表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅路  作者: 風の中で
3/7

3.魔力鑑定

7月22日。


今日だ今日だ〜魔力測定、魔力測定〜!


急いで服を着込み、剣を腰に差して、家を飛び出した。


---


冒険者ギルド。


「緊張すんなよ、陌鋒。仮に魔法が使えなくたって大した問題じゃねえさ」


ディシアが肩に手をポンと置いて言う。


「先にヤルマさんに話してくるから、ちょっと待ってな」


俺は何度もうなずく。数分後、ディシアがフロントの方から戻ってきた。


「ほら、来いよ」


彼女が手招きする。


フロントに並んで立つ。深呼吸する。やっぱりちょっと緊張するな。


「陌鋒、水晶球に手を置くだけでいいよ」


ヤルマが腰に手を当てて俺を見る。


うなずいて、そっと手を水晶球に置く。


ディシアが水晶球を見て、ヤルマを見る。


ヤルマも困惑した顔で水晶球を見ている。


「壊れてんのか?」


ディシアがカウンターに肘をついて言う。


「そんなはずないけど…ちょっと待ってね。ハク!もう一個の水晶球持ってきて!」


ヤルマが叫ぶ。


俺は眉をひそめてディシアを見る。ディシアも眉をひそめて、何か考え込んでいる。


「もしかして…魔法の才能、ないってことですか…?」


「あ…いや、才能がなくても、これくらいは光るもんなんだが…?」


ディシアが首をかしげる。


「ああ、大丈夫!大丈夫!たぶん、この水晶球にかけてある鑑定魔法が切れてただけだと思うから。ちょっと待ってて、ハク!早く!」


ヤルマがまた叫ぶ。


もう一つの水晶球が俺の前に置かれる。深呼吸して、もう一度手を置く。


水晶球を見つめ、まばたきする。


「もしかして…魔力に色がないってこと、あるのか?」


ディシアが眉をひそめて言う。


「私もこんなの見たことないですね」


ヤルマが言う。


「何か…検査を妨害するような物、身につけてませんか?」


ハクが尋ねる。


「いや、何もつけてねえよ」


俺はディシアを見て、また水晶球を見て、手を離して頭をかく。


ハクが俺たちを見る。「こんなケースは見たことないんですが…可能性としては、彼には魔法を使う素養がない、つまり魔力がないということかもしれません」


「そんなバカな。俺、生まれてこの方、魔力がない奴なんて見たことねえぞ」


ディシアが首を振る。


「私も見たことないですね。もしかしたら、成長の問題かもしれません。新生児の魔力鑑定で、ごく稀に魔力が検出されない例があるって聞いたことがあります。いずれにしても、鑑定料はお返ししますね」


ハクが続ける。


「あ…」


ディシアがうなずいて、俺を見る。


俺は頭をかきながら彼女を見て、前に歩き出す。振り返って彼女を見る。


「送って行こうか?戦闘の後は一日休む決まりだからな。後でヘルクに話聞いてみるわ」


ディシアが俺を見て言う。


頭をかく。「一人で戻れますよ…」


ディシアがまばたきして、5枚の銀貨を俺に差し出す。


「あ…いいですって」


手を上げる。


「元々お前のもんだ。持っておけ。今日はゆっくり休めよ。明日からまた頑張ろうな」


ディシアが肩をポンポンと叩く。


「あ…」


頭をかきながら彼女を見る。彼女はギルドを出て行く。息を吐いて、家に戻る。


自分の部屋を見回す。広くはない。動くたびにギシギシ鳴る硬いベッド、小さなナイトテーブル、机と椅子が一脚。机の隅には着替えが置いてある。燭台が一つ。魔力がなければ灯りもつけられない…電球を見る。


