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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 2

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MISSION 15 :その場所までは平和な物だ








 全部の物資やら何やら搬入は終わって、私こと傭兵系美少女大鳥ホノカちゃんの機体もちゃんと固定して、


 インペリアルのデッカい潜水輸送艦は各壁の中のプールに入れられて、水で満たされて出航。


 いよいよ、任務は始まるのです。






 という訳で、その謎の包まれた任務内容を聞きに、私含めみんなで会議室へ。

 まぁ、なんか予想通りというか……


「「お!」」


「あ!」


「ほう……」


「ですよねー」


 やっぱりいました!

 リンちゃんにキリィちゃんにエーネちゃん!


 そう、前と同じメンツ!!後誰か知らん子……誰?まぁ後で聞くか……


「なんやホノカちゃーん!

 やっぱお金に目ぇ眩んで来ると思うとったでー?」


「いやぁ全くその通りで何も言い返せないねリンちゃんや」


 とりあえず、カモメちゃんを多分みんなのオペレーターさんであるアンドロイドさん達のいる壁際に並ばせておいて、私の同業者であるみんなの席に近づく。


「まぁ辞めるための500万cnだもんね。

 あ、レンくんね、経過いい感じなんだよ?

 後は、まぁしばらくは病院代払いながら私もホノカちゃんと同じ」


「そっか!こっから長いよ?ウチはこのコトリちゃんがすーぐパーツにかけちゃうんだから」


《だから助かってるじゃないか。褒めろ》


 じゃあ褒めるついでに撫でておこう。やめろ?やーめーなーいー。


「ったく、ワシらもヤクザもんらしいのぉ?

 この任務がワシらの最後か……つくづくワシららしいと思わんけ?」


「ヤクザなのはキリィちゃんの口調でしょうが。

 死ぬ気もないし、でしょ?」


「てかマッコイとユナちゃんもおるやん。アンタら度胸あるで」


「まー、こっちの上司がなんか乗り気なんすわ」


「色々ありますのよ♪オホホ」


 なんて言いながら、私達は進んで空いてる席へ。


 ……私は、一人いた知らない顔のチビっ子の隣だ。


「やぁ。君が大鳥ホノカかい?」


「そういうチビちゃんは誰なんだか」


 ニコニコなんだか人懐っこい金色の目で見てくる、明らかに小学生の背丈の銀髪美少女───幼女までは言い過ぎ??


「フフ、ボクこそ、エクレールメカニクスのテストパイロット兼傭兵(スワン)、シルヴィア・アルギュロスだよ!

 よろしくね!」


「ほいほいよろしく。そういうのもいるんだね……おいくつ?」


「もうちょっとで11歳だよ!」


「そんな歳でもう人殺しかい。お互い地獄行きだね」


「なにを今更さ。君だって10代だろー?

 それにまだボクよりは殺してないよきっと」


「あ、ホノカちゃーん。ソイツそんな見た目でランク8やで」


「マジか……!」


 上位ランカーとは……改めて、傭兵(スワン)業って、業が深いね……


「まぁ偉そうなのは元々だから、できれば気にしないでね。

 ボクってばもう大学で教えられるぐらい天才だから、ごめーんね?」


「おけおけ、りょーかい」


 とりあえず頭わしゃわしゃしておいた。


「わー!?やーめーろー!!」


「やーめーなーいー♪」


 ふはははは!偉いし強いだろうけど、生意気なキッズはこうじゃ!こうじゃ!!わしゃわしゃー!




「さて。どうやら全員集まったらしいな。

 お嬢さん方、打ち合わせ(ブリーフィング)を始めさせてもらってもよろしいかな?」



 えーと、あの褐色癖っ毛のイケメンさん、名前まだ覚えきれてないけど偉い人がやってきてそう言うのであった。

 ならば、とりあえずわしゃわしゃの刑はやめて、このおチビちゃん|(名前は後で覚える)の隣に座る私であった……真面目にしなきゃね、ここはね。




「……さて、お嬢さん方に集まっていただいたことをまずは感謝しよう。

 改めて、私はレイシュトロームCEOであり、この船のオーナー、そしてインペリアルでは公爵の肩書きを持つ、ダリル・グウィンドリンだ。

 いや、難しい肩書きは覚えなくても良い。

 今は、諸君の雇い主だ」


 なんて分かりやすい説明!

