第4章
この恋にかけてみようと思う。絶対に上手くなんていかないと思う。
確実に、人生の回り道になるが、最後だと思うから彼に会いたいと思う。
自分から彼に会いに行くことを決めた。
自分の住んでいる所から、他の県への一人旅なんて初めてで、尋常ならざる緊張感でいっぱいだった。旅行の荷物の準備、交通手段の手配、それだけでぐったりしてしまった。無事に行って帰ってこられるだろうか?
旅行の不安で頭がいっぱいでしばらくは何も手がつかなかった。
旅行の当日、旅行鞄を片手に家を出た。無事に辿り着けるか不安しかない。
バスに乗り、電車に乗りひとまず、乗り換えまでは少しは落ち着けるだろう。乗り換えが上手くいくか不安なのだが、初めて乗る新幹線が楽しみでもある。
電車から見る景色はある地点からは始めてみる景色に変わる。見知らぬ景色だが、見える景色は自分の住んでいる所となんら変わらないものだった。日本国内の移動ならそんなものなのかもしれない。地続きの移動に過ぎない。そんなに不安になることは無いだろう。そう自分を落ち着かせようと思うが、昂揚感もあって落ち着いてなんかいられなかった。
特急から新幹線に乗り換えるのに、少し待ち時間があった。ホームの椅子に座り、見るともなしに景色を眺める。しばらく旅行のことばかり考えていて、藍のことを考えていなかった。
このまま進んでいいのだろうか。立ち止まって冷静になると、自分が愚かな行動をしているのではないかと……。
私は乗るはずの新幹線を見送った。