第7章
藍さんに嫌われた。
彼にアクセス拒否をかけられ、彼のスペースにアクセス出来なくなり、メールの返事もこなくなった。
全てがどうでもよくなり、中国語検定の試験さえも放棄したくなった。試験勉強もやる気が無くなった。
それでも、なんとか自分を鼓舞して試験は乗り切った。
けれど、試験が終わった後は、不合格確実だったので中国語を勉強することを止めてしまおうと考えた。関わりたくなかった。彼との連絡さえも全部絶ってしまいたかった。フアリィを退会して、携帯の番号も変えてしまおうと思った。
何度も彼に送ったメール、彼から送られたメールを消してしまおうと思った。
でも……できなかった。彼には嫌われたけれど、彼と交わした関係を全て無にすることは出来なかった。
躊躇い無く過去を消去してきた私だけれど、もう自分から何かを捨てたくは無かった。例え、彼との連絡が途絶えても、彼と交わした言葉は消えたりはしない。消したくは無かった。
彼からメールが来た。
惚れた方が負けなのだ。
彼から貰ったメールを受け入れた。彼の存在を許した。
謝りもしなかった彼。私を傷つけておいて苦しませておいて……それでも彼に何も聞かずに受け入れたのは、決して彼をどうでもいい存在だと思ったわけでもなければ、彼に同情したわけでも無い。ただ、受け止めてあげたかった。彼の私に対する憎しみや苛立ち、そういう負の感情をぶつけられても、彼を支えてあげられるならそれでよかった。
自分から捨てたくなかったのだ。例え、捨てられても、もう誰かを自分から手放してしまうのは嫌だった。傷つけられてもいい。ただ、誰かを抱きしめてあげたかった。傷ついた心ごと……。それでどんなに自分が傷つこうが、誰かを傷つけるのはもう嫌だった。