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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 2

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MISSION 11 :乱入して乱射してくるとかとんでもない人だわ







 傭兵系美少女こと私、大鳥ホノカちゃん大ピンチです!

 ちょっと扱いが難しいパーツで作った新機体のテスト中に、赤い機体が乱入してきた!



<コトリ>

《スラッグくるぞ!!死ぬ気で避けろ!!》


 赤い4脚機は、凄い速さで海面を進んで近づいてきた!

 背中のキャノンみたいなのが向いてる!

 避ける!!


 アサルトブーストで右へスライドするみたいに避けた瞬間、ペラゴルニスの横に拾いフロート脚全体に穴が開きそうな散弾が真横を通り過ぎる。


「何アレ……!?」


<コトリ>

《なんだって良いよ今は!とにかく動きを止めるな!!

 スラッグに当たったらフロートの紙装甲なんて一瞬でスポンジみたいになる!!》


 私も余波でスポンジになんかなりたくない!!

 とにかく、空中を縦横無尽に避ける!!

 幸いというか、フロート脚のペラゴルニスはものすごく早いし、物凄く軽快に避けてくれる!!


 避けてくれなきゃ、真下から来る弾丸でとっくにスポンジになってるよ!!


「ポンポン撃ってくるなぁ!?

 それも右腕も散弾じゃん!背中のはなんか鋭い感じの弾丸だったけど!」


<コトリ>

《さすが目がいいね、見えたんだ。

 スラッグ、って本当は大きな一粒の弾丸を指す言葉だけど、あの極悪貫通性能の槍見たいな弾丸を、Eシールドが減衰しやすい面制圧の数でぶち込んでくる。

 問題は、その衝撃が本来の単粒弾(スラッグ)食らったみたいに強烈で、並のeX-Wなら脚が止まっちゃうんだよ。


 フロートは当たったら最後だ、

 何せ全部の脚の中で、一番安定性が低くて衝撃に弱い!》


「一切当たらないで戦えるけど、一発でも当たったら最後って!?

 お在庫様にもなるはずだよね!!」



 だけど、おっそろしい範囲に広がってやってくるスラッグを避けながら思う。

 これが2脚だったら、こうやって完全回避も無理だ。

 フロートで良かったと思うべきか、なんで今フロートの時にこれなんだよと思うべきか……!!


 にしても、なんで突然襲いかかってきたんだよ、あの赤い4脚は!?




           ***



「あはは♪

 全部避けるのね、素直に凄いわよ!」


 再び、肩のスラッグガンをぶっ放し、空を舞いながら回避飛行を続けるペラゴルニスを追うアンネリーゼの操る4脚型eX-W『ブラッドハントレス』。


 高速型4脚に恥じない凄まじい速度と、恐るべきスラッグでペラゴルニスを追い立てていく。


「本当にフロートは初めてかしらね。

 こんなに外すのは、子供の頃はじめてのハンティングで撃ち漏らした鳥以来よ。

 でも、避けてるだけじゃダメね。

 反撃してみなさいな!!」


 再び、射程にとらえたペラゴルニスにスラッグを放つ。

 と、そのペラゴルニスの背中のハッチが展開し、ストライクブーストを起動し、一瞬大きく距離を離される。


「逃げると追いかけたくなるでしょう?

 悪手よ、それは!」


 しかしブラッドハントレスのストライクブーストを起動し、こちらもすぐに追いかけるアンネリーゼ。


 しかし、突如目の前────神経接続を介してみるカメラアイのすぐ目の前に弾丸がやってくる。


「!?」


 頭部の前に展開しているEシールドに命中し、Eシールドが減衰。

 数度、ブラッドハントレスの四方八方から弾丸がやってくる───回避出来たのは二発目以降からだった。


「まさか、逃げていたんじゃない……!?」




          ***


「うわ、避け始めた!!」


<コトリ>

《でもこれで、こっちの得意な距離だ!!》


 いい加減反撃したいと考えていた私たちは、頼れるコトリちゃんの電子頭脳の導きでこの作戦で行くことにしたのだ!


 と言っても、離れて戦うってだけだけど!!


<カモメ>

『ブラッドハントレス、また距離を詰めてきます!!』


<コトリ>

《相手の距離データはヘリからも可能な限り送って!!

 常に距離だけは最優先で視界に映す!!スラッグ喰らいたくないなら絶対にそれ以上近づかないで!》


「おっけー!

 あとは撃ち続ければ良いだけ!!」



 まずは作戦通り、ペラゴルニスのフロートの速度で距離を一定に離すよう動く。


 この速さでも、ペラゴルニスの信じられない旋回能力で武器を向けて、撃つ!

