第7話 1【暗殺部隊と夕食を。大丈夫、毒とか入れてないから】
午後七時、僕は二人分の椅子を新たに部屋の中で確保し、彼女たちと夕食をとった。
晩餐の内容は、バターロールが二つと熱い鉄板の上でチーズがとろけるハンバーグに一口大に切り揃えられたステーキ。それから野菜のスープとサラダ。リリィさんは僕と同じメニューなのだけれど、マリアさんの前に並べられたメニューは少し違い、白身魚の上にタルタルソースのようなものがかけられ、副菜としてブロッコリーの和え物が盛られている。
皿の上にあった料理が半分ほど減った頃、マリアさんが僕に声をかけた。
「ねえ、そう言えばアナタに聞きたいことがあるんだけど」
「ふぁい?」
僕は口にフォークをくわえながら顔を上げて首を傾げる。
「アナタ、ミドナ様についてどう思う?」
「え?」
「だーかーら、ミドナ様についてよ。さっき会ったんでしょ? キャロルから聞いてるわ」
「すごいって思いましたよ。あんなに小さいのに、色んな人を従えてて」
「はぁ……バカにしてる? ていうか、その妙な敬語やめてもらえるかしら。年上にヘコへコされるのって苦手なのよね」
マリアさんは大きく溜息をついた。
「えっと……マリアさんは今いくつなの?」
意外にもフランクな関係を望まれ、動揺してしまう。
「私は十六。リリィも同じよ。キャロルの下で一緒に働いてるの」
「へえ……」
「あら、あんまり驚かないのね」
「まあ、ミドナちゃんを見た後だから……」
リリィさんやマリアさんと言い、キャロルさんと言い、ミドナちゃんと言い、ここでは能力のある者が上に立つシステムのようだ。彼女たちはまだ子供。よほどのことがない限り、働くような年齢ではないだろう。
――――否、「エリス」にいること自体がもう、「よほどのこと」なのか。
ここにいるということはつまり、彼女たちもエリスの信者であり、何らかの目的があって組織に在籍している。
「それもそうね。じゃあこんな話をしたら驚く? 私たちは最近街で騒ぎになっている連続殺人事件の実行犯なの」
「え?」
僕は手に持ってたフォークを落としそうになった。




