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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 2

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MISSION 5 :強い敵の方が案外、楽









「うぎゃーーーーっ!?!」




 突然の絶叫ごめんね?

 私はみんなの傭兵系美少女、大鳥ホノカ♪



 突然でアレだけど、今後ろから撃たれている。



<ユニオン正規兵>

《敵影捕捉!射撃中は射線から離れろ!!》




「言うのが遅いんですよねぇぇぇぇぇ!!!」




 今回の任務は、このバリア外と人類生存圏のゲートを分ける物凄く深くい大渓谷を繋ぐ橋での戦い。


 ユニオンとインペリアルの戦いの中、ユニオンの足りなくなった兵隊さんの補充として、訓練終わったばっかりの新人さん達の補助が内容です。



 …………オイ、早速誤射られたけど?




<コトリ>

《言うのが遅いし当たってないし、ついでに装填遅すぎじゃんかよ。

 橋の上とか言う相手が来る方向分かりきってる相手にこれ?》



 橋の上から、インペリアルの部隊が逆に攻めてきてまーす。

 向こうのほうが手慣れてるし、こっちがこうやって誤射に気をつけて橋の塔を蹴って登って上から撃ってなきゃ……これ負けるんじゃない?



「ねー、新人さんって言っても気合い入れてよー!!

 さっきから私しか撃破してないじゃん!!」


<コトリ>

《支援って書いて『こどものおもり』って読むとはね。

 これならこっちが単騎で敵陣地攻めて相手部隊壊滅させたほうが早いかも》


<オペレーター>

『……コトリさんすみませんが、どうやらそうはさせてくれないみたいです。

 敵増援を確認……攻撃ヘリ部隊、多数!!』




 アルゲンタヴィスのカメラが、遠くの空からやってくる物を見る。


 回る扇風機みたいな羽根、ローターっていうらしいアレが二つ左右に並ぶでっかいのは、私とアルゲンタヴィスを運ぶオペレーターさんの乗るやつと同じ。

 でも……なんだか改めて見ると、デカいガトリングとかミサイルとか積んでて強そうだなぁ、あれ!?



<コトリ>

《げぇ!?

 バンブルビー!?!》


「なにそれ!?!」


<ヒナ>

《HA/C-07Vバンビルビー。

 エンフィールドの航空艇部門の作った、輸送も攻撃も同時にできるぐらいアホみたいな積載量の傑作ヘリだよ!

 V型とか言う文字になるぐらい長年使われてるんだけど、あだ名がメタクソ怖いハチちゃんなんだよ!》


「あだ名ってなにさ?」


<コトリ>

《『空の駆逐艦(スカイデストロイヤー)』》



 うん、デストロイとかすでに怖いって私でも分かるー。



 キュゥン、ボォォォォォォォォォォッッ!!!



「って撃ってきたぁ!?」


 ドデカイ身体から生やすドデカイガトリング砲からボンボンぶっとい弾丸を吐き出してくる。

 怖いってレベルじゃない……!!


<コトリ>

《左危ない!!

 コイツは名前通り『航空力学ガン無視』の飛行能力なんだ!!》


 まるで滑り込むようにこっちにやってきて真横で旋回するのを私の視界と繋がったカメラが捉える。

 いやもうあのおっそろしいガトリングと、なんか飛び出してきたミサイルランチャーも向けてくるんだもん、素早く!


「チートかよぉ!?」


 全弾発射されたので、こっちもチートなアサルトブーストでドヒャア、ドヒャアとガンガン避ける。


 ジェネレーター、変えてて良かった。

 ブースター、変えてて良かった。


 あー、生きてる心地がしないのは生きてる証拠なのかな……っと!!


 私は、アルゲンタヴィスの脚で橋の塔を蹴る。

 銃弾とびかう中をカスリはEシールドが防いでくれるって祈りながら、削り切る前に一気に近づく。


「そのハチの羽根ぶっ壊してあげる!!」


 ガキャァン!!

