世界の終わりに(2)
別視点です
世界の終わりに其の2
「いや、嫌ああぁぁぁぁぁ!!」
目の前で大地が蹂躙され、嬲られ、全てが消えていく。
この世界は、もう終わる。私は、直感的にそう感じた。
目の前には、化け物がいる。
紫色に染まった長い髪、切れ長の目。一見は人間に見える。でも、違う。人間はこんなことはしない。全てを破壊するなんて、世界を壊すなんて、人間が出来る事じゃない。
目の前のは、人間の皮を被った、化け物、神。
「唯、助けて、助けてえぇぇぇっ!!」
数十m先には、親友の芽衣が私に助けを求めている。でも、私はそれに答えることが出来ない。
怖くて、恐くて、こわいこわいこわいこわい!!
「芽衣……! お願い、もう止めて!!」
違うの。私はこんな世界を望んでない。もっと、皆が平和で過ごせる世界、戦争が、争いが無い世界。そんな世界を望んだの。
「争イノ無イ世界ナンテ無イヨ。ソンナノハ綺麗事ダ」
確かに、無いかもしれない。人という枠組みが存在する限り、全員思っていることは違う。
でも、それでも、私はそんな世界を望んだの。
だからこそ、一縷の希望を異世界に託したの。
なのに、なのに……
「大丈夫。悪イノハ君ジャナイカラ」
悪いのは、私じゃない。じゃぁ、何が悪いの?
芽衣が悪いの?
世界が悪いの?
親が悪いの?
教えてよ……。
なんで、なんで貴方はこんな事をするの?
ねぇ、もう疲れたよ。
私は……私は……。
「人間ハ弱イ生キ物ダ。極限マデ追イ詰メラレタトキ、必ズ自己嫌悪に陥ル」
「唯、諦めないで! お願い、貴方が最後の望みなの!」
芽衣が呼んでる。
応えなきゃ。
応えなきゃ。
そう思っても身体は動かない。
――もう、駄目だよ。私。
涙が零れ落ちる。
ごめんね。ごめんね……。
「サァ、ソロソロ終ワリにしようか」
そういって、手を振りかざす。それだけで、世界は再び崩壊し始める。
空が崩れる。景色が色褪せていく。
「ジャア、次行クカ」
そういうと、アイツは不気味に微笑んで消えた。
――――世界が砕けた。
何もかもが消えていく。
目の前で、芽衣も消えていく。
地面が崩れ、身体が落ちる。何処までも、何処までも。
世界の崩壊と共に、私の身体も消えていった――――