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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 6

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MISSION 17 :ぶっ飛ばせ大要塞!









 ─────プラズマ弾頭入りの増設推進機、|スーパーソニックストライクブースト《SSSB》によって私こと傭兵系美少女な大鳥ホノカちゃんの愛機『グレートアーク』は分厚い雲の雨空の中へ飛ぶ!


 巨大移動要塞『フォートレス・オブ・ホーネット』攻略作戦、『|チェリーブロッサムスペシャルアタック《桜花特攻》』が開始だ!



「うぉ!?

 風強いなぁ!??」



 まっすぐ飛べないぐらいにあちこちから風が吹き荒れる雲の中、たまにすぐ横を雷が通る。

 あ、Eシールドすっごい減衰した……!元から薄いって言ってもコレは不安になる……!



<シルヴィア>

『なんて積乱雲だ!敵が攻撃してこないわけだよこれは!』


<ヴィオラ>

『ここまで酷いゲリラ豪雨だと、雨の範囲は狭いはず。

 間も無く抜けるわ、そこ方が本番……待って!?』


 直後、なんというか雲の切れ間っていうより、やや薄い雲の地帯みたいなところにみんなが出る。


 まだ風が強い。まっすぐ飛ぶのが辛いし、大雨で視界が悪い。


 そして、例の巨大な移動要塞こと、ホーネットが見える。


 見えるけど……すごい雨で靄がかかって見える感じ!!



<シルヴィア>

『なんだこの雨量!?それに範囲が広すぎる!!』


<ヴィオラ>

『積乱雲じゃない……!?

 まさか、台風!?!』


「台風って、あの!?

 ウソでしょ、天気予報聞いてないよ!?」


<ルキ>

『………………どうも、敵さんも予想外の事態みたい。

 慌ててる感じの心が聞こえるわ』


<ケルヴィ>

『下からだと、相当見えにくいらしいな。

 風のせいで飛べないと……おっと、気づいた!』



 心が読めちゃうシンギュラ・デザインドな二人が解説している中、要塞のあちこちからサーチライトが点ってこっちに向かい始める!



「でもチャンスだ!

 ここまで近づけたら、上手く当てられる!!」




          ***



 場所は変わって、フォートレス・オブ・ホーネットのブリッジ内部。



「レーダー感!目視圏内に……SSSB数機!いえ増えてます!!」


「もうか!?

 後方からの台風の情報の続報は!?」


「はい!

 発生した大型台風、地球計算型火星標準年300年度第13号と認定!


 中心気圧996hPa、風速23m/s!

 大型で強い勢力かつ、暴風及び強風圏内全てに雷警報発令とのこと!」


「いくら宇宙を抑えられているからと、そこまでの台風を見過ごすか!?

 気象予測は軍事作戦の基本だぞ!」


「…………もしかしたら少々君にも言えない事情のせいかもしれない……上にいる者として謝る以外できないのも情けない話だが」


 ホーネット艦長であるノアの言葉に、中将としての立場もあり「いろいろ知っている」からこそそう答えるカナデ。



「そこは聞かないでおきましょう。

 しかし、不利なのも事実。後で抗議はします。


 ブリッジ機能を戦闘情報管制室(CIC)に移行!!

 対空防御射撃(CIWS)、ミサイル砲台全部を叩き起こせ!!私の指示を待たず用意できたらとにかく弾幕を張れ!!

 ただしレーザーは使うな!!雷の逆流でホーネットが機能不全に陥るなど洒落にはならんと周知しろ!!」



「ブリッジ、CICへ降下します!」


 見晴らしのいい位置にある艦橋の窓が閉まり、部屋全体がエレベーターのようにこのホーネットの内側へと移動していく。


 今よりこの要塞のコントロールを担う部位は、あらゆる情報を電子媒体のみで取得する。


 かつてのように、見晴らしのいい場所で戦場を見るための艦橋は弱点でもあった。

 戦闘時、頭脳である場所は最後まで残さなければ末端だけで動くことはできない。

 それゆえに生まれた機構。情報の光学取得をあえて消す事で強固な場所で脳を守る。それがCICだ。



「第1陣はまもなく着弾だ。撃墜はできないだろう」


「艦長、その言い方は敵のやることが分かるのかね?」


「いつだって不利な側がやることは一つ。

 命を賭けての突撃だ!」



 ドォン!!


 ホーネットの巨体が揺らぐような衝撃が、直後にやって来た。


「被害報告!」


「Eシールド出力、7%低下!