ベッドに横たわり、頭の後ろで手を組んで天井を見つめる。


---


どれくらい経ったか分からない。ゆっくりと体を起こし、外に出る。空を見上げ、左手をかざす。指の隙間から日差しが差し込む。まばたきして、そのまま歩き出す。


しばらくして、商店に入る。干し肉一斤が25銅貨、パン二つで8銅貨…あ…干し肉、高えな…


干し肉一斤とパンを買う。道を歩きながら、空を見上げる。風が後ろから吹いてきて、半身をひねって後ろを見る。


ゆっくりと歩き続ける。空を見たり、草を見たり。


家に戻り、ベッドに横たわる。干し肉をかじりながら、天井を見つめ、まばたきする。


---


どれくらい経ったか分からない。ゆっくりと目を開け、ベッドを下りて外に出る。太陽を見る。オレンジ色に染まり、空も同じ色に染まっている。


村を出て、大きな木に寄りかかる。前方と空を眺める。右の方からササッと音がして、顔を出す。ディシアだ。


「あ…姉貴!どうしたんすか?」


「ちょっとぶらついてただけだ。お前こそ、何してんだ?」


「あ…景色でも見ようかなって」


言うと、ディシアが隣に座る。


「あ〜、魔力測定のことまだ引きずってるのかと思ったぜ」


ディシアが尋ねる。


「あ…別のこと考えてましたよ。えっと…初めて会った時、姉貴に助けられたなって」


「ああ、狩りの対象だったクローウルフに追われてた時な」


「それで仲間に入れてもらって、剣も教えてもらって。たまに、どうやって感謝しようかなって考えるんです」


「陌鋒、感謝なんて考えなくていいんだよ。お前はただ、真面目に剣術を学べばいい。どうしても感謝したいって言うなら、強くなれ。そしていつか金を稼いでから、ちゃんと返してくれればいいさ」


「戦ってるときに、自分がどれだけ弱いかって思い知らされます。姉貴、あの時もし皆が来てくれなかったら、あの子たちを助けられませんでした」


少しうつむいて言う。


「お前はできるさ、陌鋒。できるって信じることが大事なんだ。自分より強い相手と戦うからこそ、強くなれるんだろ?あれこれ考えすぎるなよ。やるべきことは一つ、自分はできるって信じることだ」


俺はディシアを見る。「実は…もう冒険者を続けるべきじゃないのかなって、考えてたんです」


ディシアは何も言わず、俺を見ている。


俺は彼女を見てまばたきし、口を開きかけては閉じる。


「ただ…足を引っ張るのが怖いんです…」


ディシアは立ち上がり、俺の前に歩いてくる。陽の光が彼女の全身を照らす。


「陌鋒、お前が剣を抜く理由は何だ?」


顔を上げて彼女を見る。まばたきする。


「剣を抜く理由…?」


「ああ、陌鋒、お前が剣を抜く理由は何なんだ?」


口を開け、まばたきする。「俺は…家族を守りたい…でも…」


彼女は歩み寄り、手を俺の肩に置く。「それで十分だ、陌鋒。俺はお前を信じてる」


ディシアが微笑みながら言う。


「でも…」


「信じてるって言ってるだろ、陌鋒。お前にできると信じてる」


まばたきして彼女を見る。


「明日もお前が必要だ。帰ろう、陌鋒!」


うつむき、また彼女を見てうなずく。「はい」


家に帰る道を歩く。陽の光が俺たちを照らす。


「灯り、点けてなかったのか?」


陌鋒が言うと、ディシアが灯りを点ける。


頭をかく。「魔力ないから、前から点けられなかったんすよ」


「あ〜、点けられないなら、何で言わなかったんだ?」


ディシアが自分の額をパンと叩く。


「面倒かけようと思って。自分で何とかできることは何とかしようかなって。それに、帰ってきたらすぐ寝ちゃうし、別に大丈夫なんで」


「面倒とか思うなよ。夜飯は?おごってやろうか?」


「いいですって、昼に干し肉買ったし」


「じゃあパンだけか?」


うなずくと、彼女はポケットから銀貨を五枚取り出し、机の上に置く。


「たまにはちゃんとしたモノ食えよ」


「いいですって!」


「ダメだ。受け取らなかったら、怒るぞ。じゃあ、戻るわ、陌鋒。ちゃんと自分を大事にしろよ」


ディシアが肩をポンポンと叩いて言う。


外まで見送り、部屋に戻り、顔を上げる。


「あああ!灯り消し忘れた!」


大家さんに消してもらう。ベッドに横たわり、足を組む。


「あ〜、これから頑張らなきゃな。姉貴があんなに期待してくれてるんだし〜」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