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序章

 彼に愛されないけれど、彼を愛している自分。

 彼は私にとって片翼なのだ。

 比翼の鳥、それは愛するもの同士を指すけれど、全ての人が自分の片翼となれる存在を見つけられるわけではない。翼が無くても飛べないだけで生きてはいける。飛べないけれど、別の人と結婚し家庭を作り家族を作り幸せになれるだろう。


 彼となら私は翼を得て飛べるだろう。でも、幸せにはなれないとわかっている。

 人は愛だけでは生きてはいけない。愛が無くても生きてはいけるけれど……。


 飛ぶ必要など無いのだから。


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