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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 7

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MISSION 9 : 一発だけなら誤射かもしれない









 任務終了、帰投、火星統一政府軍前線基地




「へぇぇぇぇぇ???????

 私がどれか忘れたけど、君の友達ぶっ殺してたのが許せなくてつい一発ぶっ放した訳なんだ〜〜???

 へぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ??????????????」




 なんか任務終わりに雇った側に襲われちゃった系傭兵な可愛い女の子、大鳥ホノカちゃんでした。



 いま、目の前で必死に目を逸らしているその撃った子に斜めから変顔しながら改めて状況を問い詰めてまーす。



「…………あ、あなたは、部隊にいた親友を殺したから……!」



「だろうねぇ〜〜〜〜????

 覚えてないけどさぁ〜〜〜〜????

 まぁ仕事と言っても人殺ししてるし、仇取られてもさぁ、正直文句は言えないよねぇ〜???


 ま、殺しに来たらそりゃこっちも生きたいって思うから殺し返すけど……おっと手が滑った!!」



 私がこの前買ったばっかの拳銃を取り出した瞬間、周りの兵隊さんが銃を構えた。

 で、無視して私は銃をこの怯えた小動物ちゃんの目の前に落としてみた。


 ビクッと反応して、その銃を見る。



 …………おかしい反応だね。



「あ、周りの人ー、ごめんね手滑らせちゃってさー!

 撃たないから拾わせてねー?」


 サッと拾ってサッとしまう。

 …………うーん、あっさり。



「…………何のつもりだ?」



 ふと、そんな小動物な自称復讐者ちゃんの後ろから、ボブカットヘアーにツノ付きの綺麗なお姉さん登場。


「あ、隊長さん?落としただけだよ拳銃を」


「傭兵、何のつもりで銃を落とした?」



 名前忘れたけど、まぁ味方の方の火星統一政府軍の隊長さん。

 前に助けてくれて、今回も一緒の作戦だった人。


 で、今は部下の失態を叱るしでも私から守る気のある優しい信頼できる隊長さん……か。



「何のつもりって言われても困るんだよね。

 ウッカリだよ、ウッカリ」


「ウッカリだと?」


「今日はうっかりが多いよね。

 何でか知らないけどここ通す時も武器のチェック無しで入れたしね。


 ついでに言えば、さっきは危なかったなー?


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()??」




 ハッとなった顔の、小動物みたいな怯えた顔。

 対してその子の保護者の隊長さんは、今にもこっちを殺してしまいそうな顔。


 ─────後ろの兵隊さんは銃を下さないでこっち狙ってるし。




「まぁお互い生きてるんだもんね。

 別に、何であれ殺しかけた保証払って貰えば、私は文句ないから。


 というわけで私は戻るね。次の仕事とか確認したいし」



 退出するよって言いながら、話し合いの場から離れる私。


 さて、相変わらず銃向けられっぱなし睨まれっぱなしに相手は怯えっぱなし。


 ま、何もしてこないなら、コレで話は終わりだよ。




「───それで良いのか?」



 おっと……この隊長さんそれ聞いちゃうわけ?


 振り向いたら、絞り出したというかつい出ちゃった声の下塞ぐようなポーズで、俯いている隊長さんがいる。



「良いよ。疑わしいってだけで、殺して安全確保だなんてしないよバカみたいなこと。


 私、仕事以外で人殺しする気ないし。

 あんたも、そこの怯えてる復讐したかった子ちゃんも、別に戦う依頼も殺す依頼も受けてないから」



「………………」



「お互い仕事をした。失敗もあった。

 それで終わりでしょ?」



 はいはい、終わり終わり。

 バイバイと手を振って退出だ。







 ………………

 …………

 ……








 ─────ここはハンナヴァルト領。結構長くいるせいで勝手知ったるになっちゃった場所。


 火星統一政府軍の仮説基地から出たあたりで……やれやれと脳内マイクをオンにする。



『で、みんなどう思う?』



 ずっと繋ぎっぱなしだった無線の先、最初の答えはあの子。



『どうって、演技派なホノカちゃんの百点満点の演技は良かったで?

