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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 2

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MISSION 14 :未知への航海、私も後悔








 傭兵系美少女大鳥ホノカちゃん、

 ヤバい内容と、なんか増えちゃったすっごい金額の報酬に釣られて、約束の場所に来ちゃいました。

 契約金8万cn(カネー)、成功報酬80万cn

 そこになぜか別陣営から、この依頼受けたら88万cnを別に前払い。

 ヤバいですよ。ヤバすぎて、本来傭兵辞めるために500万cn集めなきゃいけない私でも、前払いで入念な準備をしちゃったぐらいだもん。




 そんな訳で、依頼主指定の集合場所は近場。ヨークタウン、移動要塞本体から離れた下の街の一角、いつものアリーナ水没都市ステージ。




『フレイムブレイカーだったっけかぁ?

 新人に秒殺された、花火女だってなぁ!』


『潰すぅ!!

 あのクソ鳥女の事ででおちょくるやつは、全員ぶっ潰すッ!!!』




 ───なーんか見たことあるようなのが試合するのをよそに、私たちはいつものeX-W搬入口から入りまーす。

 操縦はいつものカモメちゃん。私はコトリちゃん抱っこして助手席ー。

 こっちの荷台は、新愛機のペラゴルニスと、カモメちゃんのヘリです。

 後ろにはもう一個の新愛機ティタニスとその他乗っけたトラックと、ユナさんマッコイさんが。


 あ、早速守衛さん助手席に近づいてきたわー。


「よぉこんばんは。

 試合かい?」


「えーと、オーダーマッチ、って奴でさー。

 23番ガレージってどこ?」


 一瞬、その言葉に守衛さんは鋭い目つきになった。


「……金持ち相手の試合か。後ろのは付き添いかい?」


「あー……面倒な試合だから、eX-W二つ持ってきたんだ。

 行きつけのショップの人が付き添い」


「…………いいだろう。まっすぐ進んで行ってくれ。

 すぐ見えるはずだ」


「ありがとうでーす」


 という訳で、すぐに私の乗るトラックとユナさん達のトラックは進むことになりましたー……


「……ずっと見てるね守衛さん」


「おかしいですね、インペリアルリッターオルデンの方が守衛だなんて」


「分かるの?」


「トラストの名簿は、警備担当に至るまで検索できますから」


《こりゃ、23番ガレージっていうのも、存在しないかも》


 コトリちゃん怖ーい。


 …………でも、22番ガレージが見えてきたあたりで、Uターン用の場所になったからそれは間違いじゃなかった。


「止まりますか?」


「止まるしかないのかな?」


《……そうでもないみたい》


 ───床が、ずれて落ちていく。

 そして代わりに、車両用エレベーターっぽいものが迫り上がってきた。



「カモメちゃん、見えてる?」


「見えてます」


「後ろに二人は?」


『オイラには見えてるっすよ』


 クソでかトラック2台が、エレベーターの横に並んで止まる。


 そしたら、前後の床からポールが伸びて、まるで落下防止の為みたいな感じのする固定がされる。



 ───こうして、秘密の入り口から私達は『23番ガレージ』に降り始めた。



「深いね……海の下、っていうか中?」


「───まぁ中でなければ、あれは発進できませんね」


 目の前が明るくなる。

 エレベーターの外、金網越しに見える、巨大な船体。

 まるでクジラみたいな、のっぺりした形の大きな船。


《潜水型強襲揚陸艦じゃないか》


「なんかすごい船なのは分かった」



 そして、エレベーターは下について、両脇から今度こそインペリアルの兵隊さんがやってくる。


「事前検査だ!

 積荷を見せ、両手をボンネットの上に!

 荷台を見る!」


「はーい」


 まぁ見られちゃ困るものないので、言われた通りにする。


「…………このコンドルのエンブレムは!