 イケメン雇い主さん好きかも!!

 グウィンドリンって苗字は言いにくいけど!


「その上で、今から行うことの意味を、できれば理解してほしい。

 コード、『白鳥の巣(スワンズ・ネスト)』。

 今よりこの場のスワンの情報開示レベルを無制限とする」


『了解』


 ん?

 いや、何さカモメちゃん達、今の言葉で何か分かったの??

 ……あれ?なんか腕の中のコトリちゃんフリーズしてない?



「これで良いか。

 では、改めてに話の前に一つだけ言わせてもらおう。

 この場の諸君ら傭兵(スワン)やそれ以外は、何も能力や強さだけで選んだわけではない。

 恐らく、口は硬いと判断した面が大きい。

 要するに、我々は信用している。

 少なくとも、我々が黙ってほしいと頼んで、少々の納得に足りる金を積めば、その口から話が漏れることはないはずだとな……

 その意味を分かった上で、今回の羽振りの良い任務の危険性と背景を話そう。良いかね?」



 なるほど……そう言うことですか。


「お金さえ貰えば、明日には忘れてまーす」


「私は……家族もお仕事の話は嫌がるので……」


「あいにくウチは忙しいんや。

 秘密なんぞ多すぎてどれがどれか分からんわ」


「右に同じじゃ」


 ま、いつものメンツはそんなセリフですよねー。

 嘘か誠かはおいて置いて、そう言う物だし。



「良いだろう。

 まず前提から話そう。

 今、我々の住む火星から離れた我らが故郷、


 地球は、今も我々の同胞たる人類が生存し、繁栄している」



 ─────でもまさか、そんな話が出てくると思わないじゃん?


「え……?」


 正直信じられない。

 地球はもう死の星だって、だからご先祖様はこの火星に移住したって、学校で習うことじゃん?

 それが……違う?


「信じられないのも無理はない。

 …………この事実が明らかになったのは、70年前だからだ」


 と、雇い主のグウィンドリンさんが指で合図した途端、会議室は暗くなって後ろのモニターに何かが映し出される。



「70年前、『ギフト1』は人類生存圏近くに落下し、中にはさまざまなデータと、実物の技術が存在していた」



 画像は、落下した宇宙船の、大昔に飛んでいたって言われてる、教科書にも載ってる物に似た宇宙船。

 頭から地面に突き刺さった船体に、多分『ギフト1』って読める英語が書いてる。



「…………都市伝説は嘘や無かったんか……!」



「その通りだ。

 今も地球は、死の星ではない。

 70年前は汚染地域も多かったという記述はあるが、同時に人類が生存できる地域、地下へ建造した都市によって、あるいは成層圏に建造した飛び続ける空中都市によって、人々は生きていたのだ。


 そして、火星の我々の生存を突き止めた彼らが送ったあらゆる「贈り物(ギフト)」によって、我々は企業を、トラストを、新たな戦闘用MW達を───


 そして、傭兵の操るエクシードウォーリアそのものを開発する術を得た。


 それが、我々がずっと隠していた世界の事実だ」



 これが、コンビニの本だったら立ち読みで笑いながら見れたかもね。

 でも……事実だって言うんだから驚きだよ。


「しっかし、信じられんのぉ。

 証拠はあるんか、証拠は」


 このキリィちゃんの言葉が本来正しい反応だよね?


《────ここにいるよ、証拠なら》


 で、私も今すっごく驚いたんだけど。


 コトリちゃんが……そんなことを言い出したんだ……



《分かってたんだ、私自身。

 ウェザーリポーターになった時点で、商品化された時点で大分生前の記憶は改竄されてるって》


「コトリちゃん……?」


《────私が、私という、地球で開発されたウェザーリポーター型AIシステムが、運んできたんだ。


 ギフト1を、私が、運んできた》


 ……コトリちゃん??



