終章
映画を見た。
日本人が書いた小説の映画化。ファンタジー要素が入った不思議で暖かい物語。
横にいるのは新しいお見合い相手、遠藤春朋。
見ていて、突然藍さんのことを思い出した。
一瞬、泣きそうになった。
彼を思い起こさせるような何かがあったわけじゃないけれど、胸がざわついて……周りに誰もいなかったら泣き出していただろう。
彼を思い起こすのはきっとこれが最後だと思う。もう終わったと思っていた恋は、あの瞬間、本当に終わった。
彼のことを思い返してみて、ふと気付いた。
彼とメールを始めたのは1年前だということを……。
たった1年。確かな何かがあったわけじゃない。
でも……
でも……
消せない時間。
さようならは告げなかった。
明日また
そんな言葉で終わった関係。
きっともう連絡は来ないだろう。
それでも
また明日。
このような形式で書いたものを小説といっていいのかよくわかりません。
独白のみで語られているのは、自分自信が誰にも話せないことを吐き出した感情を、アレンジして小説に仕立ててみたからですが……小説なのかな~と自分でも悩んでしまいました。
作中に書けなかったけれど、一度だけでもいいから紗柚は藍の心からの笑顔が見たかった。その笑顔を見られるだけで、残りの人生一人でも生きていけただろうと思います。