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地味なサイドバックの悲願  作者: 確かな嘘
5/9

合宿①

その一週間後、青山は合宿に来ていた。

「はあ、さすがジェイビレッジだな。すげえなあ」


青山が感心していると後ろから声がかかる。

「青」

「チワッス。カズさん」

「おう。後輩らは?」


「宿舎っす。俺は先に練習場の芝を見に来たっす」

「そうか。お前はそういう細かいことにも注意をするよな」


「ええ。どこが剥げているかとか、芝の調子を見とかないとプレーに影響しますからね」

「まぁ、いい心がけだな」


「ベテランっすから」

「ベテランでもお前くらいだろう」

「そうっすかね」


「じゃあな。俺は若者と話してくるよ」

「わかりました」


カズが青山の元を離れて行く。青山は芝生を手で触る。無断で入るのは怒られるため、軽く手で触る。感触を調べ、芝生の調子を見る。


「まぁまぁだな。これならボールは転がる。まぁうちのスタジアムより少しいいくらいだな」

「おい、芝生に入るなよ」

芝生の管理をしている男が青山に近づき、声をかけた。青山は声に反応して、そちらを振り向く。


「あ?ああ、鈴さん。あれ、今はこっちにいるんすか?」

「ああ、サイダースタジアムをやめてこっちに来てんだ」


「そうか。それで芝生がいいんだね」

「なんでえ、お前の初舞台だから緊張してんかと思ったぞ。みつ」

「ははは。もうそんな歳じゃないっす」


「まぁ、そうか。上の見る目がありゃな。日本は今頃W杯でベスト4くらいはいけてんのにな」

「俺がいてもベスト16止まりですよ。変わんねえっすよ」


「そう言うなよ。俺はお前さんほどサッカーや芝生を知っている奴はいねえと思うぞ。触っただけでどうボールが転ぶかわかる奴は日本でお前だけだ。そんな奴が居るチームが弱いはずがない」

「ふふ。そうかな」



とそんな話をして居ると、また声をかけられる。コーチの中井だ。

「おう、みつ」

「あれ?中井さん?」


「あれじゃないだろう。俺は今回コーチとして呼ばれたんだぞ」

「え?ラモンさんに、中井さん、それにカズさん?すごいメンバーのコーチ陣すね」


「ああ、それにヴァンゼムの腹心のチアゴとジネだ」

「うわあ。今回の代表、ヴァンゼムは本気っすね」

「というか、それくらい調べろよ」


「誰がコーチでも関係ないんすよ。ヴァンゼムがどういうサッカーするかは知っているし」

「まぁそうだろうけど」


中井が呆れるなか、鈴さんこと鈴木栄一も中井に話しかける。



「まぁまぁ。中井よ」

「鈴さん。お久しぶりです。久しぶりに代表復帰です。コーチですが」


「おう。お前が流浪の旅をやめて日本に戻ってきたのは嬉しいよ」

「そうっすね。テレビで見る旅人の中井じゃなく、日本代表コーチの中井さんの登場は嬉しい限りです」


「うるせえぞ、みつ」

「すんません」

中井は欧州のビッククラブにも所属した日本人の先駆けである。最も欧州サッカーを知る男と言われている。



そんな話をしているとメディアが来始めた。

「おい、みつ、早く着替えてこい。メディアの写真撮影が始まるぞ」

「うっす」


そして青山は練習場を後にして宿舎に向かう。


残された中井と鈴木は話し合う。

「お前さんもみつの選出で戻って来たんかい?」


「ええ、代表の時にあんな目立たない奴は呼ばないとか言われてキレて、協会とは距離を取ったんですけどね。本気でW杯を取るならみつは必要でしょう」


「だろうよ。一緒にやっている奴だけがわかる凄さがあるからな」


「ええ、あんなサッカーを知っている奴は他に知りませんね。欧州でもいなかったですよ。流浪している間もあいつの言ってた話を理解するために勉強してたんですが、やっぱり理解しきれないですね。それをわかる奴も見ませんでした。ヴァンゼム以外は」