 あ、あなたが……あの、大鳥ホノカ……?」


「え、なんですかその反応。

 私、確かに大鳥ホノカですけど、ただの傭兵(スワン)ですけどー」


「…………会えて光栄だ。

 これがアルゲンタヴィスか……!」


「実は今、アルゲンタヴィスっていう名前の機体無くってさー。

 フロートのがペラゴルニスで、後ろのタンクがティタニス。

 良い2脚が無いから大変で」


「……ふ、フロートと、タンク……!?」


「2脚と全然違うから、最近大変で。

 ま、戦力にはなりますんで!お金払う相手に損はさせませーん」


 なんてふざけてたら、ああ、なんて微妙なお返事されちゃった……

 検査も終わったみたいだし、もうお口チャックで向かいまーす!

 ごめんなさい、インペリアルの兵士の人ー。



          ***




 ────検査に不審な場所もなく、ホノカ達のトラックは潜水輸送艦の方へ向かっていく。


 そんなホノカたちを後ろで見る検査担当の兵士達は、冷や汗が滴っていた。


「……普通、機種転換訓練は……脚を変えたら、7ヶ月は習熟訓練はしないといけないんだぞ……?」


「…………最近タンクに乗り換えた、あの傭兵伯相手にフロートで良い戦いをしたっていうのはフカしだと思ってた……」


「…………普通、そんな真逆の機体に慣れるもんなのか……??」



           ***



 そんな訳で、中は案外広い整備及び格納庫(ガレージ)な感じの潜水輸送艦に入って、誘導員さんに従ってトラックを停める。


 どうも、ユナさんの知り合いの整備士さんも雇われてたらしく、少しの会話を終えて、機体とトラックの出航準備を始めちゃう様だった。


「あ、ホノカちゃんにカモメちゃんも手伝ってくれっすよ。

 ちょいと交渉も必要なんで?」


「良いけど……交渉って?」


「まぁまずはクソ重いティタニスからバラしておこうっす。腕貸すんでちょっとだけパワー借りるっすわ


 どーも、見てみりゃパワードスーツはあるんすけど、ここの整備兵の皆さん、ガタイは良いけど未強化ばっかでパワー不足なんすよね。強化手術ってやっぱみんな怖いんすかね?」


 なるほどね。

 早速手伝いのために、ティタニスに乗って所定の位置まで移動させて、なんとなくヒナちゃんの強化人間(プラスアルファ)愛溢れる言葉を思い出す。


《眼鏡で視力矯正するし、弱い心臓にペースメーカー付けるぐらいの感覚じゃん。

 脳以外機械に置き換えるって、そんなに嫌なことなのかねぇ?》


 コトリちゃんの言うこともそりゃそうで、私も最初はそりゃビビったけど、まぁなってみれば便利である。

 ティタニスから降りて背中の背骨っぽい部分にある拡張用の端子に、ユナさんがいつも使ってるもう一組の機械の腕をつける。

 私には、神経接続の才能があるらしいとは聞いてたけど……確かに結構すんなりもう2本腕が増えても受け入れられた。ま、脳とつなげたコンピュータのおかげかもだけど。


 重いパーツなのは見れば分かるし、重さも感じるけど持ち上げられる。

 別に新しい腕じゃなくても、元から私は念の為全身機械化された強化人間(プラスアルファ)Lv.4。

 普通に、周りのムキムキ整備員さんより重い物は持てるし、今はさらに2倍持てる。

 しかも、まぁそこそこぶきっちょでもショベルカーとかよりはずっと精密に動けるし。


 私の乗ってるeX-W、ティタニス君結構バラバラにされちゃった……

 でもわざわざ外して載せてくんだな……


「そういえばなんで外して載せてくのやユナさんや」


「あーこれっすか?

 この後お外のMWを載せる都合上、すぐ組み立てられるeX-Wはバラして乗せとくんすよ。

 幸い、ガレージにふさわしい機械式の組み立てアームありますしね。

 ……ていうか、ずっと気になってたんすけど、良いすかホノカちゃん?」


「え、何?」


「オイラのこと、ちゃん付けで良いって前から言ってるじゃ無いっすか!

 さん付けとかむず痒いっすよ……気がついたらさん付けで!!うぅ……」


「いやー、でもユナさんはさん付けでしょー。

 しっかりしてるし、やっぱ3つ年上だし」


「先輩後輩って間じゃ無いっすよ!

