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ピーチ  作者: eight-moon
3/7

3

今朝は寝坊して遅刻ギリギリだったため、

朝食どころか水一杯飲まずに会社へ行った。

だからすっかり忘れてたんだ。この桃の事…


僕は、帰り道の途中で買って来た牛乳と冷凍のピザをしまいながら、

桃をじっと見つめてみた。

機能より微かにピンクが濃くなった気がする。

いや、この場合は、やはり

『桃色』

というべきか。

この桃色は、あのとき見た桜の花の色に似ている。

それは、僕がまだ中学生だった頃の話…


僕は片思いの真っ最中。ずいぶん考え抜いた末、

二年生から三年生へと進級する春休み、

電話を掛けて意中の彼女を呼び出した。

桜の木を背にしてベンチへ座り、彼女を待つ。

やがてやって来た彼女へ、

僕はたどたどしく愛の告白をした。

その時、無数の桜の花びらが、

僕達の間を演出するかのように舞っていたのが印象深い。


結果として僕は振られてしまったわけだが、

今思えばその桜のおかげで、

キレイな思い出として心に残った気がする。

あの彼女は、今どこで何をしてるんだろう…


よく見れば、彼女のほっぺたのようにも見える桃を、

僕は人差し指で押してみた。

まだ硬い。

食べ頃まであと二~三日ってところかな。

なので、甘酸っぱい思い出も一緒に入れて、

今日もまた扉を閉めることにした。

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