 空中蹴り(ブーストチャージ)、決まった!!

 こちとら強化手術済みの強化人間(プラスアルファ)だ!!

 蹴りなんてもう慣れてまーす!!神経接続操縦すごーい!!


<コトリ>

《ローターに命中!!怖い怖い……まぁ、ぶった斬るほど頑丈じゃないか!》


 片方のローターが破壊されて、くるくる回りながら落ちるヘリ。

 地面で爆発するより早く、くるりとレーダーで見えてた後ろのヘリにドヒャアと急速旋回(アサルトターン)


「気づかないわけないよね!!」


 スナイパーライフルとバトルライフル、右と左の弾丸が、正確にエンジンのある両脇のプロペラの付け根に着弾。

 一発じゃ無理っぽい。

 まぁ、この二つとも連射性そこそこあるけどね!!



 ハチが蜂の巣になって、即座に爆発して落ちることもなく四散する。


<オペレーター>

『敵機撃墜、残り3!』


「あれ!?少なくな、うぼぁぁぁ!?!!」


 と、すっごい衝撃と共にアルゲンタヴィスがバランスを崩して落ち始める。


「何か当たったよね!?Eシールド削れてるし!!」


<コトリ>

《下から!!》



 落ちていく隣の橋、見えるのはそれに向かってやたらめったら撃ちまくってる味方部隊。


<ユニオン正規兵>

『スワンが落ちた!!我々だけでも奴等を落とせ!!』


「落としたのそっちじゃん!!」


 うわぁ、真っ暗な谷に落ちたくない!!

 橋の下あたりでブーストを使って姿勢を正して、上昇……でも、流石にエネルギー足りない!飛びすぎてた!?


<コトリ>

《あそこに足場がある!!》


 コトリちゃんの言葉とルート誘導線の方向、多分旧型っぽい解体途中な小さな橋が隠れてたのが見えた。


 よっしゃ、とそこへ着地。

 案外頑丈で、まだアルゲンタヴィスが登っても崩れそうな感じはない。


「ふいー……なんかエネルギー残量ゲージ赤くない?」


<コトリ>

『レッドゾーンは下回ったらチャージングするって意味だね。

 チャージングしなくて良かった……流石に助からないよこの谷は』


 怖いなぁ……空中戦するのも一苦労か……


「…………ん?」


 ちょっと待って、谷とか周り見てたら……なんか変なの落ちてるんだけど。


<コトリ>

《え、ウソ……》


「何これ?」


 資材とか、廃車とかと一緒に、銀色に光るでっかいものが一個。

 …………これ、大きいけど、グリップがある。

 四角いし分厚いけど……銃口、じゃないの?


「……これって、eX-W用の武器!?」


 間違いない。

 私の持ってるライフルより分厚くてデカいけど、これ腕で持つタイプの武器だ!



<コトリ>

《さ、サングリーズル……!?》


「なにそれ?」


<コトリ>

《プラズマライフル……いや、あえて『プラズマキャノン』と言うべきかな。

 『サングリーズル PL-01A』

 …………私が、生前は散々お世話になった武器だよ……》


 はは、と珍しくなんだか楽しそうな声のヒナちゃん。


<コトリ>

《重いんだけどさ……重いせいで狙いも付けづらい……

 でも、大抵の相手は殺せる……見てよこのフォルム……ティラノサウルスの頭骨みたいで……私、好きだったんだ……》


「……へー……」


<コトリ>

《…………流石にアルゲンタヴィスの腕と脚じゃ重量過多さ。

 リコンのフルトンマーカー打っておこう。

 そしたら、橋の上に戻ろう》


 オッケー、とリコンを放って、それにマーカーを撃ち込んでもらう。


 スワンが戦場で、なんらかの理由で手に入れたeX-Wパーツは、拾った者の所有物にして良い、だったね。


「重いってことは、私と似た理由でここにきたスワンが、置いてっちゃったのかな?」


<コトリ>

《勿体無いね。

 ま、ありがたくもらおうか。

 そのためにも、》


「うん、まずは!」


 下の古い橋から飛び降りて、戦場である元の上の大きな橋に舞い戻る。



<オペレーター>

『ホノカさん、結構まずい状況です!