 両腕とも若干威力は不安なところあるけど、射程が長いし案外連射できるから、確実にダメージを与えられる。


 当然相手も避けるし近づく。こっちの命中は体感1/3。なんて腕だ!

 でもこっちも全力で回避!!

 相手の左腕のライフルはこっちの左腕と同じ。

 向こうも牽制で撃ってくるし、この攻撃もペラゴルニスには致命的!!


 回避して、近づかれた距離をまた離れる!

 そして攻撃、反撃をなんとか避け、当たった!?


「当ててくるのか!?」


<コトリ>

《上半身だ、まだ大丈夫!!

 気をつけなよ……今のペースで攻撃サイクルを崩さないようにしないと、相手はものすごく強い!!

 殺す気でやれ!》


「殺す気でやってるさ!!

 じゃなきゃやばい!!

 いても絶対こっちを殺す気だ!!」


 なんでこんな目に、とか思う暇もないぐらいストレートに殺そうとしてくる!!

 もうじゃあこっちも容赦とかできない。

 というか、容赦なんかしたら死ぬ!!


「強すぎる……今までと違う!」




           ***


「───合格よあなた。

 当初の目的はもう達成したけど、こうなったら本気で遊びましょ?


 命をかけて!!本気のお遊びを!!!」



 アンネリーゼは内心、凄まじいまでの歓喜と欲求が湧き上がってきた。


 目の前の「大物」を撃ち落としたい。

 ───狩りたい、と


 その気持ちのまま、左腕の射程の長いライフルで牽制し、速力が落ちた相手へ一気に近づく。

 単純な2倍の脚、そして2倍の速力。

 物理的にはあり得ないような理屈だが、そう感じるほど完璧に4脚最大の運動能力を持って、そしてこの速度性能で選んだパーツ達で構成されたフレームの力、高出力ブースター、そしてエネルギー負荷の大きな機体を支える最高級ジェネレーター、さらにその出力を強化するオプションパーツなど、全てを使って近づく。


 今まで、狩ってきた相手の命と引き換えの金、全てつぎ込んだ愛機で、その力全てを限界まで引き出す自らの技術で、この目の前の強敵を狩る。


 今、アンネリーゼはそれだけを考えていた。



「Aランクか。ふふ……まだそこにいたのが悔やむわ。

 ひょっとしたら、私の肩書き(ランク2)を差し上げる事になるかもね。


 まぁ、そんな事絶対にさせないけれど!?」



 ストライクブーストを起動。

 多少の被弾は、無視しようと今決めた。


 O.W.S.製フレームの上半身と、AI社最速の4脚の生み出す運動性能と、最大推力型ストライクブーストを全力で起動して、

 背中のスラッグを、右腕のショットガンを叩き込むために、距離を詰めると決めた。


 決めたからには、彼女は直線を選んだ。




          ***


<コトリ>

《仕掛けてきた!!

 こっちもストライクブーストを起動しろ!!》


 まずい!!

 すぐにあの極悪兵器のスラッグの餌食になるかもしれない!!



 さて、距離を離すにしても問題があるのはおバカな私でももう体で理解してた。

 多分だけど、ストライクブーストで先に息切れするのはこっち。

 何せ今までで、そして今の回避でエネルギー残量ゲージがやばい。


 つまり、工夫しないとどのみち私は追い詰められてスポンジみたいな穴だらけになっちゃう。

 あるいは蜂の巣?穴だらけなのは確実だ。



 ───イチか、バチか……!




 ストライクブーストを起動。

 行く方向は──────『真上』だ!!



<コトリ>

《なるほど!!》


 ヒナちゃんの言葉で、可能性はやっぱこれしかないって分かった。



          ***


「まぁ……!」


 アンネリーゼの目の前で、ペラゴルニスは大きく空へと舞い上がった。


「フロートだもの、いえ、鳥なのだものね大鳥ホノカ?

 空を飛ばなきゃ意味がないし……ふふ、撃ち落としたくなる飛び方じゃないの!!」


 思わず舌なめずりしたアンネリーゼは、射程内に一瞬入ったペラゴルニスに向かってスラッグを放つ。


 しかし、真上へ向かうその翼には届かず、もう一発もまだ届かない。


 だが、分かっていた。

 もうすぐストライクブーストが切れる。


 その時、その時が勝負だ。


「上を取ってどうするのかしら?

 逃げるつもり?それとも諦めて当てやすい的になった?」



 いや、

 違うことぐらいもう、分かっていた。



          ***



 ちょっと早いけどぉ……ストライクブーストを切る。

 そして、背中に向かって大きく旋回……ッ!!