《……昔話をしてあげる。

 今から70年前の話、地球の話。

 私達は、企業が支配する世界で生きていた。

 地下にバーンズ、空にレイシュトローム。

 本来、あの星の支配者は企業だった。


 私は────生きている頃は『コトリ・オーグリス』、O.W.S.の前身である『オーグリス機関』に所属して、同時に傭兵(スワン)として戦っていたんだ。


 目的の為、星の浄化って言う大義のため、

 でもそれ以上に私の強さを、私が望んだ力の強さを証明するために》



「コトリちゃん……それ……!」



《……火星に帰りたいって言う人間がいた。

 見どころのある子だったし、事実すごい事をした。

 その凄いことをした火星人が作った、今や大企業のオートマティック(A)インダストリアル(I)が主導になって、

 この星に贈ったんだよ……私達を。


 あの子は火星の現状を全ては知らなかったけど、

 でも必要な物なのはすぐに分かったから……多少の無理を通して、この星へ贈ったんだよ。


 …………そこのネオの子の、胚も。

 私が命をかけて作った、ホノカちゃん含め皆の身体を強化する技術も、戻す術も……

 案外普及してないけど、あの子自慢の無人化eX-Wも…………


 全部地球から、私達が……色々あって機械化された記憶の塊になった私たちがここに運んだんだ……



 これは事実だよ。

 ほんの70年前に起きた、確かな出来事……


 私は、私と同型の人格の個体が、図鑑で見知った赤い酸化鉄の色じゃない、

 青く変わっていたこの星の外側を確かに見たんだよ。


 出来れば、生前見たかったあの景色を……》



 …………なんてこった……!


 コトリちゃんは、いつものつぶらな目ふたつだけのロボ顔に、たしかな確信を持った表情を浮かべて言っている……!


 嘘じゃない……そうでしょ相棒……!


《…………相当、ここに降り立った初めての私の個体は、量産型の私の記憶弄りに苦労したんだろうね……

 グウィンドリン公爵さんだっけ?

 …………君のひいおじいさんかな?もっと乱暴な顔つきだったよ》


「ああ…………我が家は、見つけた者の一人だった……

 そして今、新たなギフトを我が代で受け取る事になった」


《でも、当時も私たちのせいで……

 元から仲良くは無かったけど、火種が増えたんだよね……》


 コトリちゃん、なんかこう……悲しそうな顔。

 でもなんか分かるな、そんなものも相手に入れて……独り占めする、とまでは言わないけど……!



「……諸君、改めて今回の任務だが、用は地上に落ちてくる宇宙船『ギフト2』の改修という点は基本として変わらない。

 しかし、我々はユニオンに一部の港を占拠された以上、奴らは何がなんでもこちらを追うだろう。


 一つだけ有利な点があるとすれば、我がインペリアルには自前の海上戦力があることだ。

 しかし、トラストとしての立場で言えば、良くも悪くも中立として、軍用艦艇はユニオンに売る義務がある。

 悔しいが、我々トラストも君達傭兵(スワン)と同じなのだ。

 金次第でどちらでも着く……その点をあまり曲げることはできない。

 この機構で経済的に3つの戦力を均衡させてきたのだからな……


 故に、インペリアルは保有する海軍、海騎士団の戦力をユニオンの海上戦力が整う前に包囲し、足止めする事に集中することに決めた。

 そしてギフト2の回収を、この艦と同型の潜水輸送艦2隻のみで行うことにする。

 その回収部隊の護衛が、君らの任務というわけだ。


 ここまでは良いかね?」



「…………要するに、ワシら以外にまともに戦える術のない状態で、誰も帰って来とらん場所に行くってことは良く分かったがの、

 一つだけ教えてほしい事があるんじゃが、ええかの?」


 キリィちゃん、このタイミングで手をあげてそう発言する。

 何か……言う?


「その通りだ。

 それで、一体何を教えてほしいのかね?」


「……輸送艦2隻というたじゃろ?

 もう片方に、『ハロウィンスコードロン』は参加しとるか?」


 え?誰?


 というか、エーネちゃん以外みんなすごい顔になったけど!?