 味方部隊の損失がかなり大きく!」



 気がつけば、味方の砲火が大分弱々しいけど……デカいヘリが2機残ってる!


「じゃあ早速!」


 どっちもいい威力のはずのライフル数発叩き込んでようやく抜けるぐらい硬いバンブルビー。

 そのくせ旋回も移動速度も私のアルゲンタヴィスほどじゃないけど、すいすいーいってやっちゃうもんだから、なかなか落ちないし反撃もキツい。


 まったくぶっとい見た目通りたくさん武器を内蔵しちゃっててさぁ!!

 いつも運んでもらってるヘリがこんなに強いとか反則じゃん!?


<オペレーター>

『目標撃墜。残り1機!!」


「けどこれで最後だ!!」


 片方のローターが火を噴きながら落ちていく。

 その後ろから、ガトリングをぶっ放してまさに必死な悪あがきの攻撃をしてくる!!


「怯むとでも思う!?

 こちとら、ミサイルの雨でも怯まないのが自慢なんだから!!」


 ここまできて避けるか!!

 Eシールドの減衰より早く、落ちろ!!


 二つのライフルが命中したローター二つが、胴体と外れて落ち始める。


 射線がブレブレになってなお放たれ続けるガトリングがあらぬ方向を向きながら、暗い谷に吸い込まれていく。


 ────ややあって、ボンと暗い谷底で爆炎が見えた。

 命をかけた花火は、案外小さい光だった。



<オペレーター>

『全目標の撃破を確認。

 インペリアル部隊、撤退を開始しています。

 ユニオン前線指揮所から連絡がありました。

 ミッション、終了です!!』


「よし、終わ」




 バババン!

 ボン!!



 その時、一瞬すごい衝撃が下から来た。


「へ?」


<コトリ>

《脚部破損!

 あー、飛べるけど、着地はちょっとキツイかな……この壊れ方》


 え、まって……待って……今のなに?



<ユニオン正規兵1>

『うぉぉぉぉ!!インペリアルの侵略者どもが撤退しているぞぉぉぉ!!

 まだ攻撃をぉぉぉぉぉ!!!』


<ユニオン正規兵2>

『おいバカやめろ!!終わりだ!!

 撃つなアホ!!』



「………………あはは、そっか。

 誤射ね。うん誤射。何度目かの誤射ね……あははは……」



 ………………すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!





「ふざけんなこの野郎──────ッッ!!

 修理費タダじゃないんだぞぉぉぉぉぉッッ!!」




 しかも、まだ撃ってる。

 敵いなくなってるよ。


<コトリ>

『新兵だからって許されると思うなよ……

 ねぇ任務終わったしさ、個人的な火器使用は認められるよね……?』


「右に同じ!!」


<オペレーター>

『流石にダメですって!!

 一応、依頼主と傭兵(スワン)の間にトラブルがあっても我々トラストは何一つ保証できませんけど!!

 今日は落ち着いて帰りましょ?ね?ホノカさん!!』



「ふじゃけんなー!!!

 せめて誤射分の修理費払えー!!!!」









          ***






 この後、不服だけど、

 まぁーーーーー私は??理性的な傭兵さんですし??

 文句は言いましたけど帰りましたよ、そりゃあねぇ??私はちょっとだけ戦場慣れてる子ですしぃ??







 ……でも、間違いだったんだ、それ。










 報酬総額:24000cn


 修理費:-7890cn

 弾薬費:-1490cn

 特別減算:-6000cn


 減算内容:友軍被害1000cn×6



 報酬:8620cn








「ンァ──────ッ!?!?!?!?!??!」







 これは、変な叫び声あげても許されるよね。

 許されるよねぇ!?!?!







          ***

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