合宿②
その後は食事をして、ミーティングに向かう。
青山はミーティングルームにカズらがいないことに気づき、こりゃなんかあるなと気づく。
ミーティングが開始されると、先程の練習風景が映し出される。
「ありゃ。こりゃ、ヴァンゼムの雷は落ちんじゃねえ。なんだよ。ちゃんとやんじゃん。そっか協会の連中の前ではしたくないってこと」
と、青山は独り言を小声で言う。
そして練習風景の映像が止まる。
『ここの組は練習の意味がわかっているのか?』
さらに映像は進む。
『こっちの組も』
ヴァンゼムがフランス語で名指しで選手たちを咎めて行く。それに選手のたちの顔が歪む。
ヴァンゼムは机を叩き、
『レジーナ出身者と海外組以外は何もわかっていない。正直、このレベルの選手に私のシステムは理解できない。オーバーエイジに期待するしかない。レギュラーは海外組とオーバーエイジを中心にする』
ざわざわしだした。それをよそに青山は心の中で悪態をつく。
(意識が普段から低すぎるんだよ。知らなきゃ教われ。相談しろ。それもせずにそれとなく練習するとか、時間の無駄だよ、バカ)
『正直、教えるだけ無駄と思える。レジーナ組と海外組以外は部屋で待機して良い』
(ああ、ヴァンゼムの雷が落ちた。これで変わりゃいいな)
と、ヴァンゼムが選手に怒り、青山が呆れる。
ゾロゾロと選手たちが出て行く。不満を表すもの、落ち込む者、それぞれだ。どちらも間違っている。まずはコーチ陣に話を聞きに行くのが正解だ。実際に中井、カズ、ラモンがここにいない。青山は初めから気づいていた。同様に近田も気づいていた。
「みつさん。カズさんたちはどうしたんですかね?」
菅が聞いてくる。
「お、いいところに気づいてんじゃねえか。菅。多分、この後で選手たちが何がダメかを聞きにくることを想定して別の所で待機しているのがカズさん、中井さん。ここを他の所で見てんのがヴァンゼムの腹心たちとラモンさんだな」
「そういうことですか」
「そこに気づいただけで、まぁ、おめえも進歩してんな。いい成長じゃねえか。久しぶりに褒めてつかわす」
「はっ」
畠山は横で、気づかなかったと後悔していた。
その後にシステムが話されていく。菅や畠山らはしっかりとメモりながら聞いていく。この辺はレジーナで散々と青山に「わからねえなら、わかんねえ所をメモれ。バカ」と怒られる。わからない所を放置するとキレられるため、わかんない所はミーティング後に監督か青山に教えを請うて、理解するのがレジーナ風であった。
そしてミーティングが終わろうとした時、青山はヴァンゼムに聞く。
「さっきのはどうすんの?誰もカズさんらの所に行かないなら、選手ミーティングしたほうがいい?」
『いらん。後、2日程度は自分で気づかせる時間を取れる』
「ふーん。本気で海外組とレジーナ組とオーバーエイジで試合する気か?」
『そんなことは思っていない』
ヴァンゼムは首を振り答える。
青山がわざと日本語で聞き、それをダバオが訳し、監督が答える。しかしフランス語を日本語に訳すことはしない。
「そうか。結構本気で日本を強くしたいんだ。難しいと思うけどな」
『やるんだ。そのためにここいる』
「そうか。短期で結果だけを狙ってんのかと思ってたよ」
『そんなことはしない』
「ほい」
そしてミーティングが終わった。
すると、菅と近田、畠山、神山、大沢が青山の所に来る。
「フランス語わかるんですか?」
近田が代表して聞いた。
「ああ、ダバオに習った」
「へえ。喋れるんですか?」
「ああ、さっきのはお前らにも聞かせるために日本語で俺の部分は言っただけ」
「監督は何て?」
「え?わかんねえの?お前、ベルギーにいたよね?」
「いや、なんとなくは」
「まぁ、2日くらいは変わるかを様子見るって。それに日本を本気で強くするつもりらしいぞ」
