゃんが勝ってこっちを助けてくれるまでなんて、それも難しいんじゃないの?」


<コトリ>

《その前にやられる以外の選択肢はないな》


「そうだよね。

 …………コトリちゃん、腹括るしかないよね?」



 いよいよ、消極的な戦いはダメだってこと。

 それは肌でもう感じている。



<コトリ>

《全員、道連れにしてやろう。

 本当の意味で死霊になってもらわないと》



 …………死ぬ前提まで言って欲しくなーい!



「どうなるか……じゃあ、まずは!!」


 銃弾飛び交う中、ペラゴルニスを反転させる。

 この速度だとすごいG!強化済みで良かった……はいいとして目的は!



<エリザ・B>

『───私にくるか!』


 両腕のライフルを撃ちまくって、まずは黒い2脚へ向かう!!

 相手の射撃を円を描くように避けて……!!



<ウィル・オ・ウィスプ>

『バカが!!

 横から狙ってんだよ!!』



「─────私と同じだね!!」


 横目に爆雷ミサイル発射!

 強化済みで良かったって何度目!?マルチロックオンぐらいできる!!


<ウィル・オ・ウィスプ>

『てめぇ!!』


<フランシィ>

『カバーするよー!!』


 当然、迎撃のためにアンテナ頭が主砲向けてくる!!


 南無三。いやなんでいきなり仏に祈るって?

 私は、マニュアルでペラゴルニスの右腕のスナイパーライフルだけ真横に伸ばして……三発!!

 一発目、敵のEシールドに当たる。

 二発目はその後ろから、綺麗に弾丸を押し込んで、


 頼むから私は名スナイパーであって!!

 再び、目の前の2脚に両腕でぶっ放すべく右腕を戻しながら、後ろのカメラが捉える映像に祈る。


 これ、シミュレーターでやったらヒナちゃんに曲芸じゃねーんだからと笑われたけど、



 ────三発目は見事にEシールドに止められた弾丸を押し出して、これまた奇跡的に主砲の砲口に当たった!!


<フランシィ>

『えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?』


<ウィル・オ・ウィスプ>

『なんだそれは!?!』



「私が一番驚いてるよ!!」


 爆発するあのアンテナ頭の主砲!

 これで狙撃しか怖くない!

 いや……一番怖い目の前の2脚を潰す!!!


 絶え間なく、ラッシュするように二つのライフルを撃って撃って撃ちまくる!!

 ヒナちゃんが言ってた、このO.W.S.製のフレームは、速いけど脆い!

 Eシールド出力も低いし装甲も薄いから、攻めまくるとすぐに沈む!!



<エリザ・B>

『私ですか。舐めていたのは』


 本当にすぐ沈んでくれた。

 穴ぼこになって、2脚機が海に水没する。



<ウィル・オ・ウィスプ>

『クソアマァ!?だからどうしたってんだ!?

 エリザをぶっ殺して、それでどうしたって言うんだよォ!?』



 なるほどね。一体倒しても残りで狩るって言いたい訳。口が悪いぞ狙撃型4脚の!!



<フランシィ>

『私の壊した!!高かったのにぃ!!謝って!!』


 現に今も相手の狙撃はくるし、なんか主砲のなくなったアンテナ頭ちゃんもライフルを撃ってくる。


 ここからか……ここからどうするか……!!




<ジェーン・ドゥ>

『エリザ、生きているなら脱出しろ。

 こちらもすぐ片付く』



<オルトリンデ>

『がぁ……!!』



「リンちゃん!?」


 ここで、最悪な事態である。


 すぐ横に吹き飛んできたスカイヴァルキュリア……

 右腕と、左脚が吹き飛んでいる。


<オルトリンデ>

『なんやねん、殺したみたいな言い方しおってからに!!

 まだ戦えるわボケェ!!浪花のワルキューレさん舐めんなやァ!!』



<ジェーン・ドゥ>

『気に障ったなら謝る。

 たしかに、ここまでやられるとはな』


 例の謎のフレームの機体は、左腕が無い。

 ついでに背中のミサイルポッドみたいなのもパージするのが見えた。



<オルトリンデ>

『お互い満身創痍やなぁ、ジェーン・ドゥ!

 せやけどこっちには、まだ大分無事なホノカちゃーんがおるんやで!!』


「ごめん、リンちゃん。

 ちょっとしくじってたんだ」


 ここで私は、

 コトリちゃんも納得の装弾数があったはずの、右腕の愛用のスナイパーライフルを……


 弾切れ、のそれを相手に向かって投げ捨てた。


<フランシィ>

『危にゃい!??』


<オルトリンデ>

『……レディ・ローンウルフやろ?

 もしかして、弾切れ??』


「…………うん」


 ごめん泣きそう。投げ捨てたの外したし。

 なんなら、言ってないけど左腕の残弾もあんまりって感じ。


<ウィル・オ・ウィスプ>

『チッ…………ビビらせやがってよ……!!

 たまたまエリザのやつ沈めたぐらいで、調子に乗るからだAランク程度の三下が!!

 爆雷ミサイルもどうせすくねぇだろ……雑魚が!!』


<ジェーン・ドゥ>

『侮るな。まだここから持っていかれるぞ、最低でも一人は』



 その言葉を皮切りに、あの白い機体が残りの右腕のライフルを私に狙って撃ってくる。

 回避した先を狙撃型に撃たれる。脚じゃ無い。胴体なら一発は!!

 私もお返しだ!!出し惜しみはしない、って感じに白いのに当てる!!



<オルトリンデ>

『こうなりゃヤケや!!

 ホノカちゃーんコイツら道連れにしたるわ!!』


<ジェーン・ドゥ>

『全機、命令は変わらない。

 潰すぞ、全力で!!』


『『了解!!』』


 道連れ、ね。




<コトリ>

『どうやら、そんなかっこいい死に方しなくても良いかも』



 その時、遠くの空に上る光。


 発光する何かと煙の線。照明弾ってやつ。

 そして、照明弾を上げる意味は……



<オルトリンデ>

『撤退命令!』


「そゆこと!」


 爆雷ミサイル発射。ちょっとした強化人間の裏技で、爆発時間を調整!



 敵の真上で迎撃より早く弾けた爆雷と、同時に残弾ゼロの爆雷ミサイルをパージ。

 開いた手でスカイヴァルキュリアを掴んで、





「もう戦う理由はなし!!!」




 ストライクブーストの本来の使い方、

 緊急脱出を始める!!





<ジェーン・ドゥ>

『逃すか……!』


「逃しちゃくれないか……!」



<コトリ>

《ホノカちゃん気をつけて!

 あの白いの、フレームだけは最高のものだから、こっちがフロートでも追いつかれるよ!!》




 ここから、ある意味で本当の戦いが始まる。

 撤退。全力の逃げ。



 …………逃げるための戦いが一番面倒くさい!!





          ***

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