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MERCENARY GIRLs/EXCEED-WARRIOR  作者: 来賀 玲
Chapter 4

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MISSION 21 :ブレードでやるしかない







 ギュラァァァァァァァァァァッッッッ!!!!




<サブリーナ>

『アァ──────ッッハッッハッハッハッハァ─────ッッ!!!』





 一瞬反応が遅れたのか、それとも元から間に合わないタイミングだったのか、


 私こと大鳥ホノカは、私より強いはずの傭兵(スワン)、アンネリーゼさんの操るブラッドハントレスに横から蹴られた事で、あの真っ赤に燃えるバカでかドリルから助かった。


 代償は、けられた衝撃で折れた最後の射撃武器の背中のパルスレーザースラッグと、


 そして、助けてくれたブラッドハントレスがぐちゃぐちゃになって。



 一瞬、人殺しておいて大したこともない癖に、

 対して仲がいいかと言われればな相手を、私は本気で心配したんだ。



「アンネリーゼさん!!」



 違うだろ。

 そこは回避しなきゃ。何をガラにもなく人の心配を?




『───キャッチしなさい!!』



 でも、私は本当、運だけは良いみたい。

 バラバラになるブラッドハントレス、そのコアが壊れる中、飛び出した赤い髪の姿が見えた。



「っ!?分かった!!」


 ブレードは腕の専用スロットに装着されてるから、空いてるマニピュレーターの指を広げてキャッチした。



 ギュラァァァァァッッッッ!!



 あのドリルを回しているが勢い余って通り過ぎる。

 急いでこっちもブーストを蒸して……いやこんな動きで腕の中のアンネリーゼさん大丈夫か!?


<サブリーナ>

『避けてんじゃねェェェですわァァァァァッッッッ!!』


「避けるだけで済むか!!」


 ───この時気づいた最悪の事態がもう一個。


 追撃にぶっ放した肩のミサイル、最後。


 最後のミサイル達が着弾して行くけど、相手はなんと方向転換せず突き進んでミサイルを避けた。



 やばいけど、隙はできた!!

 まずは地上降りるか、一回!



<アンネリーゼ>

『上出来よ。っ……まぁ、助けられておいて即座に落ちる様では、私の目利きもまだまだってことだろうけど……!』


「アンネリーゼさん……脚……片腕!!」


 左腕部マニピュレーターの中にいるアンネリーゼさんは、左足と腕が消し飛んでいて、強化済みの証の白い血と止血用の保護膜が白い金属みたいになってそこを塞ぐ最中だった。


<アンネリーゼ>

『強化手術、人間じゃない身体になるのも抵抗はあったけれども、やっておいて正解ね……っ、痛みを感じる辺り、人間らしさってやつは感じるけど』


<コトリ>

《普通の人間の身体なら、ショック死もあり得るさ!

 けど、相手はNGウェポン!!よく生き残れたって感謝しなよ、神にでもなんでも!!》



<エカテリーナ>

『大鳥ホノカさん、わたくしにアンネリーゼお姉様を!

 どのみち、戦えるのはあなたぐらいなのです!』


 いつの間にか横にきた、例の要人お姫様の機体が右腕を差し出す。


 ありがたく、ゆっくりアンネリーゼさんを渡して、私はすぐに離れて空中へ上がった。



<サブリーナ>

『避けてんじゃねェェェですわよこのダボがァァァァァッッッッ!?!?!??!』



 直後、凄まじい金切り音と共に炎の線を引きながらあのドリルが爆走してくる。



「避けるわ!!というか避けきれなくってこっちの味方が傷を負ったわ!!!」



<サブリーナ>

『チィィィィッッ!!!死んでねェとはクッソムカつきますわァァァァァァァァァァッッッッ!!!』



 バカの一つ覚えみたいなドリルの突撃。

 これが……避けるのも怖いすごい勢いと威力!!



<コトリ>

《NGウェポン『ロジカルドリル』だ!

 エクレール製で、今この機体最後の武器の実体ブレードと同じ素材の『破壊不可能合金』で出来た赤熱化するドリルであらゆる物をドリドリ粉砕する!!》


「破壊不可能合金ってアレだっけ!?

 錆びない折れない、私もおばあちゃんから受け継いだんだよね、それの包丁!!」


<コトリ>

《良いよねぇ、火星!原材料のレアメタルが地球の一億倍の埋蔵量らしいし!!》




<サブリーナ>

『テレビショッピングみたいな解説ご苦労様ですわァァァ!?


 さぁ、次は実際の切れ味って奴をその身で味合わせてやりますわよォォォォォォッッ!!!!』



 やばい、またドリルが来た!!


 だったら……!!



「……そうだよ、破壊不可能合金!!」



 ギュラギュラ音を立ててやってきた真っ赤に燃えるドリル。


 私は、避けなかった。

 代わりに、アサルトブーストと同時に、そのドリルに左腕のブレードを当てる!


 ガギィィィィィィィィッッッッ!!!


 すんごい不快な音だけど、良い面だけ見れば私はこの攻撃を防ぐことができた。



<サブリーナ>

『あらぁ〜!!


 でェ?

 だからどうしたって言うんですのォォォォォォォォッッ!?!?!』



 悪い面は、パワー負けした。

 地面に踏ん張るこのハーストイーグルは、相手の機体に押されて地面を削りながら後退していく。

 というか、相手のフレーム胴体と腕は1001Bじゃん!!



「なんてパワーだ!!」


<コトリ>

《NGウェポンはエクレールメカニクスが主に作る規格外兵装だ!!

 その使用には、ジェネレーターのリミッター解除と、あんな風にeX-Wの全部の武装用スロットへの接続が必要なんだ!!》


「リミッター解除か!!

