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第366話[演27]友達は選ぼう

 最寄り駅について少し歩くとセリカと僕のアパートが見えてきた。少しは片付いたとはいえ、あんな汚部屋に帰るのが悪くないと思っている自分が少し怖い。人は慣れる生き物だ。


 アパートの前にはなんとセリカが待っていた。

 僕に気が付いたようで無邪気な笑顔で手を振っている。

 僕の帰りを持っていたのだろうか?

 僕は少し気恥しかったが、手を振り返そうと手を挙げた。


「昔言ったことがあったかな」


 僕の頭の中に彼女の言葉が浮かんだ。


『現実もそうであったら、私はとっくの昔に演劇をやめてたね』


 セリカの声が聞こえる。


「シユ、いらしゃい」


 シユ? それは僕の名前ではない。

 僕は僕の友人に一人その名前を持っている人物を知っている。

 鹿島シユ。

 先ほど駅で別れたばかりの僕の友人だ。


「一本電車をずらして君がコンビニで立ち読みしている間に追いついたよ。ダメじゃん、大好きな彼女を待たせちゃ。まぁ、おかげでこの再開すら劇的っぽくなったけどね」


 僕は恐る恐る後ろを振り返った。

 わかっている結果を受け入れるために。


「やぁ、楽しみにしてくれているようだから直ぐにお話をしに来て上げたよん」


 そこにいた鹿島は僕が今まで一緒にいた中で一番楽しそうな笑顔をしていた。言葉もどこか明るく浮ついている。

 セリカは事態のヤバさがわかっていないようでニコニコしたままだ。


「取り合えず中入ろっか」


 鹿島が促す。

 お前が言うな、お前が。


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