「……いや、いない」


「ほう、そりゃ残念じゃ。

 ワシ、この船に乗る前に、街で飯くっとたら、『フラン』の奴にたまたま会ったんじゃ。

 アイツ、楽しそうに『サイレントエリアに行く』言うとってのぉ……


 そーか、ワシはなんも言わんとったが正解じゃったワケかのぉ」


「……そうか……最悪な知らせを感謝する」


 え、え、一体何……?


「ハロウィンスコードロンとは、最悪だね」


「知ってるのかい隣のおチビちゃん」


「シルヴィアって名前を覚えてね。

 そうか知らないんだ。ハロウィンスコードロン。

 有名な傭兵(スワン)の4人組だよ?


 ランク15『ウィルオウィスプ』、機体名『ジャック・オー・ランタン』、

 ランク12『フランシィ』、機体名『フリッケライ・モンスター』、

 ランク11『エリザ・B』、機体名『カーミラ』、


 そして、ランク9『ジェーン・ドゥ』、機体名『ホワイトスペクター』、


 全員ランカーでも上から数えた方が早い実力者達のくせに、一塊の部隊として動く珍しい上に強敵だよ」



 ……なにそれ、怖……!


《私も初めて聞いたけど、全員仮装だったら定番なのばかりだね。

 だからハロウィン?》


「それもあるけど……噂じゃ、全員4、5回は死んでいるはずなのに、なぜかそのあと普通にみんな生きてみかけるもんだからさ……本当に化け物なんじゃないかとか、人間に仮装しているとか言われてるから、『死霊部隊ハロウィンスコードロン』って呼ばれてるんだ。

 ふふふ……バラして中身を研究したいね」


《へー…………なーんかどっかで聞いたことある奴〜。

 パクリかな?しかもクッソ因縁のあるランクだし》


 コトリちゃん、何故かケッとご機嫌斜めになるのである。


「でも、私も会いたくないな……絶対強いやつじゃん」


「残念だが、おそらく高確率で戦う羽目になるかもしれない。

 どうやら、前だけではなく、後ろにも気を配る必要があるようだ」


 うげー、なんかやーな任務になってきたなー。



「今回は、敵の数も種類も事実上不明。

 なおかつ分かっているだけでも強敵揃いの任務だ。

 君らには、最悪鉄砲玉や使い捨ての盾のような役割となる。

 だが、生き残れば80万。


 80万cn(カネー)だ。相場の10倍を約束する。


 鬼が出るか蛇が出るか。この日本の慣用句通りならば、鬼以外は出ないと分かっているミッションだ。


 それでも参加してくれた事を感謝しよう。


 いずれ、敵か障害はくる。


 今日は、これにて解散としよう。各自よく休んでくれ」




 ……てなわけで、打ち合わせは終わり。

 さてさて、面倒とは思ってたけど、面倒な任務になってきたな……


 …………どうか、心配事は前だけでありますように。



「にしても……ハロウィンスコーンだっけ?」


「ハロウィンスコードロンやで」


「そんなのくるの嫌だなー……私は強敵と戦いたいわけじゃないんだよなー……」


「あ、じゃあワシの携帯に入ってるアイツらのアセン見とくけ?

 このエセ関西の次くらいによくつるんどるし、アイツらとは殺し合い三度目じゃし持っとるからの」



 わーお、一応拝見しまするー。


 まぁ私は強そう以外はよく分からないので、地球出身の頼れるコトリちゃんに見せて……


《ウゲ!?

 コイツ……コイツなんてフレーム使ってんのさ!?》


「なになにコトリちゃん、どうしたの?」


「ん?

 あー、ホワイトスペクターかぁ……こやつ確かにO.W.S.高級フレームだしのぉ」


《この構成で……この色……!?

 マジでどっかからパクったのかよ、よりにもよってこの構成を……!!》



 えぇ、コトリちゃん見た事ないぐらいガン見で、ないはずの血管浮き出てるぐらい凄い顔になってるぅ?


 一体、何があったんだろ?


 …………聞くのも怖いなぁ……




           ***

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