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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 2

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MISSION 13 :何がなんでも参加させようとしてくる話





 傭兵系美少女、大鳥ホノカちゃんは今!

 危なすぎるミッションを受けるかどうかで悩みつつ、我らが頼れる優しいアンドロイドオペレーターカモメちゃんの隠し機能を使おうとしていたのだ!


「ええと……USBって何万年前の規格だよ……」


「ポートCは確か、今ホノカさんから見て左の辺りに……」


 耳に当たる部分にあるヘッドセットみたいな機械の丸い部分、カシャンて開くといろんなポートが刺せる穴があるんだよカモメちゃん。


 でー、このクッソ古いメモリを……会うポート穴に…………こうかな?


 ついた。


「では、ローカルでという事なので……壁を借りますね」


 そして、ちょうど良い壁に向いたカモメちゃんの目から、ぱぁって光が放たれて、壁に画像が映し出されたのでした。


「わぁ……すっごいロボットっぽい!」


「この機能、人間の皆さんにも好評ですし、案外使えるので民間向けソレイユモデルにも必ずある機能なんですよね」


「実際便利っすよねこの機能……!

 よくオイラも整備の時の図面床に照らしてもらって、参照にしてるんすよねー」


「まぁ、そんな便利な機能で何が映し出されるかと思えば……」



 ────いつものアリーナの水没都市ステージだ。


 ご丁寧に、日本語の可愛い丸い文字のフォントで……こんなこと言うのもアレだけどファンシーすぎて適当に選んだ感の強いフォントで、『合言葉:オーダーマッチに来た。23番ガレージはどこか?』とも一緒に書かれている。


「20時と言うとまだアリーナは盛り上がっている時間ですわね。

 まぁ、いくらでもeX-Wが運ばれても気づかない時間に来いという訳ですか」


「そっからどうするかは着いてのお楽しみ、か…………


 行きたくねー、私今回は任務断ろうかなぁ〜!?」


 絶対面倒臭いじゃん!!


 未知の場所に落ちる地球から来た宇宙船を回収しに行きます!

 同中は敵がわんさかいるかもです!

 ついでに未知の場所にはこれまで誰も行って帰って来れてないいわく付き!!



《情報が少なすぎる。

 だからこその高い報酬だけど、正直リスクの方が大きいよ。

 君にそれを超える冒険心はあるかい?》


「無い!

 よしじゃあ、データ消して全部忘れよう!!

 この仕事、正直私は便利屋以上にはなれないしさ……自衛は大切でしょう?」


「私もそれが良いと思います。

 トラストのデータリンクがある私の、現在Aクラス権限まで解放されているはずの情報でもここまでデータがないとなると……間違いなく難易度はランカーでも上位の相手向けですもの」


「オイラもこれは危ねぇと思うっすよ。

 辞めた方が良いっすよホノカちゃん、こんなの首突っ込むだけ良い事ないっすよ」


「───では、ワタクシだけ行って来ますわね」



 ……ってぇ、マッコイさん!?

 流石に驚いて、4人でマッコイさん見ちゃったよ!?


「マッコイさん、何言ってるんすか!?」


「言葉通りですわ。

 ワタクシ、ちょっと個人的に思うことがあって。

 まぁ、会計職もどうせ足りていないでしょう?

 在庫管理でもしてきますわ」


「いやいや!!アンタ、死ぬ気っすか!?!

 やばい仕事じゃないすか!

 そもそもなんでショップの整備士まで呼ぶレベルなんすか!?それもヤバいっていう事っすよ!?」


「たしかに。妙な人手不足感もある危険な香りで。

 でも……ごめんなさいね?最悪アナタにこの店あげますわ」


「アンタがそこまで言う!?

 一体何あったんすかマジで!?」


「辞めなよマッコイさん!

 本当これ……私でも躊躇うぐらい危な……」




 と、そんな時突然、強化済みの私の網膜にお電話が掛かってくるのだった。


「まって電話が……非通知?」


 とりあえず出るために、ちょっと意識を集中して電話を繋ぐ。


「もしもし?」


《───お久しぶりですね、大鳥ホノカ。

 管理者No.24……と言えば覚えておりますか?》


「…………」


 相手は、オーダーの管理者の一人、

 昔、2回目の任務で私に嫌な仕事させたその人だった。


「お久しぶりですねー、はい。

 なんでまたお電話を?」


《インペリアルから既に任務の話は聞いているでしょう?