 オイラ達一応ダチ公じゃねーんすか?」


「まぁあれ、私も友達と思ってるし、さん付けはあだ名みたいなもんだしねーもはや」


 気がついたらさん付けなんだよねー。

 頼りになるし。


「うげー……まぁ良いんすけどねー。

 じゃ、このガレージ君にティタニスのパーツセットしてきますか!」


 鎖を持って引っ張ってきた天井の方のアームを、腕やコアに付けていく。

 固定したら、あとは壁の機械が格納していく。

 昔見た男の子向けの大昔のロボットアニメ再放送みたい。今じゃありふれた光景だけど、大昔はみんな未来の出来事として見てたのかな……


「さて、後はカモメちゃんヘリと、トラックをベルトで近くに固定っすね……

 それ終わったら、ちょいと交渉タイムっす」


「交渉?」



          ***


 作業が終わって数分後、


「ぬぁんだとぉ!?

 貴様の傭兵の機体だけバラさずにガレージに固定したいだとぉ!?」


 と、コワモテのなんか偉い格好の人に、ユナさん中々とんでもない事言い出した!


「そういう事っす!」


「えぇい!貴様作戦が分かっているのか!?

 ここの巨大な吹き抜け同然の格納用スペースの都合上、揚陸用の水陸両用車やMWをあの通路に並べるほかないんだぞ!?

 eX-Wは場所を取る!ましてや2機も持ち込んで、片方をバラさない理由はなんだ!?!」


「ホノカちゃんのペラゴルニスが『フロート』だからっすよ」


 と、今度は別の感じで驚く偉そうな人。

 なんでか知らないけど、うむむ、とちょっと悩んでいる感じ……



「どうした、騒がしいな?」


 なんて思ってたら、ちょっと派手というか、軍服なんだけど良くインペリアルのニュースで見る派手で装飾の多い、式典とかで見る服のイケメンさん登場。

 わー、マジでかっこいい……脚長……


「グウィンドリン公爵!

 ちょうど良かった……実はなんですがね、」


 と、偉い人明らかに歳下のイケメン氏に敬語で耳打ち。

 多分私のこと……と思ったらイケメンさんただ静かにフッと笑うのである。


「どうやら、そちらの整備士のお嬢さんは傭兵(スワン)稼ぎどきを良く分かっているらしい。

 許可してやれ」


「はい。じゃあそのように」


 わお、意外なほどあっさり許されちゃった。

 なんて思ってたら、そんなちょっと褐色肌なイケメンさんこっちに近づいてくる。


「良い整備士の友を得たようだな、大鳥ホノカ?」


「え、私?」


「ああ失礼した。初見となる。

 私はダレル・グウィンドリン。

 インペリアルにて公爵の位にいるが……君にとっては、レイシュトローム社の社長といえば分かるかもしれんな」


「あー、っと……つまりトラストの方!」


「その通り。

 我が社のパーツも確か使って貰っているようで何よりだ。

 今回の作戦参加には感謝するよ……」


 なんて言いながら、まさかの顔を真横まで近づけてくる。

 何これ、乙女ゲーム!?近……耳元!?



「───オーダーの報酬が決め手となったのは複雑だがな」



 訂正。乙女ゲームではこんなヒヤリとすることいわない。

 知ってる……!?なんて思ううちに、このイケメン氏は数歩離れて向かい合う。



「機体は望み通り、そのまま固定しておこう。

 出航前に、これからすまないがH-2区画の会議室に来てくれ。

 他の傭兵達と打ち合わせがある。ああ、ミス・マッコイ達も連れて来てくれ」


「はぁ……」


「それでは失礼する。また会おう、お嬢さん方」



 そう言って、一礼して立ち去る。所作が……育ちが良い……!


「……さらりとオイラがマッコイさんの部下なの知ってたんすね」


「なんでも知ってるって言うべきかなぁ……じゃあまぁ行こうか」



 なんだろう、この短い会話で今回のヤバさが滲み出ている気がする。

 私に害があるわけじゃないのに、いや害はあるけど、全て掌の上のような。


 ……うーん、考えていたらこれドツボにハマるなさては?


 じゃ行くしかないか……打ち合わせにさ。



          ***

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