「そうなんですね」
「ほれ、解散!近田、あいつらのフォロー頼んだ。後、明日、大崎くんがきたら話し合っといて」
「わかりました」
そしてレジーナ組は解散する。すると、海外組が青山の後をついて来る。
青山はあえてリラクゼーションルームに入る。そこには誰もいない。まぁこんな時に来る者はいない。
「で、何か用?」
「はい。話をしたいです」
青山の後を着いてきた堂本が口を開いた。ここにいるのはオランダにいる堂本、イタリアにいる富岡、スペインにいる久保田、ベルギーにいる三芳、オランダにいる板垣と中町である。
「そう、で、何?」
「他の皆に俺らは何か言った方がいいでしょうか?」
「そう。そもそも、このチームをどう思ってんの?」
「どう?」
「あ?ああ。強い?弱い?」
「強くはないです」
「で、オリンピックで勝てる?」
「今のままでは無理です。選手が変わらないのと」
「どう変わればいいの?」
「1人、1人が個人の技術をあげる」
「それ、間に合う?」
「う」
「それって、今日までじゃない。今日からやるとかバカじゃない?」
「はい」
「じゃあ、どうすんの?」
「オーバーエイジの皆さんに足りない所を」
「ふーん。頼ると」
「そ、そ、」
「まぁ、そういうもんちゃあ、そうだろうからいいけど。どこが足りないの?」
「えええと」
「ビジョンもなく頼られてもなあ。別に無理矢理できるよ。ガキ共は成長しないけど、メダルは取れるよ。まぁ監督はそれを求めてないけど」
「そうですよね」
困惑する堂本、他の海外組も同じく。
「堂本くんさあ、これは君らの世代の五輪だよ。俺らはあくまで助っ人。それ以外ではないんじゃない。自分らで監督が何を求めているか考えないと成長しないよ。それにそれを海外でしていないの?」
「え?しています。監督の意図を読んで。求められるものができないと外されます」
「どうやってんの?」
「監督に直接聞いたり、コーチに聞いたり」
「そう」
「あ、もしかして?」
「気づいた?そう、あの場にコーチがいないのは気づいてたよね?」
「はい」
「じゃあさあ。取り敢えず様子を見ようよ。海外組が普段している事が出来る選手が本当のプロだよ。監督はガキ共を本当のプロにしたいんじゃない?海外組はそれをしないといけない状況だから自然としているけど、JPリーグ勢はしない所が多いんだ。
日本の時はそうだったでしょ?細やかなミーティングとうるさいくらいの指示が飛んでたでしょ?」
「はい」
「でも、海外行ったら、自主性をある程度は重んじたでしょ。それは結局はピッチの上で選手が判断しなきゃいけない所が多いからだよね。それをする癖を付けたいんだよ。それが出来る選手で勝負したいんだよ。
上手くいかないだろうからオーバーエイジがサポートする。でも、それをオーバーエイジが無理やり判断したら、判断できない選手が大量に出来上がる。それが嫌だからこんな面倒な事してんの。わかる?」
「はい」
「多くの人らが言う個人技の中にこの判断力も含まれる。これならある程度は短期間で成長させられるから監督はやることにした。まぁ、完璧は無理だけどね。そしてそれを出来るオーバーエイジを呼んだだよ。俺と大崎くん。それに近田、俺らで補完して完成させる気だね。わかる?」
「はい」
「そう、だから今は静観して、あいつらを見守る。で、俺は面倒だけど、そうしたいのかを確認するためにさっき質問したの。短期的な結果を求めてるんなら、そんなことはしないからね」
堂本らは目をキラキラさせる。青山信者がまた増えたようだ。
今度は富岡が話しかける。
「わかりました。さっきはダウンに凄い時間かけてましたけど?」