「ありゃ、奇跡みたいな奴さ。芝生を管理して50年の俺より芝生を知っている奴はサッカー選手であいつだけだよ」

「あいつの頭の中はどうなってんですかね?」


「さあ、俺も全くわからないな」

「みんなが期待しているアホですからね」


「全く。本人は諦めていたけどな」

「ええ」


中井と鈴木は遠い目で宿舎を見ていた。日本の未来が戻って来たと確信するように。




それから青山は宿舎の部屋で着替えをして、ピッチに戻る。同部屋はあの斉川だった。部屋に入った時に睨まれたが、気にもしない青山だった。


ピッチに五輪代表候補が集合する。写真撮影が終わり、メディアが退出すると、青山は管に近づく。

「管、緊張してんのか?」

「代表は程遠かったんで」


「そうか。よし、管、近田に浣腸してこい」

「いや、それは」


「早くしてこい」

「いやあ」



そんな話をしていると、カズとラモンが来る。

「何やってんだ?」


「カズさん、ラモンさん。チワッス。管が緊張してんで、近田に浣腸してこいって命令してんすよ」

「おう。それはいい。なら、青、中井にしてこい」

カズの命令が飛ぶ。


「ええ。しょうがないなぁ。ほら行くぞ。管。お前は近田、俺は中井さん」

と2人がそれぞれ、近田、中井に近づき、浣腸をする。管は本当に軽く、青山は結構キツめに。



「「うわ」」

中井と近田が一斉に悲鳴をあげる。



そして、後ろを振り返る。怒り出す2人、そして、同時に青山に近づく。

「いや、なんで近田もきてんだよ。てめえ、近田、あとでアイアンフィンガークローだぞ」

「おい、みつ。俺に謝んのが先だろう」


「それは、近田が悪いっす。管がしたことを俺のせいとかするから」

「で?」


「すみませんでした」

「おめえ、がっつりしやがって。どうせ周りの若い連中の緊張を解す為とかだろうけど、あんなにやる必要あるか?」


「それは、やる以上は真剣にが俺のポリシーなんで」

「そこにポリシーは要らねえよなあ。どうせカズさんあたりの命令だろう」


クスッと数人の選手が笑う。



「いえ、自分で考えました」

「お前らのその軍隊並みの統率は違うところで使えよ」


「ですから、カズさんとかは関係ないです。自分の判断です」


中井はカズとラモンを睨む。2人は関係ないよという顔で素知らぬ顔をする。


青山にすれば、ここでカズらの責任を問われると、カズは許してもラモンのきついお仕置きが待っているのは明白であり、もっと最悪は鉄にその事がバレれば、半殺しだ。


それだけは避けたい。カズの命令には逆らえないし、その命令の結果をカズの責任にはできない。それがレジーナのルール。



「はあ、しょうがねえな。管、緊張してんのか?」

中井は諦めたように管に聞く。


「いや、さっきのに比べればマシっす。近田さんに浣腸しろっていう命令の方が緊張しました」

「てめえ、管、バラすな。アホ」

管の暴露にキレる青山だった。



「みつさん」

近田が青山に詰め寄る。



「おう、近田、尊い犠牲者だ。しょうがない。若い連中のためにその思いは飲み込め。オーバーエイジはこういうのも大事だ。よし、畠山、お前は監督にしてこい」

『うるさいぞ。青。浣腸させたら罰走するぞ』


これをダバオが訳す。若い連中が笑う。緊張は取れたようだ。



「てめえ、ダバオ。今のは訳す必要ねえだろう。駄馬の王と書いてダバオ」

「ダバデアだ。ママがつけてくれた名前をバカにすんな」

「うるせえ駄馬王」


「今、漢字で言ったよな」

「口で言っただけだから、わかんねえだろう。おめえとはライブはしてねえぞ」


また、皆が笑う。これぞ、オーバーエイジの役目という仕事をする青山。頭がいい。



ヴァンゼムはひとしきり緊張が解けたところで声をはる。

『アップしろ。まずはコンディションの調整とミーティングでシステムを叩き込む。』

「はい」


こうして、皆がアップをし始める。



青山に、イタリアでサイドバックやセンターバックをしている富岡がアップのパートナーを名乗り出た。