 私からも話があります。

 どうせです、視界にいる皆さんにも聞いていただいた方が良いでしょう。そこのソレイユモデルにも通話を繋げてください》


「……」


 チラリ、と見たら、カモメちゃんはうなづいて、早速私とデータリンクを結ぶ。

 片方の耳のアーレな機械を開いて、スピーカー部分を露出させたら、みんなを集める。


「……それで、話って?」


《簡単に言えば、私からもインペリアルの出した依頼を受けて欲しい、という依頼を出します》


 ……!


「…………一応、私もそういうのは聞いちゃ行けないんでしょうけどねー……なんでまた対立陣営のそちらが?」


《『ギフト2』降下の件は既に以前から知っておりますし、何より我々はトラストが完全に掴んでいない情報を持ち合わせています。

 その上で、我々の目指す秩序ある世界の為には、今はユニオンよりインペリアルに先にコレを渡す事が最善と計算しただけに過ぎません》


 サラッととんでもないこと言ってるぞこの人。人じゃないけど。


「あーそうですか。まぁ、私は事情とかそういうもの考えられるほど頭は良くないんですよねー。

 なんで、私みたいな便利な傭兵(スワン)以上にはなれない相手に頼むんで?」


《分かっているではないですか。

 便利な傭兵(スワン)だからですよ。

 実力もある……あなた自身の評価以上に》


 嫌味でもなく、事実だけ述べてる感じが逆に怖い。

 私、本当に自分、便利屋な傭兵以上にはなれないと思ってるんだけど?


「……私自身、傭兵の誇りもない、ある意味目的ですら軽い生き方なんで。

 今度の任務、受けないつもりだったんですけど?」


《そういうと思いました。

 なので、我々の頼みを受けるなら、という条件を教えておきましょう》


 ちょっとやそっとの前金じゃ動かないぞ?

 何をいう気で?





《インペリアルの前金・成功報酬の合計である88万cn(カネー)を我々は契約金として払いましょう》




 ……………………

 ………………

 …………

 ……



 おぉぉう!?!?!

 今なんて言ったぁ!?!!?



「ぜ、全額前払い……!?!」


《この任務には、それだけの価値と危険性がある。

 便利屋な傭兵(スワン)であり、あなたに危険を冒すだけの強い理由がないと言えど、

 金で動くなら……これで充分でしょう?》


「あ、う、あ…………ちょ、ちょっとタンマ!タンマ入ります!!」


《どうぞ》


 一回、保留モード。

 周りで同じくアバババ言ってるみんなと円陣!


「まま、マジっすか……羨ましいってレベルじゃないっすよ前払い……!!」


「あのあの…………こうなってくると話はだいぶ別では??」


《全部で160万以上……!!

 ホノカちゃんの目的の、1/4以上は達成……!!》


「待って、待って……でもアレじゃね??

 準備料とかそういうのも含めてじゃない??」


「ホノカさん、まず聞いてくださいまし??

 仮に、この前金全部準備に使っても、も、もしも無事に帰れば修理費弾薬費はタダ。

 その分のパーツも後で売り払えば、整備費など持つ代わりに売却費と買値が同じeX-Wパーツなら……!」


《こ、これ絶対罠って分かる。ヤバいのは分かるけど……この金額は、流石に物欲無くても……!!》



 ダメだわ。落ち着けない金額だ。

 ただでさえ相場よりずっと高い任務で、絶対危険って分かってる代わりの好条件に、単純にその額が倍になるってことだ!!


 あーもう、そうなると!!

 ごめん……私は、基本的にお金のため、傭兵やめる金の為に動いてるから……!!




「あー、もしもし?

 受けます。その任務」



 ごめんね。不純な動機で生きている以上、不純な理由で死地に飛び込みまーす……やっちまった。


《ありがとう、傭兵(スワン)

 私達オーダーはオーダーで動きますが、今回はインペリアルに花を持たせましょう。

 私から詳しい動きやスパイ活動などはするつもりはありません。

 あなたはただ、インペリアルの依頼をこなして生き残る事だけを考えてください。


 ……振り込んでおいたので、準備は万全にして行ってくださいね。

 それでは、また》



 電話は、切れた。


 …………細かいことは考えず、みんなで顔を見合わせる。


「…………私行くね」


《まずジェネレーター買おう。68万もありゃ最高級行ける》


「……マッコイさん、オイラ付いてくっすよ」


「どうも」


「……では、準備だけ始めましょう」



 …………勢いでやばい任務を受けるぐらい、魅力的な報酬だった。


 うん…………生きなきゃ!