 長くない、なんか解除時間!!」


<サブリーナ>

『ゲヒャヒャヒャヒャッッ!!

 随分名推理ですわ探偵気取りがァ!!


 メイドの土産に教えて差し上げますわァ!?』


 ギャルギャル言ってるブレードがもうすごい赤い。

 先にフレームが壊れそうな勢いの中、なんか相手が語り始めたけど!?



<サブリーナ>

『ワタクシ達のスポンサーは!!

 いわば黒幕は、AI社の最高級品程度は揃えられるだけの財も力もあるんですわァ!?

 お前ら、ワタクシのご先祖様から奪った仕事も権力もォ!!

 あのスポンサー様なら、正当な持ち主のワタクシ達にィ!!


 お前ら企業とその手先のクソ傭兵供からずぇぇぇんぶ全部奪い返せますわッッ!!!』



「……何訳わかんないことを!!」


 とっさに、左にドリルを弾いて、右腕のブレードをその機体に叩き込む!!


 ガキィン!!



 ───けど、



「!?」



 右腕のブレードは、1001Bコアパーツの相手に一つも傷をつけてない。



<サブリーナ>

『あはァ……残念賞ォ!!』


 再びドリルが横薙ぎに振るわれた。

 炎の円弧を描くような攻撃を、軽量逆関節かつO.W.S.製のフレーム反応速度があってなんとかジャンプで回避ができた。



「なんで!?」


<コトリ>

《実体ブレードは、レーザーブレードみたいには切り裂けない。


 熱量のエネルギーで切るんじゃないんだ。

 その硬さ、鋭さ……そして何よりも、『運動エネルギー』がいる……!!》



 運動エネルギー!??


「それって何!?

 助走つけて斬らなきゃ斬れない、ってコト!?」


<コトリ>

《そうだ!!eX-W自体をライフル弾みたく加速させてぶつけて初めて真の威力が出る!!》


「ライフル撃った方が速いじゃんそれ!!!」



 全く、相手は触れたらバラバラになる即死武器なのに!!


 こっちはそんなとんでもなく扱いづらいパーツって訳!?!




<サブリーナ>

『ギャハハハハハハハハハハァーッッ!!!

 わざわざクソ産廃武器の解説ご苦労様ですわァァァァァ!?!

 そう!!テメェは!!


 ここでグッチャグチャになって死ぬしかねェェェェェェんですわよ、クソカスがァッッ!!!』




「…………じゃ、逃げるしかないか」




<サブリーナ>

『は?』




 瞬間、私は後ろを向いてストライクブーストを起動していた。


 海の方角へ、一直線にGO!!!




<サブリーナ>

『………………


 ハァァァァァァッッッッ!?!?!?!!


 ふざッッッッッッッッけんじゃねェェェェェェェェェですわよゴラァァァァァァッッッッ!?!??』




 当然、相手もワンテンポ遅れて追いかけてくる。



 当たり前だよねぇ。

 ま、ワンテンポ有れば、この機体はブースターパーツがガチタンのティタニスと共通のすごい出力だし、今も直線距離の波打ち際まで来ることができたー!


 相手もまだレーダー範囲外♪



<サブリーナ>

『殺すゥゥゥゥ!!!

 おちょくりやがって、このクソブスがァァァァァ!!!

 ぶち殺してやりますわァァァァァッッッッ!!』




「いいよ。来なよ」




 ────着地。海の中。

 旋回が少し危ないこの機体で反転しつつ、ギリギリまでエネルギー容量回復を待つ。



「その代わり、こっちもそうする」


 相手の赤い炎が見える。

 直線だ。相手は良くも悪くも、直線でしか動かない。



<コトリ>

《そうだよね。君がそんな正気の判断なんかしない。

 やれよ。叩き切れ。最悪……死ぬだけだ》


「やるさ…………いつもの、コトリちゃん特製の地獄のブレード訓練だと思えば!!」



 あの炎に向かって、前へ跳躍する。

 ストライクブースト起動。


 軽量逆関節、って名前、もうブレードしかないような軽すぎる機体。


 それを……ストライクブーストで、全速全開の時速1400km越えまで加速させる!


 ボン!

 音の壁を超えた。


 もう、相手は目の前になる!



<サブリーナ>

《くたばりやがれですわァァァァァァァァァァッッッッ!!!!!》



「お前が、」



 左腕のブレードを振るう。

 あのドリルにぶつかる。

 回り出す機体、回転に乗って宙に浮く機体。


 右腕を、回転と加速を乗せて、右腕部のブレードを振るう。


 狙いは、相手の上、頭から、人の乗っている部位、同じくパイロットの頭の位置!




「くたばれッ!!」




 メキョッ!


 右腕の充分な運動エネルギーが乗った実体ブレードが、コアパーツを上から斜めに深く入り込んでいく。



<サブリーナ>

『ぴょっ』



 それは、綺麗な一回転を決めたハーストイーグルが付けた綺麗な切り傷。


 充分な運動エネルギーを乗せて切り裂いた軌跡のまま、空中宙返りを決めてハーストイーグルが着地する。


 ズシャァン!!


 ハーストイーグルの着地の音か、パイロットと頭部パーツを失って機能停止した相手の機体の倒れた音か、



 同時だったからわかんないけど、



 私は、



 ぶっつけ本番で、実体ブレードの使い方を覚えた。





「────良し!!!」




 最後に立っていたのは、私だ。

 私の勝ち。なんで負けたのか、生まれ変わるまで考えておいてね?


 私も……運以外の理由を、死ぬまでには考えておくからさ。



          ***

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