導かれし者
相変わらず、タイトル、サブタイトルのネーミングセンス皆無でごめんなさい・w・
目を見開く。
どれ位経ったのだろうか。
秦は周囲を見回す。大勢の人、人、人。
正に、人が波を作っていた。その数、およそ200人程。
それぞれ、身長も顔立ちも、何もかもが違っていた。
しかし、共通点がある。それは、此処に集まっている人が、秦と同じ高校生、もしくは中学生だということだった。髭が生えていたり、老けてたりするものはいない。
どういうことだ?
しかし、ここは明らかに俺が居た場所じゃない。なぜなら、ここは日当たりの良い平原だったから。俺が今まで居たのは自室。
それが一瞬の間に別の場所へ。それは、異常でもあり、神秘的でもあった。
つまり。ここに居る人たちは全員、俺のようにこの異世界への招待状を貰い、サインした一種の選ばれし人間だということだ。
「皆さん、揃ったようですね? まだ、寝惚けている方も、元気一杯という方も、しばし私の話に耳を傾けて頂きますよう、宜しくお願いします」
突如、現れた大鷲が透き通るような、それでいて芯のあるしっかりとした声で話し始める。
「皆さん、初めまして。私は、貴方方に手紙を出し、ここに導いたもの。救世主と、お呼びください。
皆さんは、元の世界に不満を抱き、この世界へと来た者。この世界で何をするも自由です。今までよりも幸福を手に入れるのも、はたまた、不幸になるのも、全ては貴方方の自由。皆さん、目を瞑ってください」
促されるままに目を固く閉じる。
「開けてください。皆さんの足元には、生活する上での最低限の物資を提供します。それ以上は自分で何とかしてください。また、皆さんには能力を付与しました。元の世界よりも遥かに、人間を超越した力を手に入れた方もいるかもしれません。それらを含め、全ては足元の箱をお開けください。」
言われたとおりに足元を見る。そこには、さっきまで無かった筈の箱が置いてあった。他の人にも同じように箱が置いてある。
「説明は以上です。皆様の、異世界ライフを応援しています」
そういうと、救世主は、影が消え行くように次第におぼろげに薄くなり、やがてはそこには影一つも残っていなかった。
「面白い……」
そう呟き、秦は箱を開ける。
中には、3P程のこの世界の簡易的な説明と、自分の能力、武器が入っていた。秦は、とりあえず、説明書を手に取る。
1項:この世界について
この世界は、エリステル大陸、フェリアード大陸、グランストラ大陸の3つに分かれている。
それぞれの大陸は何処も勢力が均等に出来ており、特に争いは無い。
エリステル大陸:軍事国家。兵力の強化を進めている。広大な土地があり、豊か。闘技場や、ギルド、コロシアムが至る所にあり、荒くれ者が集う。
フェリアード大陸:妖精が創造したと言われている。森林が多く、伝説や言い伝えが数多い。未開拓の地が多く、大陸は謎に包まれている場所が多い。
グランストラ大陸:別名、商業大国。この世界で最も規模の大きい、ショッピングモールがある、各地からレアなアイテムや武器、防具が集まっている。
2項:魔法について
この世界には、魔法が存在する。
魔法の種類は以下の通り。
炎撃魔法:炎を主体にする魔法。個人戦向けの魔法が多い。発動時間が速い。
雷撃魔法:雷を主体にする魔法。混戦向け。広範囲に渡る攻撃が可能。発動までに少し時間がかかる。
氷撃魔法;氷を主体にする魔法。個人でも多人数でも使える。主に、防御としての活用が多い。
ヒーリング魔法:傷を回復させる魔法。戦闘で非常に重宝する。
ドーピング魔法:身体能力を上げる魔法。戦闘で重宝するが、使用後の疲労が大きい。
ただし、魔法は誰しもが使えるというわけではなく、才能のある者のみ使うことが可能。
3項:能力について
能力とは、各々の性格、運動能力、知恵等から、ランダムで割り振られる世界で一つだけのものです。
自分のステータスが高ければ高いほど、良い能力が得られます。
4項:守護獣について
守護獣とは、主の旅を助けるもの。箱の中に、守護獣スクラッチが入っていて、当たると一匹手に入る。
世界各地に存在している。運がよければ会えるかもしれない。
ほう。面白いじゃないか。特に、俺の興味を掻き立てたのは、魔法だ。才能のある者しか使えない?
上等だ。絶対使ってみせる。
武器も、守護獣も全て、手に入れてやる。
秦はそう心に誓うと、説明書を箱の中に戻し、あらためて自分に渡された武器を手に取った――