「なんだ。お前。確か、福岡にいたよな。その後はベルギー、そして今はイタリアか」

「ええ。富岡と言います」


「おう。雅って呼ぶわ」

「なんで?」


「あ?お前は芸人を知らないのか?」

「ああ。俺がトミーと海外で言われるからですか?」


「だから雅な。それとも健がいい?」

「わかりました。雅で」


「そう。なんか俺に聞きたいんだろう?」

「ええ、守備の統率とか色々と学びたいです。畠山から色々と聞いてます」


「おう、必要な時に言ってやる。今は教えねえぞ。アップを怠る奴は嫌いなんだ」

「わかりました」


2人でストレッチをしていく。その奥で中井やカズもアップしている。



「なんで、中井さんもカズさんもアップしてんの?」

「一緒に練習して、選手に色々と教えるみたいです」


「へえ。カズさんはわかるが、中井さん死なないといいな」

そう青山が呟くと、中井が青山を睨む。


「おい、みつ、てめえ、俺が練習に参加するって聞いて『死なないといいな』とはなんだ」

「うげ。地獄耳。いやデビルイヤー」


「往年のアニメか」

「ぷ。中井さんから往年のアニメかというツッコミをいただくとは」


「うるせえ」

「奴ら」


アップ中に笑いが起きる。



いよいよ、こめかみに青筋を立てる中井。

「てめえ。俺の言葉にボケを重ねるな」


「中井さん、これもオーバーエイジの役目です」



『青、あまり緊張感をなくさせるな』

監督から注意が入る。


「ガキどもはすぐ緊張しちゃうから、これくらいがいいと思うだけどな」

本気の顔で言う青山。富岡がその横で困惑する。中井はプルプルと震えている。中井は青山の性格はそれほど好きじゃない。選手としての才能は本当に尊敬しているが。




そしてアップも終わり、今度はランニング、そしてボール回しと進む。


ボール回しでは青山は相手を見ずに状況に合わせたパスをする。レジーナの選手は慣れており、それを真似させられている。相手を見てパスを出来る機会は試合中はそれほど多くない。事前に状況を把握するように努めろと若手が厳しく怒られるのはレジーナでは当たり前の風景だ。


相手がどうしたいか、どう言う状況かを事前に把握して考えてパスを出せ。自分がどうしてほしいかを込めてパスを出せ。パスの種類で自分のパスの意思を示せと毎日怒られている。


それはキーパーの近田すらである。故にレジーナの選手たちは困惑しないが他のチームから来た選手は困惑する。


同じことをカズや中井もしている。これが世界のプロの基準では当たり前、いや当たり前すぎることなのだ。ボール回しとて単なる遊びではない練習一つでも試合を想定しないことをすると、レジーナでは青山の怒りに触れる。レジーナの監督である風田はこの怒りに助けられている。


そんな中、青山が吠える。

「おい、斉川、てめえ。パスの意味がわかってんのか?」

「はい?」


「くそ。ブラッドはてんでダメだな。だから2部でもうまくいかねえんだよ」


青山の悪態が始まる。管たちはここでしなくてもと思うが、青山の組みに入っている畠山は正直言いたいと思っていた。同じく、欧州の厳しいところでやっている富岡もだ。


しかしながら斉川にとっては許せない一言だった。2部に甘んじているチームのたかがレギュラーがブラッドをバカにしたのだ。斉川はブラッドの生え抜きである。それをバカにされ怒り心頭である。



「おい、怒ってんのか?できねえから悪いんだろう。教えられてねえから、チームが悪いんだろう。やらねえなら、お前の責任だ。知らねえのはてめえのチームの責任だ。わかるか?」


「お前ごときがブラッドをバカにするな」

「何言ってんだ?」


「万年2部チームにずっといる奴が」

「お前バカか?」


「何が?」


「ここにいるコーチはほとんどがレジーナ出身だろう。喧嘩売ってるとしか思えない言葉だぞ。それに2部とか関係なく、レベルの高いところはやっていることを教えられねえチームが1部とか2部とか関係ねえし、そもそも今、お前のチーム、うちより順位が下だよな」


