関わりが苦痛な彼の話
煩わしい、全てのつながりが。
放って置いてほしい、口出ししないで。僕に構わないで。
自分以外の全てが気持ち悪い。
けれど、一人きりで生きていくのは難しいと、知っているから我慢するほかない。
超常的能力がある世界にいきたい。
そして一人でも、ある程度生きていける力がほしい。
そうしたら、僕はゆっくりと息ができるだろう。
家に引きこもって、最低限の関わりで生きていくにはこの世界では厳しい。
それでは生きていくためのお金を、僕は稼げやしないから。
物語のような、魔法のある世界で冒険者になりたい。
魔物を倒してお金を稼ぐんだ。
ある程度、稼ぐことができたら、家に引きこもって惰眠を貪る。
それはきっと、至福の時間。
旅をしてみたいけれど、それをするには僕の根性が足りない。
それに一人旅はとても難しいだろうな。
誰かとともに旅をするという手もあるけれど、それはきっと、苦しい。
僕は人と関わりたくないのだから。
そうなればやっぱり、家に引きこもってるのが一番だ。
(夢物語だとわかっている。それでも、そうしていないと苦しさに溺れてしまうから。人が聞いたら笑い飛ばされそうな空想をしながら、なんでもないふりして生きてくしかないんだ)