 金持って帰らなきゃ……!!




          ***



 幸いここはショップなので、早速パーツを買おうと思う。


《はっきり言って、フレーム自体はいい感じに仕上がってる。

 後は武器と内装だ……と言っても武器はこれまでの方向性でいこう》


「ペラゴルニスくんとティタニスちゃん、どっち持ってく?」


《どっちもさ》


「てなわけで、ひさびさにこれ売るのかっていう、最高級ジェネレーター持ってきたっすわ」


 と、ユナさんが4つの腕で掴む荷車の上にある、銀光りする凄そうなパーツがやってきた。


「これは?」


「『KJG-02J SILVERION』。

 別名『銀ジェネ』、全ジェネレーター最高出力の大変に優秀なエクレールメカニクス製の化け物っす」


《マジで化け物なんだよな……あまりの恒常出力と緊急出力に、容量は低いって言っても、はっきり言えば上から数えた方が速いという代物だし。

 何より軽い。今使ってるフラウロスよりも軽いんだよこのジェネレーター》


「でもお高いんでしょう?」


「480000cn(カネー)ですわね。

 お高いのも納得の性能ですわよ」


 前払い報酬がだいぶ吹き飛んだ。

 だいぶ吹き飛んでしまうだけの価値は……あるよね?



《これはペラゴルニス用だ。

 ペラゴルニスは、脚の都合上このジェネレーターじゃないとまたあのランク2クラスの相手が来たら逃げるだけの速度も出せないしね》


「なるほど……実際フラウロスの何倍のエネルギー出力なの?」


《私の生前の頃は2倍かな?》


「今は2.6倍っす。しかもリミッター解除一回には耐えられるっす」


 ほぼ3倍じゃん……!これでペラゴルニスもエネルギーをそこまで気づかわないで動ける……かな?


《ぶっちゃけ、ペラゴルニスはこのジェネといつもの軽いライフル二つ、おまけでこのシンセイ製のちょっと特殊な垂直爆雷ミサイル『|雄牛星五式《ALDEBARAN-5》』で行こう。

 相手に動きを止めてこっちは高速で動き回ってって感じ》


「なるほど」


 見た目はそんなに変わってない、ちょっと背中に新しいミサイル入ってる奴が追加されたペラゴルニスくん。

 次が本格的な任務か……果たして使えるのかな?



《逆にこっちのティタニスは、今まで通りフラウロスでもいいや。タンク脚は意外と低燃費だしね。

 ただ、気になってたから、メインブースターに前使ってたアヤナミマテリアル製の『陽炎3型』にして、アサルトブーストパーツも同じくアヤナミ製『雪風1型』にしたよ。

 タンクと言っても、アサルトブースト出力は高い方が良いしね。

 これでもちゃんと、サングリーズルは使えるし、積載の余裕に合わせて、……火力の足しに、バーンズアーマメンツ製『GGM-600D』を2つ。

 みんな大好きガトリングガンだ。

 手堅い威力と程よい装弾数で良い火力だから、持っておくと安心かな?

 サングリーズルで焼くからあんまり使わないかもだけど》



 そして、ティタニスくんは、なんか背中が大分充実してる感じ。

 右腕の巨大なサングリーズルに、左腕にはあのスナイパーキャノン、背中にデッカいガトリングが2つ……


 まさしく、動く要塞な趣きだ……



「…………二つとも持ってくって、なかなか贅沢だな」


《帰ってきたらどっちか売れば良いさ。

 一気に、辞める金額に近づくよ?》


「帰って、来れればね」



 さて……後はこの二つを専用のトラック|(パーツよりずっとやすいので買った私物)に乗せて、目的地まで行くのみ。



 …………改めて、私も金に釣られてホイホイよく行くもんだな……傭兵の才能って奴、あっても嬉しくないかも。



 …………ヤバい任務が始まる……



           ***

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