題一話 出会い
むー・・・。名前まだです。すみません。
二年前、母の知り合い何かの関わりで、僕は彼女と出会った。
当時は僕が11歳、彼女は7歳。
彼女にも幼女だった時期があったのだ。今も幼女と少女の境目にいる。
少なくとも性格からは微妙に判断しづらいところがある。
今の彼女の話はどういうでもいいのだが、彼女の幼女期は新鮮だったのだ。
それに、外国から来た(まぁ、元から日本に住んでいたらしいが)4歳下の幼女は僕にとっては新鮮でもあり、
初めてのことであり、かなり始めは緊張していたけれど、本当の妹があまりに落ち着いていたので、
僕だけ緊張しているのも変だったので、母からは笑われた。おばあちゃんからも微笑まれた。
「外国の知り合いってどこの人なの?」
妹が母に尋ねると母はあっさりしたもので、『ユーラシア大陸』と答えた。
妹は溜息をついた。
「それなら、日本もユーラシア大陸でしょ。もう少し詳しく。アジア?ヨーロッパ?」
「ユーラシアって国じゃないのか。」
「ちょ、黙ってて、ややこしくなる。」
妹はこの時には世界地図ぐらいは把握していたらしく、当時の僕にとって高度なやりとりが交わされていた。
何を言っているのか半分もわからず、おばあちゃんに訊いたら『とおいところ。』だそうだ。
そのときは、それでなんとなく納得してしまった。
「ヨーロッパだと思うよ?金髪だからね。金髪。」
「金髪でヨーロッパっていう判断もなぁ・・。まぁ、いいや。アジアではないだろうしね。」
妹も納得したらしい。妹さえ納得すれば、誰もが納得する。
母はその日ずっとニコニコしていた。
そして、現在少女の当時幼女の彼女はやっていきた。
その日の昼前にやってきた。
重そうなバックを抱えて、不安そうな顔で。
やってきたというよりは、連れてこられた。
幼女は本当に金髪だった。
でも目の色は思っていたよりも普通だった。普通というより、青や緑ではなかった。
それは今でも変わらない。おそらくこの先も変わらない。
幼女も少女もずっとこのままあの目をしていくのだろう。
初めの挨拶は普通だった。日本語が曖昧なのか小声だったが、キレイな声で、よく聞こえた。
「きょう、から。オセワになります。」
短くそう言っておじぎをした。僕らも返した。
妹は笑顔だった。幼女は俯きがちだった。
妹は妹ができたみたいで喜んでいた。・・・ややこしい。
俯いた幼女は照れているのか顔が赤くなっていた。
今と比べれば可愛いものだった。そして、初初しいものだった。
「よろしく。」「よろしくね。」
僕と妹が手を差し出すと、幼女は笑顔で両手で返してくれた。
「はい。よろしくオネガイ、します。」
そのとき、僕は少し驚いた。
たぶん、妹も驚いた、幼女の瞳の色が初めて綺麗にはっきりと見えたからだ。
そのときの印象は今でも強く残っていた。
おばあちゃんもよく言っていた。『あの子の目は綺麗。』だと。
可愛く笑った幼女は、すぐに僕の家になじんだ。
暗い『紫色』の瞳の幼女はこうして僕らと出会った。
語り語りは、まだ、始まらない。
幼女、妹という単語ですみません。
ただ単に名前がないからこうなだけで、強調ではないことを念押ししときます。
押すというより、刺しておきます。念を刺す、堅そうですね。
次回も、ご賞味くださいね。