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第13話 2【決戦直前】







 地下十二階に到着し、通路ををひたすらに走っていくと、行き止まりに別のエレベーターが待ち構えていた。エドワーズさんがエレベーター横の小さな窪みに人差し指を刺し込むと、音を立てて扉が開いた。



「どういう仕組みなんですか。これ」



 僕が尋ねると、エドワーズさんはエレベーターに乗り込みながら答える。



「穴の中に魔力探知機能をつけてあるんだ。ボクと兄さんの魔血球に反応して扉が開く仕組みになってる」



「へえ……」



「ほら、早く乗れよ陽。置いて行くぞ」



 メルヴィンに急かされ、僕は慌ててエレベーターに乗り込んだ。全員が中に入ると、扉が閉まり、エレベーターはゆっくり下降を始める。選択出来るフロアは地下十三階だけだった。



「いいか、全員聞け。冷凍室で何が起きているか誰も把握していない状況だ。何があってもいいように、俺が先頭になって扉を開く。後方はエドワーズに任せる」



 短い時間で最後の作戦会議を開始したメルヴィン。



「了解。最悪キャロルは自分で防御魔法を張れるよね? だとすると……問題はエクセプションの陽だな」



「……すみません」



 最後の最後まで足手まといになってしまう雰囲気に、自然と謝罪の言葉が出る。



「いや、気にするな。お前には万が一リルクが寝返っていた時の人質っていう大事な役目があるからな」



 肩を叩きながら言うメルヴィンに、僕は絶望した。



「それ、僕が死ぬ前提だよね?」



 リルクと命を共有している立場の僕は、言ってみればリルクにとっては己の心臓も同然の存在である。僕がリルクの攻撃で死亡する前に他者によって外傷を負えば、道連れとしてリルクも死んでしまうのだ。



「大丈夫だって! 保険だよ、保険」



「何も大丈夫じゃない……」



 己の役割の危険性に肩を落としている間にエレベーターはあっという間に目的地へ到着した。地下十三階にはエレベーターを降りてすぐに大きな扉があり、厳重な施錠が侵入者の立ち入りを禁じていた。



「エドワーズ」



「はいはい」



 扉の施錠を凝視していたメルヴィンは、自分ではどうすることも出来ないと諦め、一番後ろでキャロルさんと会話をしていたエドワーズさんに声をかけた。



「本当、ボクを連れて来てよかったね」



 エドワーズさんは苦笑いをしながら扉に手を翳す。するとどこからともなく施錠が解除されたことを告げる音がした。



「よし」



 準備が整い、メルヴィンを先頭に一列に並んだ僕らはこれから待ち構えているであろう最終決戦に大きく深呼吸をする。



「皆、覚悟はいいか? エドワーズは後方に注意、キャロルは己の身を最優先に考えろ。陽は俺から離れるな。行くぞ」



「はい!」



「分かった」



「了解」



 全員の返事を聞き終えると、メルヴィンは施錠の解かれた扉を両手で開けた。その瞬間、眩い光が全員を包み込み、僕は皮膚に少しの熱を感じた。


 キンッ! と金属同士がぶつかり合うような音がして、全員を包んだ眩い光が治まった後に目を開けると、そこには僕らに向かって魔法陣を向けるリルクが立ってた。







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