「あ?チッ。そんなことも知らねえのか。まぁ若えしな。俺はアップとダウンは念入りにしてんの。若えうちからね。怪我をしたくない。怪我して選手生命を棒に振りたくないの。チャンスはいつ来るかわからないから。そん時に怪我してたくない。
それにパフォーマンスは体があって初めてできんの。だから、常に最高のパフォーマンスを出来るようにする。これがプロ」
「そうですね」
青山は富岡の気のない返答に深くため息をつく。
「こんなこともわかんねえのかよ。レジーナ以外のチームは本当にレベルが低いな。カズさんはまだ今ほどスポーツ科学が発展してない時から、俺と同じことしてたよ。だからあの年でまだプロとして動けるの。
俺はあと数年。かなりやってもあの人みたいにできない。それでもかなりやってるから30になっても一流のプレーを完璧に出来る。わかる?」
「は、はい」
「堀尾さんを見てみろよ。俺より2歳上っていうだけで最高時には程遠いレベルになっちまった。怪我が原因。怪我しなきゃ、まだ最高時と同じくらいはできたはず。長岡さんも大分ガタがきてる。すげえレベルだけど、それでもいい時に比べるとやっぱり落ちてる。
俺はそれが嫌なの。堀尾さんらみたいに凄え事を成し遂げていない俺が今のまま朽ち果てて行くのは嫌なの。わかる?こんなのプロ一年目の菅とかでも聞いてこないぞ」
「そうっすね。俺も何もできてないです。今、大怪我してサッカーを終えるのは嫌です」
「だろ。だったら、そうならないようにすんのが当たり前でしょ?」
「はい」
「じゃあ、これで終わり」
そして若者たちは出て行くが、青山は1人リラクゼーションルームに残る。
すると、中井とカズとラモンが来る。
「ちわっす。お疲れ様です」
「おう」
「あいつらはカズさんらの所に何人来ました?」
「ああ、5人」
「へえ。まぁ来た方っすね」
「ああ、それなりだな」
「まぁ、それだけくれば御の字でしょう。うちの5人、海外組の6人、カズさん所に来た5人、で俺と大崎くん。これで18人。ちょうどいい」
「確かに」
ラモンが納得した。中井は笑う。
「ラモンさん。苦労しますね」
「本当だよ。みつ、引退したらお前がこれやれよ」
「無理です。俺なら鉄拳でわからせます」
「無理だ」
「ええ」
ラモンはうげえという顔をする。
今度は中井が話し出す。
「それよりさっきはありがとうな」
「何がです?」
「堂本たちだよ」
「中井さんに感謝される事じゃないっす」
「ああいうのは選手が言うから意味がある。お前の役目だな」
「ええ。まぁ、ヴァンゼムがそうして欲しそうな目をしたんで、面倒でもしました。何が全力だせなきゃ役目はねえだよ。そんなことを言っておきながら、役目が多いっちゅうのって感じです」
「まぁ、お前にはみんな期待してるんだよ」
「そうですかね」
そんな話をしながら、色々とこれからを話して行く。そして夕食を取って今日は終わった。
なお、案の定、斉川は機嫌が悪かったが、絡んでは来なかった。そうしたら部屋を追い出していたやろうと青山は思っていた。
次の日
「大崎です。青さん、お久しぶりです」
今日から合流した大崎が青山に挨拶に来た。彼は鹿島にいた時に何故か目を光らせながら青山に話しかけて来て、ライブ友達になっていた。海外に行ってからもちょくちょくと相談をして来ていたので、青山とは顔見知りだった。
「近田と話し合っといてくれる」
「わかりました」
すごく気持ちのいい青年だと青山は思う。実際に高校の部活出身で体育会系なので付き合いやすいと青山は感じている。五輪やアンダーの合宿を共にしたことある同世代の海外組に比べれば関わりやすい。
そして今日の練習に入る。大崎はコンディション調整もあるので別練習。また、昨日監督に怒られた連中も同じく。その中でカズらに聞いて来た連中は本練習に入っていた。
ヴァンゼムは話し始まる。