 ま、多分予想通りっていうおもんない話やけど』



 リンちゃんの、嬉しい言葉と、辛辣な予想だった。



『だぁーっ!!ムカつくんじゃあの澄まし顔がァ!!!

 どうせ組織ぐるみじゃろうが!!!

 今からトップに乗り込んでけつの穴にパイル突っ込んで奥歯ガタガタ言わしにいったろうかアイツらぁ!?!』



 ヤクザかな?ヤクザじゃないよ、キリィちゃんだよ。




「ま、気持ちはわかるけど」



 なんて歩いているうちに、休憩所に使ってるガレージに到着。


 ずっと盗聴してたリンちゃんとキリィちゃんがヤンキー座りして待ってましたとさ。



「おう、おかえりィ!」


「ホノカちゃんも飲み(モン)いるぅ?1cn(カネー)でええで?」


「1万円はぼってるでしょ?」


 と言うわけで、いつもの企業内通貨じゃなくてユニオン円を二百円分渡して一本サイダー貰ったよ。


 私はヤンキー座りしないから、そこら辺の弾薬ケースの上で座ってペットボトルの蓋開けて一口。



「……ホノカちゃんはどう思うん実際?」


「どうって?」


「あいつら、味方になっとるくせにウチら傭兵(スワン)を背中から撃っとるねん。

 けど、そんなもん恨み買っとるから当然や思う。


 せやかて、なんか命令で撃たれとるくさいのは、なんか普通に個人の恨みで殺されかけるより嫌やろ?」


「嫌に決まっとる!!!

 アイツらワシの大切なブラックインパルスを傷物にしとるんけぇのぉ!?

 どんな理由があるにしろ許すかクソボケァ!!「


「私バカだしよく分かんないけどさ、

 ま、信頼も信用もお互いなかったし、こうなるかって感じはするね。

 まぁ、金払ってるうちは素直位に従っておこうじゃん?

 全額前払いは気をつける。

 それがいいし、」



「あー、みんなもそんな感じか」




 ふと、横からやってくる小さな影は、


「エーネ!ミッション終わりか?」


「アイツらに後ろから撃たれたりされてないじゃろうな?」


「されちゃった。ま、復讐はしたけどね。

 みんなもされちゃった?お疲れ様」



 エーネちゃん、普段優しいけどやる時は即座にやるからね。多分相手は撃った時点で殺されてるね。



「まぁ、私はいいんだけど……ほら、あっちがね」



 エーネちゃんが指差した先には、お通夜状態の新人傭兵ちゃん達が3人。



 …………3人?



「……ミコトちゃん、ギャルのハルナちゃん、委員長フミカちゃん……あれ、ノドカちゃん姉は?」


「死んじゃった。

 元々死にかけてたけど、背後撃ちでさ」



 あーあー、ミコトちゃん泣いちゃってるよ……

 じゃあ、あの黒い袋の中身が……あーあー、中身の原型どんだけ留めてるかな?



「…………残念やな」


「チッ……死はいつものことじゃがの……じゃがのぉ、あんのクソカス共……!!」


「こんなんじゃ、お金積まれても依頼受けたくも無いけどね。

 信頼がない依頼主だなんて、嫌だよ」


「………………なんか奢ってあげるか、新人ちゃん達にさ」







「───もうヤダァッッ!!!!!!」






 なって言ってたら、ハルナちゃんが叫んだ。


「どうしてあーし達が戦わなきゃいけないの!!

 死ぬかもしれないのに!!!

 なんで辞められないの!?!

 なんで辞めるのに天文学的なお金がいんのさ!?!


 もう嫌だ!もうヤダぁ!!!!!!


 うぅぅぅ、なんでこんな簡単に人が死んじゃうんだよぉぉぉッ!!!


