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闘技場

 「もしかして……貴方もあの手紙を貰った方ですか?」

一人の男が秦に話しかける。

男の方向へと振り返る。男は、さっき秦を襲ってきた男達とは違い、優しそうな友好的な風貌をしていた。少し長めの髪を、真ん中で分けていて、垂れ目がちな緩い目をしている。

身長は、秦と同じくらいの175cmぐらいか、若しくはそれよりも少し下。

学生服を着ていて、それは町の中でも異彩を放っていた。

 

 「あぁ。そうだ」

 「やっぱり……。実は、僕もなんです。水城学(ミズシロ マナブ)といいます。貴方は?」

水城……。何処かで聞いた気がする。

何処だったか、確か父の会社に行った時に聞いた気が……。


 「小宮山秦だ」

 「小宮山……」

そう呟くと、水城は考え込むように下を向く。


 「あっ、もしかして! あの、小宮山内閣総理大臣の息子さん!?」

うちの父を知っている? ということは……。


 「父を知っているのか。じゃぁ、もしかして君は水城グループの……」

 「知っているんですか? そうです、僕の父は水城グループ会長の水城真二です」


水城真二。恐らく、俺たちの世界の住民ならば、知らない人はいないだろう。

前会長の酒癖が悪く、金遣いが荒いせいで倒産寸前だった水城グループを、夜逃げした父の代わりに会長につき、わずか1年半で財政難を持ち直し、更に1年で国のトップ企業まで上り詰めたあの、水城真二の息子……。


 「で、その息子が何故異世界に? 聞いたところによると、人望もあり、次の会長にはもう決まったようなものらしいじゃないか」


 「会長の座になんて興味はありません。だって、僕にはもっと大きな夢があるんですから……」

そういうと、不敵な笑みを浮かべる。

何を考えているのか分からなかった。しかし、悪いやつではなさそうだし……。


 「それにしても、大きな鎌ですねぇ! それ、絶対レアですよ。僕のなんかとは比べ物にならないなぁ」

背中に背負っている鎌が気になっていたのか、待ちくたびれたというように、質問をぶつけてくる。


 「どうも。で、そっちは?」

「やだなぁ、学でいいですよ。僕の武器は、もう手に持っていますよ」

手……?

学の手を見るが、そこは何も無い只の空間だった。

武器らしきものは何も無い。


 「ふふ。現れろ」

学がそういうと、今まで何もなかった、手に突然、1M程の剣が握られていた。

さっきまでは無かったのに、一体……。


 「驚きましたか? これが、僕の武器。存失剣です。僕の好きな時に、消したり、出したり出来るんです。正確には、消していても見えないだけでちゃんとあるんですけどね」


むしろ、そっちのほうが厄介だ。見えない武器を投げられたりしたら無防備だと勘違いして突進していたら一刀両断だ。


 「厄介な武器だな」

 「敵には回したくないですね」


 「で、それを使って闘技場に?」

 「えぇ。あ、でももう行ってきたんですけどね」

 「早いな。で、結果は?」


 「勝ちましたよ。ランクCにですけど。まぁ、調整程度でやったみただけなので」

 「ふん。俺はこれから行くつもりだ。学はどうするんだ?」

 「とりあえずは、ここを移動します。また、何処かで会えたらいいですね」


そう言い残して闘技場を去っていった。

学が言っていた、ランクってうのは難易度を示すのかな?

まぁ、とりあえずは入るか。


闘技場の扉を開く。中は、かなり広く作られていて、ゆっくりと寛げる様に、長椅子や、飲み物のサービス、鍛冶屋、道具などの施設が充実していた。


 「最初からここに来ればよかったなぁ」

まぁ、それはおいておき、受付へと向かう。

受付には二人の女性がいた。


 「あの、闘技場の説明をお願いできますか?」

すると、営業スマイルで右に座っている女性が話し出す。

 「かしこまりました。まず、闘技場には2種類の種目があります。模擬闘技と実戦闘技です。模擬闘技とは、相手を殺してはいけないルールで、相手が戦闘の意思を無くした場合、ギブアップの場合、審判がこれ以上の戦闘は不能と判断した場合に勝利となります。こちらは、初心者向きです。私のほうで受付してください。対戦相手は、ランク表から自分で選ぶ事が出来ます」


 「実戦闘技とは、実際に殺しあうことが可能です。相手が死んだ時、相手が戦闘不能になったとき、相手が降参の意を示した場合、勝利となります。上級者向けです。ランク表はなく、対戦相手がきたところで試合開始となります。模擬闘技、実戦闘技どちらも賞金はありますが、闘技実戦のみ、参加料として1000ペル必要です」


ペル、というのがこの世界の金の単位か。てことは、一文無しの俺は必然的に模擬闘技をやるということだな。


 「わかりました、じゃぁ、模擬闘技でお願いします」

 「かしこまりました。では、ランクをお選び下さい」


ランク表が渡される。ランクにはE~Aがあり、ランクに応じた賞金になっていた。

ランクEは50ペル、Dは100ペル、Cは350ペル、Bは500ペル、Aは800ペルとなっていた。


 「Bでお願いします」

 「かしこまりました。相手をお選び下さい」


次に渡された紙には数十人程の名前が並んでおり、その横には、×や○が書かれている。


 「×マークの方は現在いらっしゃらないので戦えません。○マークの方の中からお選び下さい」


そういうことか。

適当に選び、指を指す。


 「じゃぁ、これで」

 「かしこまりました。トウル・メクリエ様ですね。相手の準備が整い次第、アナウンスでお呼びしますので、それまでお待ち下さい」


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