 大型プラズマ弾頭と思われます!!」


「艦長!対空砲手によれば、SSSBがeX-Wと分離して着弾したと!!」


「なんだそれは!?

 本当に人間ミサイルではないか!?」


「言ったはずですよ中将。

 さぁ、ここからが勝負だ!!

 艦載機体全員に伝えろ!!カタパルトなんぞ使わず上げられるヤツだけ順次上げていけと!」



 どん、どん、と衝撃が続くのを身体で感じながら、ノアは空の方角を睨む。



「生命を賭ける気概だけで、このホーネットが落とせるほど楽な物では無いぞ……!」




          ***




<ティア>

黒薔薇小隊(シュバルツローザ)、全機どうやらまた死にぞこなったらしいねぇ!?』


<マリー>

『ああ〜、もうこれは絶対心臓が止まってましたよぉ〜?』


<マシュ>

『ったく、アタシらクソババアはいつになったら地獄に行けるんだか!』



 ガシャンと3機の黒い逆関節機達、黒薔薇小隊の機体が、移動要塞を見上げる位置に降り立つ。



<ハルナ>

『ぎゃああああああ!?!?止まれないしパージわかんないしどうすれば良いしって間にバリアァァァァ!?!?!!』


<ミコト>

『やるんじゃなかったこんな作戦!!』


<ノドカ>

『おばあちゃぁぁぁぁぁん!!!』


<フミカ>

『死ぬのだけは絶ッッ対に嫌ァァァァ!!!』




 そして、無線越しにそんな声と共に、続けて真上でプラズマの光が炸裂する。



<ティア>

『ヒヨッコども……!!』


 一瞬、孫と同年代の味方が死んだように見え、息を呑む三人。



<ハルナ>

『────死んだぁぁぁぁぁ!!多分死んだぁぁぁぁぁ!!』


<ミコト>

『生きてるよ!そんな元気ならさ!!』


<ノドカ>

『こんな事ならちゃんと就活しておけばよかったぁ!!』


<フミカ>

『お金ってこんなに稼ぐのが難しいものなのぉ!?!』



 しかし、直後爆発の後からフワフワと降りる4機が見え、安堵と続いて緊張が走る。



<ティア>

『何ちんたら落ちてんだいヒヨッコども!!!

 敵が来てるぞ!!ブーストを切れ!!!』



 直後、敵の天使に見える人型機動兵器、ハールートが新人傭兵達に襲いかかり、それぞれ悲鳴と共に慌てて回避して行く。


<ハルナ>

『ここ敵の目の前だっけぇ!?』


<ミコト>

『何聞いてたんだよアンタさぁ!?』


<ティア>

『横はやめろ!!

 ブーストを切れ!!急降下して回避しろ!!!』



 しかし、真横へ移動するアサルトブーストの加速は一時的な物。

 すぐに運動エネルギーを失い、相手が追撃に体勢に変わる方が早い。

 下へ落下した方が逃げられるのは本当だったが、新人傭兵にはわからない。




 やられる。






 ────瞬間、光の線を描きながら何かが来る。



 瞬きの間に世界の様子が変わり、スパン、と切断面を赤く光らせて別れた敵機体とその間を縫うように動く光の線が見える。




<ホノカ>

『やっほ、助けに来たよ!!』



 一瞬で十数機を切り裂き、地面へ降り立つ軽量2脚型、



<ミコト>

『あんたは……!』




<ホノカ>

『いやぁ、笑っちゃうよねぇ?

 SSSBより、自前のストライクブーストのほうが早いんだもん、この機体さ!』



 ズドン、と真上のシールドに当たる、運んできたSSSBの爆発をバックに、


 ホノカは、自機であるグレートアークの中で笑っていた。




          ***



<ミコト>

『来るの早く無い!?』



「それだけこの機体、速くて軽かったのさ。

 ちょっと怖かったけど速すぎて」



 結構本音でびびっている、傭兵系美少女な大鳥ホノカちゃんでした。


 何?パージして超音速を追い抜ける機体って?

 ヤバいよ全身アヤナミマテリアル製フレーム。

 ヤバいよグレートアーク。相変わらず速い……というか武装増やして重量重くなったのにこの速さ!!



「さて、その分立ち止まったら蜂の巣か!」


 ドヒャア、と後ろへ緊急回避(アサルトブースト)

 真上の巨大要塞から、ババババと断続的に球が飛んでくる。


<ハルナ>

『まずいまずい!!どっか隠れないと!!』


<ヴィオラ>

『その選択肢はキャンセルよ、傭兵(スワン)



 と、真上で敵のロボを回避してSSSBのプラズマ弾頭をぶつけた機体────


 あの領主様ことヴィオラさんの青い逆関節機体がこっちの落ちてくる。


<ヴィオラ>

『弾頭を届けた人間から、次は全力で囮をやってもらう!!