『昨日話したシステムの練習をする。メンバーを変えながら、システムに慣れてもらう』
「はい」
そう言われてチームを組む。
GK 近田
DF 青山 畠山 富岡 板垣
MF 中町 神山
堂本 三芳 久保田
FW 菅
控え組 大沢(左サイド) その他5名
こうして始まった練習だが、このシステムは一般的に見えるが、可変的な戦術を実践するのは大変なものだった。まず、プレスは今流行中のゲーゲンプレスと言われる流行りのプレスを改変したもので、これを理解して動くだけでも、結構大変だ。
上手く動けているのは青山だけであった。悪くないと言えるのは近田と堂本、管ぐらいだった。青山がバランスを取れば何とか上手く機能するが、青山はそれをしない。あくまで練習中は皆の理解度を上げるよう、自身の行為だけをする。実際に、それをヴァンゼムは求めていた。
そして攻撃は可変システムと呼ばれるもので、ボランチのどちらかが下がり、センターバックの片方が広がり、片方のサイドバックが上がる。それに合わせて、ウィングが中に絞り、センターの攻撃的MFがFWに上がる。それと、そのままシステム通りに動くのを判断して使い分けて攻撃する。さらに5ゾーンという特殊なゾーン分けも行う。
攻撃、守備のどちらも理解できないと簡単に崩壊すると言っても良い。非常に面倒で難解なシステムだった。故に相手にすれば厄介極まるというシステムだ。
『よし、全員、一度休憩しろ』
ヴァンゼムの声に本練習組が水分補給しに行く。
畠山と大沢、富岡、板垣が青山の所に行く。同時に近田はGKコーチに、久保田らは中井の元へ動いた。それぞれが教えを請いに行った。菅はカズの所へ行っていた。
(俺のところじゃなく、カズさんの所に行ったか。管、成長してんじゃねえか。俺じゃあ、FWの嗅覚的な部分は教えられねえ。そういった意味では正解だ。
何でか、この中で菅が一番、システム練習に付いていってたしな、後はFWとして出来ることを上手くやりながら点を取る感覚を磨くしかねえ。
よしよし。菅はこの合宿で成長している。オリンピック後が楽しみだ)
と、青山が管を見てニヤリとしている間に、畠山が青山に質問する。
「みつさん。今回のシステムで聞きたいことが」
「おう。で何?」
「はい。まず、ゲーゲンプレスをかい潜られた時の対処ですが・・・」
(へえ、いい所に目をつけてんじゃん。畠山も意識が良くなったか。残念なのはオリンピック後には畠山は海外にいるだろうってことか)
「おう。それはな・・・」
青山は一つずつ説明して行く。畠山だけでなく、富岡や板垣、大沢もそれを聞き逃さないようにメモを取りながら聞く。
そんな変わっていく彼らを見る別調整組は大崎の元へいく。そこで青山や監督の愚痴を言い始めるので、大崎はため息をつく。
そして、彼らを諭す。
「なぁ、その愚痴を言っても上手くなれないと思わない。俺もオリンピックは出れなかったんだ。その時に監督に何故呼ばないかを聞いて、それを必死に練習した。でも自信をなくしてた。その時に青さんに初めて相談したんだ。それから今があるよ」
大崎は皆の目をしっかりと見て話す。善良な所が十分に伝わる。青山とは全然違う。
「青さんは敵なのに、え?そんなの知らないのって、詳しく教えてくれた。チームでは知っているものと誰も教えてくれなかったけど、青さんは知っているものと決め込んで才能を台無しにするのは嫌いだって言うんだ。本当にそうだなって思う」
大崎の言葉に自然と耳を傾ける別調整組。
「昨日、青さんに怒られた人はなんで怒られたかって考えた?青さんは知ろうとしないことに怒ったんだよ。俺は知らなくても知ろうとしたから、驚かれたけど、青さんは詳しく教えてくれた。チームに戻ってコーチに訓練方法を考えてもらってより上手くなったよ」
