第二話 おばあちゃん
おばあちゃんの名前はふざけすぎたと反省してます。
7歳、彼女が来てから次の日。
当日は歓迎会で終わってしまったため、あまり彼女と話せていなかった。
僕と、妹と、少女。3人で一つの部屋で寝た。
布団が足りないため、妹は少女と寝ることになった。
その当日の夜、僕らはこんな感じだった。
「狭い・・。」
この期に及んで文句を言う妹に少女が眉を寄せる。困っているらしい。
妹は賢いけれど、こういうときはバカだった。
なんというかその場のノリに会わせるのが苦手な奴なのだ。
「僕と寝るよりも狭くないだろ。」
「なんでお兄ちゃんと寝る前提なの?別にお母さんと寝てもいいわけだし。」
妹の方が賢かった。
そりゃそうだ。でも、
「それを言ったらお母さんの好意とおばあちゃんの厚意が無駄になるだろ。」
「そうだけど、・・・ねぇ。」
少女に話かける。少女が恐る恐る顔をあげる。
妹が不機嫌なのは自分のせいだと思っているらしい。
「せまくない?」
妹が気を使って優しめに言うと少女は首を振った。
「ホントに?あっちのお兄ちゃんと寝るのとどっちがいい?」
「その質問はずるいだろ。」
「・・・・。」
少女は妹を指差した。
布団の中なので良く見えないが、妹は嬉しそうだった。
というかめっちゃ喜んでいた。
「そっか。ならいいや。お兄ちゃん、この子良い子だね。」
「そうだな。そう思うならいいよ。」
お前は単純で簡単に騙せるバカだよな。
素直にそう思った。
「・・・オヤスミ。」
少女がカタコトでそう言った。
よく聞き取れなかったけど、そう言った。
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
僕は電気を消した。
「いいかい?できるだけ、優しくおあげ。喜ぶから。」
おばあちゃんは少女が来るまでずっとそう言っていた。
来てからもずっと言っていた。
「してるよ。お母さんもそうだし。」
「そうだね。おばあちゃんも嬉しいよ。」
「でも、あの子日本語話せるけどカタコトだし、大丈夫かな?」
「大丈夫だろうさ。」
おばあちゃんは時々はっきりしたもの言いがあった。
僕はそれが外れたのを聞いたことがなかった。
おばあちゃん。
ー【暮町 聖美】-くれまちきよみー
僕らの、暮町家で一番偉い人だ。
お父さんよりもきっと偉い人だと思う。
僕も、妹も、少女もおばあちゃんが大好きだった。
妹はおばあちゃんとしてではなく、別の意味でもおばあちゃんを慕っていた。
それが何についてなのかは、今はまた別の話。
少女も、おばあちゃんが好きだった。
暮町家に来てから一番話していたのはおばあちゃんか、妹だろう。
僕はなんとなくあまり話さなかった。
まぁ、ただ妹達に少女がくっついているので話すヒマもないだけの話しだが。
英語が話せるハズもないおばあちゃんと日本語がまともに話せない少女はどうやって話しをしているのか、
どんな話をしているのか、どんな顔で話しているのか。
僕は知りたかったけれど、ただの一度も僕はその光景を見たことがない。
見れたことが、ない。
結局、一度も見れなかった。
う~ん。
決まってるんだけど、
また次回。