東京メトロ浅草駅ダンジョン 14
一安心し前を見るとそこには扉が開き、虹色に光る入り口が現れていた。
俺は驚き言葉を発せずにいた。
呆然と立ち尽くしていると横抱きに抱えていた百合がもぞもぞと身じろぎをし始めた。
「百合どうした大丈夫か?」
『…?』
百合は状況が飲み込めていないのか周りを見渡し数回瞬きを繰り返している。
どうやら何が起きているのか分からず混乱している様だ。
『…やあ相棒おはようなのだよ。これは一体全体どういう状況なのかね?横になったあと少しウトウトするなと思ったらいきなりこんな状態なのだがね?』
「…覚えてないのか?」
『質問に質問で返さないで欲しいのだよ。覚えてるも何もボクは寝てたのだろう?それに何なのだよこの光を放つ扉は。何がどうなってこうなっているんだい?』
何とも不思議そうな顔でそう言う彼女は先程までの事を全く覚えていない様で、先程から視線を至る所に向けて落ち着かない様子の彼女に先程までの事を説明する。
説明し終えたがこの先に進むのか、それとも留まりこの場の調査を優先するのか決めなくてはならないだろう。
好奇心の強い百合の事だ、言うまでも無くどちらにするかなど決まっているがこれも様式美みたいなものである。
説明中に落ち着いたのか俺はさっきまでとは違い輝いている見える瞳で扉を一心に見つめる百合に問いかける。
「説明は以上だ。質問はあると思うがそれより先に決めないといけない事がある。その様子だと聞くまでも無いと思うがどうする?」
『説明感謝するのだよ。まさかそんな摩訶不思議な事が起きていたなんて思ってもみないのだよ。それは進むかここに留まるかと言う質問かい?相棒ボクがこの興味深い現象に対してここに留まるという選択をすると思うかい?』
好奇心を刺激されたからか、テンション高めの百合は子共の様な楽し気な笑みを浮かべるとそう返してきた。
「質問に質問で返してるじゃないか。いや、愚問だったな。すまない聞いた俺の落ち度だ。…それじゃあ行くとしますか。」
『うむ!では行くとするのだよ。』
「いや降りる気は無いんかい。」
元気の良い返事をしたのに全く降りる気のない百合にツッコミを入れつつ俺は扉をくぐった。




