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第343話 野良犬同盟

 私達は誰のものでもなかった。

 誰の物にもならない、なれない、哀れな野良犬。その代償に自由だけがあった。


 野良は狩りをしなくてはならない。

 与えられる餌はなく、自分で探し出さなくてはいけない。


 鋭い牙と爪、賢い頭、保護欲を誘う容姿、己の武器は全て駆使して欲求を埋めるのだ。それでもいつもいつも上手くいくわけではない。


 どうしても空腹で、非常食に口を出さないといけない時がある。

 彼は少食だった。


 彼のアパートを手慣れた感じで訪れ、合鍵で玄関の鍵を回す。鍵はかかっていなかった。来るもの拒まずな彼らしいよくあることだ。


「良い男いなかったの?」

「たまたまスケジュールが合わなかったの。もう二週間はしてない」

「俺はそれぐらいだったら全然耐えられるけどな」

「あんたが異常なんでしょ。普通男はもっとがっついてるもんだよ」

「俺は喰い貯め出来るタイプなんだ」


 私はソファベッドに寝転んでタブレットで雑誌を読んでいた彼の隣に座る。


「じゃあ、しない?」

「互いが了承した時だけここに来る約束だろ。いいよ、俺も二カ月はしてない」

「よくそんなに耐えられるね」

「積極的に狩りはしないんだ。ある程度人数確保したら、俺は向こうの気が向くのを待つの」

「何それ、私もその内の一人ってわけ?」

「……お前はなんか違う。俺だって空腹になるときはある。その時はお前に連絡するだろ。俺から連絡するのなんてお前ぐらいだよ」


 その言葉が嘘か真かはわからない。

 それでもその言葉を信じて、私達が対等であると信じてその日も欲に溺れた。


 いつもその次の日だけ思うのだ。

 自由は中々お腹が膨れないな。 


 でも、こんな形でしか生きられないんだ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] なかなか含蓄の深い話だと思いました。 上手く言えませんが、、、訴えかけるものがありました。
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