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そうだ、異世界行こう

どこぞの旅行会社の宣伝文句ではない

ただ、地球のうまいものに飽きただけだ

俺は俺の知らぬうまいものを食うのが好きだ

そのためなら毒虫蠢く森の中にも分け入ることができると自負しているし、実際何度も死にかけながらうまいといわれる食材の調達をしてきた

だが、死ななければいつかは全てを知ってしまう

俺はうまいものを見つけ出すのが好きなわけではない

うまいとも知れぬ食材に手を出すような冒険は好かぬ

結果、俺は思っていたよりも早く地球のうまいものを食べ尽してしまった

俺が死ぬまでに新たにうまい食材が発見されることはあるだろう

だが、それは何年に一度のことだろうか？

いや、何十年に一度かもしれぬ

その間、俺は満たされることなき欲求を抱えていなければならぬとなれば、地球の外へ目を向けるのが当然といえよう

宇宙には未だ食材足りえる有機物は発見されておらぬし、俺は無機物を食えるほど人間をやめてはいない

となれば、選択肢は異世界しかあるまいよ

異世界はこれまで何度か観測されているが、行き来する手段は未だ確立されていないという

だが、一方通行でよいなら手段が無いわけではない

俺はもう地球に戻りたいと思うようなものは残っておらぬ

一方通行で十分

未だ見ぬうまいものを求め、いざ往かん

つづく？