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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

"社会"

執拗に殴られ、有り金を奪われた


きっと、俺が家すら無い暮らしをしているからだろう

おおよそこの世界ってのは、俺らを人間と思っていない


まあ、その事はいい

なら俺も、他の奴らを人間と思わなければいいって訳だ


生活に何かと使う十徳ナイフだけはポケットに残っていた

人間を卒業したら気分が楽しくなった気さえする、今から強盗でも行ってくるか


おっと、これは強盗でさえ無いな

相手を人間と思わず行うんだ、宝箱でも開けるつもりで行うとしよう



─────



時給が低い


例えば東京の基準等で言うなら、これは完全に違法だ

何故こんな貧しさが許されている


品出しをする手付きも、ついつい暴力的になる

僕は制服のズボンのポケットに手を突っ込み、隠し持ったスタンガンに触れた



何かをする目的のものではない


ただ、持っていると、或いは触れていると、心の中の熱を持った汚いものが満足するのだ


レジに居ても、店内をうろつくやつらの誰かにスタンガンを押し当てる空想が出来て、バイトの時間もなかなか楽しくなる



………などと思っていたら、汚い男がレジに向かって歩いてくるなりナイフを出した


『金を出せ』的な要求をしてきてるんだろうけど、聞こえなかった

自分の心臓の音が、男の声を塗り潰していたからだ



なんで薄給で働いて、こんな仕打ちを受けないといけない?


仕事や客だけでもクソなのに、こんな仕事ばかりして健康診断すら受けれなかったせいで、既に健康もガタガタだ

あらゆる事に、既に我慢の限界だった


………という事を表情に出さずに思っていた所、ナメられたと思った男が逆上して、僕にナイフを突き刺してきた



痛みは全然無かった


アドレナリンが多いと痛みを感じないと聞いた事があるが、ある意味ではいま僕はアドレナリンの塊になっていたんだと思う

『何かをしている』という意識すら無く、気が付けば僕は警棒で男を滅多打ちにしていた


男が屈んで、頭を庇う姿勢になる

なるべく長時間痛め付けて殺す為に、僕は男の背中をひたすら叩き続けた



─────



『男が警棒で人を殺そうとしている』という通報が複数有った



別にその事はいい


だが、『私が一人で行かないといけない』という一点にだけは本当に納得がいかなかった



暴漢が本当は複数人居た場合、どうするのか

そうでなくても警官はおいそれと発砲出来る訳では無いし、武器で襲われれば簡単に死ぬ


事実、そうなる事を望んでいるものすら居るに違いないとは思った

組織内で好かれているとも、重視されている存在だとも自分の事は思わない


私自身、別に内心では人命などどうとも思っていない

今日他の者達が行っていたように、状況さえ許せば『手が離せない』風を装ってこんな仕事は他人がやるように仕向けた事だろう



コンビニエンスストアに到着すると、店員と思しき男がレジの近くに立ち、警棒で人を殴り続けているのが視えた



強盗を撃退しようとしての結果なのだろうか


私は男に止めるよう言った

殴られている側の男は、もう死んでから少し経過している様に視えた



警棒を持った男が私を視る


彼は意味の通らない言葉を幾つか喚くと、私に向けても警棒を何度も振り下ろしてきた


殴られた頭から血が滴って、眼に入る



───このままでは、殺される!


私は拳銃を抜くと、それを男に向けて引き金を引いた

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