「う」

「中井さん、こいつにパスの意味を教えておいてください。あと、そこのも」


と、斉川ともう1人が青山に名指しで『できていない』と言われ、中井の方に連れてかれる。



他の組でも1人また1人と抜けていく。パスは意味があり、それによって状況を理解する。それは毎日意識してやらないと本番で使えない。出した先が囲まれかねない時に遅いパスを出したり、反対に余裕のある場面で早く雑なパスを出すと、混乱する。



それを共通認識でできるのはプロなら当たり前でレジーナではジュニアユース、又はユースで教えることであった。それはブラッドも同じだ。問題はそれをしっかりと普段から意識して使えているかの問題だった。


斉川、そして何より東京ブラッドというチームはそれをなあなぁで行なっていた。それがチームの歯車を狂わす一つの要因になっていたのだ。


そういう基本の認識のズレ、基本を疎かにしていくことを必ず正していく姿勢がないと、チームは崩壊する。パスの意味も知らないのかというより、そんなことも意識していないのかということを青山は怒っていた。



実際に管は、入団早々に青山から、練習からそういった基本やチームのコンセプトを意識することを徹底して教え込まれた。ロベルトも。



こういったことは知っているのと、使っているのとは大きな違いがある。知っている、理解しているから大丈夫ではない。どんな時でも使えているから意味があるのだ。


そういったことに手を抜かないから、常に一部のチームにいい選手を抜かれてもなお、レジーナは常に昇格争いを毎年しているチームなのだ。そういった甘えを許さない人間がレジーナのアンタッチャブル、王様である青山光吉という選手だ。



選手でありながら、すでにコーチや監督候補にクラブが考えているのはそういったところだ。どんなシステムも理解し、相手の嫌なことをでき、仲間には基本の認識を徹底させて練習させる。そしてそれを若手に教え込む。一選手の考えや行動の範囲ではない。




青山は斉川との衝突を何も気にせずにパス回しの訓練を再開させる。だが、チームの中に不満は生まれていた。青山からすれば、そんなことはどうでもよかった。それをフォローするのは近田や大崎に任せ、俺は厳しくいく。そうじゃないとチームの成長はないと役割分担を考えていた。


近田はそんな考えを見抜いており、ため息をついた。近田は最初にレジーナに所属した時に門下生をしており、その教えで欧州でも手応えを感じたが、大怪我をして日本に戻ってきた。オーバートレーニング症候群という怪我と病気の間であった。


戻ってきてからは青山に練習のし過ぎはするなと言われいる。最も門下生としては卒業していると言われ、小さなことで怒られることはあっても、毎日教えをガミガミ言われることはない。それに青山の考えをしっかりと理解している。



なお、大崎の合流は明日であり、大崎はこの難題を知らずに対応しなくてはいけないのは気の毒である。




アップやコンディション調整も終わり、皆が笑っている中で、青山は今度は畠山とダウンを行なっていた。体の調整は手を抜かない。プロフェッショナルとはこういうものという姿勢だ。


同様に近田と菅もしている。近田も菅もダウンをしっかりしないと怒られるからだ。特に近田はベテランの域にいるため、レジーナに戻ってきた時にダウンを怠ると練習の時間の倍は青山に怒られるということがあった。さらにもう1人、左サイドバックの大沢という選手も一緒にダウンをしている。



「甘いねえ。ダウン一つまともにできないのかね。代表監督というより、クラブの監督たちのレベルの低さが見え見えだわ。風さんでさえ、小言を言うだろうよ。あの優しい風さんでさえ」


「いや、風田監督は厳しくないですか?」


「それは畠山が甘いから。プロフェッショナルとして甘いから監督に怒られるの。俺くらい意識してれば、怒られない。むしろ気を使うわ、褒めるわだよ」



実際に風田の前の監督は外人だったが、その監督が青山のプロ意識を見て『ワンダフォー』、『ここまで徹底しているプロ選手は欧州でも見たことない』と言ったのはレジーナでは有名だ。