「グッ……!!」


 強化されてるから、この程度で済んでる。

 そんなすごいやばい衝撃と振動で……!!

 意識が飛ばないだけで……!



 空が、太陽が、流れて、逆さの街……そして海……!


 見えた。相手の姿が!


「────全弾……!!」


 真上なら、落ちるだけでエネルギーは使わないで加速できる。

 後は回避だけ考えて、攻撃に集中する!!


<コトリ>

《行け!どのみち急降下で全部叩き込むしかもうできない!!》


「……持ってけ!!」


 引き金を──────





          ***



「受けて立つわ。その勇気と知恵に敬意を!!」


 アンネリーゼは、真上から迫るペラゴルニスに照準を合わせる。

 ブラッドハントレスの火器を全て向け、今引き金を──────












<フィリア>

『そこまでだ!!!』









          ***



「!?」


 瞬間、思いっきり空中で減速する。

 だって、無線機から聞こえた声……聞き覚えがあるし、この表示……!



<インペリアル部隊長>

『双方武器を納めろ!!殺し合いは別の場所でやってもらう!!』


 この無線の表示は、少し前の戦いで一緒だった!


「その声、インペリアルの人!?」


<インペリアル部隊長>

『フィリア・ブロイルズだ!

 久しぶりだな、傭兵(スワン)。その人が迷惑をかけたことを謝ろう』



 やっぱり、あのでっかい自立兵器を倒した時一緒だったインペリアルの人!

 リミッター解除やっちゃった後に、運んでくれた人!


<4脚機のスワン>

『謝るのはこちらね。大変失礼したわ、大鳥ホノカさん。

 言い訳で申し訳ないけど、貴女がすごく強いせいでつい熱が入ってしまったわ』


 と思ったら、向こうの4脚の人からも通信が。


「なんで襲ったのさ!

 弾薬費と修理費、安くはないんだけど!?」


<4脚機のスワン>

『重ねて申し訳ないわ。

 まぁ、こちらが完全に悪いもの……お金は出す必要はあるわね』


<コトリ>

《オイ、殺しかけて呑気な会話だよね。

 こっちは相棒の傭兵(スワン)殺されかけてるんだぞ?》


<カモメ>

『場合によっては重大な違反行為です!

 トラストが関与しないトラブルは、依頼主と傭兵との間だけですよ!?

 どういう目的があって、このような戦闘を仕掛けたのか、納得のいく説明を!」


「そーだそーだ、ヒナちゃんカモメちゃんもっと言ってやって!!」


 と、例の襲ってきた相手は無線越しに、クスクスおかしそうに笑っている。


 何がおかしいんだよぉ!?


<4脚機のスワン>

『そうね……無礼は全てお詫びさせてもらうわ。

 私は、アンネリーゼ・レーヴェンタール。

 ランク2、ブラッドハントレス。

 とは言わなくても、真上のオペレーターならもう分かっているわよね?』



「こりゃご丁寧に。

 ……ランク2?マジか……!」


 沢山いる傭兵(スワン)の中でも、50人しかいないランカースワンの、上から2番目!?

 なんでこんなところに……!?


<カモメ>

『インペリアルの『傭兵伯(ゼルトナーグラーフ)』……!

 自らの領地と領民の為に傭兵家業を行うインペリアルの貴族の一人……!』


「そんなすんごい肩書きの人がなんでこんなことを?」


<アンネリーゼ>

『無礼ばかりで悪いのだけど、『テスト』よ?』



 テストぉ?

 一番嫌いな単語が出たな……!!

 数学とかだったら勘弁!!


<カモメ>

『テスト?』



<アンネリーゼ>

『詳しくは、フィリアさんからお聞きなさい。

 貴女を推薦した人間に。


 ちなみに、結果は『合格』だけど』



「一体、何を試したっていうのさ!?」



<フィリア>

『重ねて非礼を詫びる。

 これは……インペリアルのある依頼をこなせるかどうかの、テストだ』


 え?依頼?


<フィリア>

『体感した通り、極めて危険なものだ。

 そして、色々と事情があってトラストの通常回線越しでは話せなかった。


 危険だが、報酬も高くなる予定だ。

 まず、口頭ですまないが話を聞いてはくれないだろうか?』





 ────突然襲撃されたと思ったら、それはインペリアルからのテストだった。


 テストで合格しなきゃ受けらない依頼?


 なんだろう……すっごいやな感じ……!



「…………一応、聞くだけ聞こうか」



 やな感じだけど……まずは聞いてみて判断しないと。

 一体、何を頼むっていうんだ??




          ***

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