それ以上は大崎は言わなかった。何をしろとは言わずにぼかした。すると、唇を噛むものがいた。斉川だった。
「ええと君は?」
斉川に名前を聞く大崎。
「斉川って言います」
「そう、斉川くんさあ。青さんと戦った事ある?」
「はい」
「どうだった?」
「・・・・」
「全然かなわなかったかな?俺もだよ。俺なんてシュートは打てない、ドリブルは全て止められ、ポストプレーは全て弾かれたよ。高校時代、全てで勝てたし、鹿島にいても上手くいった部分もあった。でも青さんは全てさせてもらえなかった。しかも本職じゃないセンターバックとして出場してたのに」
斉川は驚きの表情をする。
「そん時の青さんはJP1にいたよ。その時、すでにJP1の最高のDF だった。未だにあそこまでできなかったのはドイツに行ったばかりに時のバイアルンのDF くらいだね」
斉川は声を失う。馬鹿にした相手が尊敬する大崎が何もできなかった相手。自分は何を見てたのか?そう思えてしょうがない。
「そして、今戦えばそれなりにできるとは思う。でも多分、ほとんど仕事させてもらえないかな。青さんはもう30歳で、言っては悪いけど、くだり坂に入った所、俺は27歳、今が一番いい時だよ。それでも青さんには敵わない所だらけ」
「じゃあ、なんでJP2に?」
「青さんは目立たない凄さだから。そしてチームのために頑張る人。何よりあのチームが好きなんだよね。海外は知らないけど、JP1のチームは青さんがチームを出るって言ったら、レジーナの倍、いや3倍も給料を出すって言うチームだらけじゃないかな。もしかしたら全てのチームが争うよ。斉川君のチームは?」
「東京ブラッドです」
「ああ、東京ブラッドなんかは5倍くらいじゃない。あそこは予算あるから」
「そんなに?」
「それほどの選手。カズさんがコーチを受けたのも、中井さんが受けたのも、ラモンさんが受けたのも、全て、青さんが代表入りするからだよ。すごい選手はみんな、あの人を尊敬している。
俺のチームにドイツ代表の青さんの同じ年がいるけど、ユース時代に青さんと戦ったらしいんだ。名前を未だに覚えてたよ。青山光吉って、今回のオリンピックの代表チームの選手を見て、『ワーオ。あの天才かよ』ってびっくりしてた。
聞いたら、あの世代の欧州で各国代表クラスの攻撃的な選手は知っている人が多いって。一度だけ青さんの東京レジーナのユースがクラブの世界大会に出た時に青さんにコテンパンにされた選手が多いからだって」
「そうなんですか?」
「ああ、曇った目で見ずに、あの人をよく見てごらん。あの人の姿勢は正にプロ。最高のパフォーマンスをするために準備して、求められている事を完璧にして、そして周りを導いている」
斉川は青山を見る。すると、後輩たちに詳しく教えている。知りたいと思い、動いている畠山たちは導かれている。
自分はプライドにすがり、馬鹿にするだけで、自分から何も動いていない。誰かが教えてくれるのを待っているのか?お前はすごいと言われるのを待っているのか?何故すごい人になるために動かないのか?と自分の中から自分への嘲笑が湧き上がる。
彼は恥ずかしさが増してきた。そして、カズの元に向かった。
「そうか。斉川君、行ってきな」
「はい」
それを合図に別調整組が動いていく。大崎は満足そうに体を動かしていく。
青山は大体説明すると、ヴァンゼムから再開の声が始まる。青山が気づくとDF の10名近くが彼の周りにいた。
(ふーん。変わったのかな)
そう思う青山はふと大崎を見る。すると笑顔で答える大崎、青山はやっぱいい奴だなと大崎を再評価する。
後半の練習は各自がいい判断をするところが増えており、別調整組も練習に参加していた。予想より早く、多くの者が変わった事にヴァンゼムは微笑んだ。同じく、カズ、中井、ラモンも。