風田も青山に怒ることは就任してからしてない。まぁ、人間として奇行と言える鉄拳制裁については苦言を言っているが、それでも全てがチームのためであることを理解している風田は青山に自由を与えている。問題にならない程度で。



これがアンタッチャブルと言われるが所以。そしてその教えを若手は皆、門下生として厳しく教えられる。それが故にレジーナの選手はJP1のチームから人気がある。毎年4、5人はレギュラーを持ってかれる。それでもチームの順位が下がらないのは青山と首脳陣が極めて優秀で、少ない予算でも強いチーム作りをできるからだ。



そしてレジーナを出た1人が青山に挨拶しにきた。

「ちっす。みつさん」

「挨拶が遅え」


「すみません。みつさんがどう動くか見てから挨拶しようと思って。カズさんらには挨拶したんすけど」

「ほお。おめえは門下生のくせに、俺はどうでもいいか」


「いやあ。すみません。ここでも門下生として教えをお願いします」

「そうか。神山」


神山は昨年、レジーナから川崎に移った選手だ。畠山より一つ上で、レジーナユース出身である。

移籍した先の川崎でもそこそこ活躍しており、いずれは代表にと言われている。



「久しぶりです。神山さん」

「おう畠山」

畠山が神山に挨拶する。畠山の一つ上の神山は畠山にとって先輩で兄貴分だ。


「てめえら、ダウン終わってねえだろう」

「はい」


畠山は青山の雷が落ち、一瞬でダウンに真剣になる。また神山もすぐにダウンを始めた。



すると、カズが来る。

「よお、青、まだダウン中?」

「うっす。カズさんもします?」


「ああ、監督の話も終わったし、加わるわ」

「中井さんは?」


「ああ、まだ話し合い中。俺はちゃんとしたコーチじゃねえしな」

「そうっすか。おい神山、カズさんのダウンを手伝え」

「はい」


一つ、一つの部位をしっかりとダウンさせていく青山。それに付き合う面々は30分かけてダウンをした。もう既に彼らの周りには誰もいない。レジーナの選手とレジーナ出身の神山と同じくレジーナ出身で他チームにレンタル中のDFの大沢だけだった。




「なんでえい。レジーナの出身の連中以外は片付けやがったか。ヴァンゼムもなんで怒んねえだ。レジーナ時代はキレてたのによ」

「そう言うな。青」


「カズさんは理由を知っているんすね?」


「さすがに細かいところをガミガミと口に出すと協会がうるさいんだよ。各チームの連中もな」

「はあ。よくラモンさんがキレねえっすね」



ここでダウンに加わっていた中井が声を出す。

「ああ、ラモンさんは今回我慢しているね。まぁ落とす奴の見極めをしているみたいだ」

「そうっすか。中井さん。いつから?」


「途中から加わっていたけど気づかなかったろう。みつ」

「声かけてくださいよ。ダウンとアップは大事にしているんで、集中してました」

「そうか」

中井は青山のこういうところを後輩ながら尊敬しているので、怒ることはない。


「岡田さん、明日まで来てくんないから怪我したくないんすよ」

「ああ、お前の専属とも言われているレジーナのドクターだっけ?」


「そうっす。レジーナは珍しく2人もドクターいるんすよ。すごいでしょう」

「それを引退した俺に自慢されても」


「そうか。残念」

と、青山のドヤ顔をサラッと流した中井、そんな風に二人が会話をしてダウンを切り上げていく。他の面々も同様にダウンを終える。


宿舎に入ると食事が20分後であるため、全員がシャワーを浴びる。ささっと浴びて出てきた面々は食事をしに食堂に行く。



「失礼します。ラモンさん」


「おう、初日から雷ありがとうな。あれで、少し険悪になった反面、いい緊張感が出てきたし、意識してきた奴もいるよ。特に海外組だな。ただ斉川か」


「ああ。斉川のガキは才能しかないっすからね。頭使わねえ選手なんかよっぽど凄え選手じゃない限り上はねえっすからね。日本人じゃありえないっす」


「ああ、でもお前、同部屋だろう?」

「大丈夫っす。最悪は折檻します」

「代表だから、やめておけ」

「うっす」


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