脱出
「ホリミカの記憶」第3話です。
最近小説を書くことにも慣れ、もう3話です。どんどん更新したいと思います。
1
「ミカちゃん、携帯持ってる? 」 「あっ そういえば携帯持ってきたんだ」ミカは今思い出した。携帯は家を出るときに持ってきた。
しかしポケットを探しても見つからない。「あれ ないわ」確かにしまったはずなのに。ミカは焦ってポケットというポケットを探したがみつからなかった。「たぶん あの人たちが持っているのね」
シノがつぶやいた。
ミカは悔しいやら悲しいやらで胸がいっぱいになった。「くそっ」
ミカはあの男たちがなぜ私たちを誘拐したのか考えていた。
「どうやら 身代金目当ての誘拐じゃないみたい。だからとりあえず大丈夫よ」ミカは言った。
「どうしてわかるの? 」シノが聞いてきた。
「だってわたしたちの家は特別お金持ちっていうわけでもないし、男たちはわたしたちを偶然見つけて誘拐したみたいだから。わたしたちの家の電話番号も知らないはずだしね」ミカは自分の推理を聞かせた。
「ミカちゃんの携帯にアドレス入ってるんじゃないの? 」 「大丈夫 家の電話番号は入ってないから」シノの顔は安堵に包まれた、だがすぐにあることに気が付いて顔が曇った。
「じゃあ 私たちこれからどうなるの?」シノが不安な顔で聞いてきた。
「あいつらがロリコン集団だったら変な事をされるか、ただ快楽のための誘拐だったら殺されるか」
自分で言ったミカも少し怖くなった。シノはもう失神しそうだった。
「もう 終わりだわ!」シノは泣きながら言った。
「だからここから脱出するのよ」
2
「この作戦でいきましょう」ミカは言った。
「うまくいくかしら?」シノは心配そうだ。
「これに失敗したら 次はもう見逃してくれないと思う。気を引き締めて行こう」
「うん」シノの目には決意の色が現れていた。
「じゃあ 行くわ」
「待って」
ミカはスタンバイしようとしているシノを呼び止めた。
「最後に1つ聞かせて。あなたは今日わたしを呼び出して何を言うつもりだったの?」
ミカとシノが誘拐された理由。あの公園に行かなければ誘拐されることもなかった。
シノは黙り込んだ。頭の中で言うことを考えているようだ。
「実はわたし、公太郎くんが好きなの」
「えっ」
ミカは驚きを隠せない。公太郎はミカと同じクラスのひょうきんな男の子。
ミカは3年まえから公太郎のことが好きでシノによく相談していた。
運動会の時もミカと公太郎が2人きりになれるようにシノが手配してくれた。
バレンタインの日もシノにかなり手伝ってもらってやっとのことでチョコを渡すことができた。
そのシノがミカと同じ人を好きななったのだ。
「おもろいじゃない。上等よ。ここから出れたらどっちが先に公太郎くんのハートを射抜けるか勝負よ」ミカは啖呵をきった。
「うん」シノはもやもやが晴れたようだった。
「さあ、戦闘配置につくわよ」