 後続の弾頭を全て叩き込めるように!!

 一機でも多く敵の艦載機を足止めする!』


 雷の光を背に、雨の中空中でスナイパーキャノンをぶっ放しながら落ちる。

 当たるわけないけど、反動で複雑な起動をしながら高速で落ちれて、当たるわけないって分かってても相手が回避する隙を作れる。


 有言実行。依頼主から行動されちゃあね。


 と、ヴィオラさんの機体に迫った敵がEシールドごと貫通する一撃を喰らって爆発する。



<ティア>

『ヴィオラ様!!背後はお任せください!!』


<マリー>

『無茶をしてくれますねぇ、相変わらず!』


<マシュ>

『そうでもなきゃ、おいぼれのアタシらが隠居辞めるわけないさ!!』



 流石、おばあちゃんでも生き残りのインペリアル兵だ……狙撃が上手い!


<ハルナ>

『ちょっと待ってこっちきたんだけど!?』


<ミコト>

『撃つしかないでしょこうなったら!!』


<ノドカ>

『ここが正念場ってやつでしょうかー!?』


<フミカ>

『弾幕薄いわよ!何やってるの!?』



 新人傭兵ちゃん達にも群がる群がる……


 そして、まだ近づききってない味方の方へ飛ぼうとする機体も見える。



<イオ>

《敵、一部離脱して向かっています!

 ホノカちゃん、こっちにもお邪魔が来てますよ!?》



「イオちゃんのサポートで頭も痛くないや。

 フルスロットルで行くか!」



 ストライクブーストで、包囲してきた相手の真ん中を横切って、衝撃波で足止めする。


 まだ着弾していない味方のSSSBへ向かう相手を、先頭から通り過ぎざまにレーザーブレードで切る。


 相手のEN防御は死ぬほど高いはずなのに、ちょっと切りにくい食パンぐらいの感覚で切り裂ける。


 爆発した後ろの敵機を見ながらアサルトブーストで減速、方向転換、即座にストライクブーストで加速して2機目の目の前へ。



<火星統一政府軍艦載機体>

『バカな!?速すぎ────』



「私もそう思う!」



 同じく切り裂き、そのままもう一機も切り落とす。


 爆炎を抜けて、味方がSSSBをあの巨大要塞に届けていくのを見ながら、


 ストライクブーストで追い抜いて体当たりで止めようとする敵を斬る。



「さて、発射はまだかな!?」



 プラズマ弾頭、何発当てれば最低ラインだっけ?

 まぁ良いや、全弾当たるように頑張ろう!!



 そこからが、大変なんだし……!






          ***



 ハンナヴァルト領、

 UFOキャノン、火器管制システムケーブル接続済みMWコックピット。



「基本はスナイパーキャノンと同じか。

 よし、照準はできるぞ!!!!


 チャージを始めろ!!!!!」



 赤髪の青年、ロートは自分の操るMWの火器管制システムと繋げたUFOキャノンの照準を始めていた。


<エクレール技術者>

『待機中の水分量が桁外れに多い。大気密度変化の差異や工学情報のズレの修正の計算に少々時間がかかります。雷の影響による電磁的エネルギー妨害による弾道のずれも計算に』


「さっぱりわからん事は全て任せた!!!!!

 撃てるな!!!チャージを始めろ!!!」




 ─────ハンナヴァルト領の生活を営む上で必要な電気エネルギー領の大半…………正確に言えば9割ものそれらが、UFOキャノンへ流し込まれる。


 領のほぼ全ての地区が停電。

 コンデンサへの莫大な量の電力チャージ。



<エクレール技術者>

『エネルギーコンデンサモジュール、全段直結。

 発射可能エネルギーまで残り60……54……!』



「パーセントでか!?

 どんなエネルギー消費だ、これは……!」



 広大な領土一つからかき集めて、モニターに映るエネルギー量は未だ半分を超えたあたり。


 改めて、照準を遥か地平の先にいる巨大要塞へと合わせる。



「外せないな……外すわけにはいかん!!」



 また爆発が見えた。

 順調に当てているようだ。



「頼むぞ……いい知らせ以外は無線で聴く気は無い……!!」



 自然と、UFOキャノンの射手たるロートの握るトリガーグリップに力がこもる。


 緊張の瞬間が、近い。




          ***

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