 うぅぅぅぅうわぁああああああああっ!!!!」



 大号泣。宥める周りも顔が暗い。



 …………そらそうか。

 戦いは、怖い物だったか。




「………………酷い言い方なのは承知だけど、私達強くてよかったね」



 つい、そんなことを言っちゃうぐらい、空気が重い。



「なんなら、お互い殺し合えるような『お友達』の間柄やしな」


「狂っとると言われたらそれまでじゃろうが、まぁお互い敵に回っても恨みはしないけ?」


「殺しは、するけどね。そうしないと死んじゃうし。

 ……言っててアレだけど、よくもまぁ酷い事平気でできるもんだよね。

 私達、休日にお買い物行く仲なのに、そのまま依頼で殺し合えるんだもね」


「……本音言うとさ、お買い物行く中だけですませたいけど。

 でも同じぐらい本音で、そんな甘い事考えてたら私が死ぬよね。

 味方だろうが敵だろうが、友達でも殺し合う結果になったら先に殺す。


 そんな精神だから、そんな異常な精神だから、平気で生きられるのかもね。私達」


「…………ま、仲良しグループなウチ達は、その時が来たら同じく地獄行きや。

 時差が多少あろうとも、地獄行きは間違いないもんな」


「…………私は最後が良いなー。

 傭兵さっさと辞めて、天寿をまっとうして地獄に行ってやるんだ」


「できたら良いよね、ホノカちゃん強いからこそ死地がやってくるタイプだし」


「エーネちゃんもね」



 はぁ、といまだ悲しい声が響く場で、ため息が出る。



「…………なんで地獄行きを速めようって裏で動かれてんだか……」




           ***




 あの後、私は自分に用意された部屋に戻ったんだ。

 そろそろカモメちゃん帰ってそうだし。



「お待ちしていましたよ、大鳥ホノカさん?」



 部屋にはお客様がいた。

 たしか、火星統一政府の……一番偉い糸目の人。



「…………なにさ、えっと大統領だっけ?首相閣下だっけ?」


「行政官代表、カヨコ・ヒーリアですよ。

 名刺でよろしければ、どうぞ」



 この人、図々しいけどあくまで礼儀正しいんだよね。

 わざわざ名刺まで貰うとはね……カヨコ代表さんね。



「ところで、後ろの人はあんたの護衛?

 それとも暗殺者?」



 と言うわけで、後ろの黒服お姉さん二人組見ながら言うわけだね。



「ああ、暗殺は失敗したので、今回は護衛にしましたよ」


「アンタ、正直ね」


「騙しはしますが、もうバレた嘘を誤魔化す気はありませんよ」


「……ところで、そこの正座させられてるうちのオペレーターさんに変なことしてないよね?」


 緊張した顔でこっちを見てきて、たとえそこの二人より強かろうアンドロイドのカモメちゃんといえど心配なんだよ。


「そこも難しかったのでしてませんよ」


「じゃあ何しに来たの?」


「…………強いていえば、追加依頼を」



 追加依頼?



「気づいていますが、私たちにとってはあなた方が作戦を遂行する戦力としては頼っていますが、正直言って邪魔なんですよね。

 傭兵の皆さんには申し訳ないですが、いずれ軍縮という形で職を無くすとはいえ、強い傭兵をトラストは手放すでしょうか?」


「随分な言い方ー。

 でもちょっと分かるけど」


「今回も、傭兵として機能をしなくなるか、あるいは不幸な若手のホープが一人消えたように、あなた方ランカーと呼ばれる傭兵が一人でも減ってくれれば……とは思っていたのですがね……

 ただ火星統一政府として邪魔という理由もありますし、未来の平和のためにもやはり邪魔なんですよ。


 しかし悔しいですが、私達は弱い。

 遺伝子の改良を施しているネオツーですら勝てない……


 やはりあなた方は『規格外(イレギュラー)』だ。


 強すぎる……そしてやりすぎる」



「褒めても何も出ないよ」



「おや、そうですか。

 私は、その褒めるべきところが我々の利益になると思いますが」


「……何が言いたいのさ?」


「大鳥ホノカさん、


 ────仲間を殺す依頼に興味はありますか?」





 …………あ、



 なるほど。おバカな私でも、分かるわ。


 まずい……!

 一番重要な事をまず聞かなきゃ……!!





「……で、報酬は?」





           ***

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