世界の終わりに――(1)
別視点というかなんというか
世界の終わりに
悲鳴が聞こえた。
また一人、誰かが殺され、生命の灯火が消えた。もう嫌だ。こんな世界……。願わなければ良かった。非日常が欲しいだなんて。
僕は、今更ながら後悔する。この世界に来て、2年は経つ。その間にも、僕の目の前では何十、何百という人が殺されてきた。壊されてきた。人間が殺したんじゃない、化け物でも、神でもない。もっと大きな存在。
世界に殺されたんだ。
精神も、身体も。まるで、人形みたいに、壊され、捨てられる。
見てないだけで、もっと残酷な恐怖は違うところにもある。
どんよりと曇った空を見上げる。涙を流す。血の涙を。
「君デ……最後カナ?」
無表情な顔。機械的な声。いや、実際人間ではないのだ。
目の前に立つ機械は、人間のように行動し、人間のように話す。
赤、緑、青、黄色、色々な色彩を放つ両目を見ると、あぁ、こいつになら殺されてもいいかな。
そう、思ってしまう。
「あ……あぁぁ…………」
膝をつき、地面に倒れこむようにして座り込む。
「ヤッパリ、今回も駄目ダッタヨウダネ」
救えなかった。
僕は、救えなかった。救えるだけの力を貰ったけれど、結局。
僕は弱虫だ。
救世主には、もっと適任な人がつくべきだ。
選択を少しでも間違えただけでも、命はゴミ同然に消えていく。
「僕は……僕は…………」
涙が溢れ出す。
死ぬのが、恐い。
「大丈夫ダヨ。楽ニ死ナセテアゲルカラ」
僕の首に手をかける。その手には温かみなんて感じられなかった。
あるのは、絶望感だけ。
願うなら、叶えられるのなら、僕、いや、僕たちみたいな悲劇の犠牲者が今後現れないことを。
欲望は、破滅を生み出す。
キュッと、首が一気に絞まる。
「さようなら……」
さようなら、皆。
さようなら、現実世界の僕。
さようなら、さようなら――――
世界が歪み始める。地面に亀裂が入る。
空が鏡のように、割れていく。
「ジャァ、次、行クカ……」