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東京メトロ浅草駅ダンジョン 12

俺は脇に抱えた百合を横抱きに抱え直し、湖に向かって歩みを進めた。



足の裏に魔力を纏い円形に広げる。

湖の上に一歩踏み出し水面に立てる事を確認した。


違和感のある特殊な魔力に一抹の不安を覚えたがこちらの魔力が霧散したり、魔力操作が邪魔される様な事はなくて一安心だ。

静かな空間に水の揺れる音だけが響く中、数m歩くと水面下に何かが動く気配を感じる。


今まで魔力を抑制して息を潜めていたのか、それとも単純に俺の察知能力が妨害されているのか。

詳細は分からないが厄介な事には変わりない。


その気配の持ち主は俺の足元を囲む様に水面下をグルグル回り続けている。

まるで何者であるかを見定められている様だ。


敵意があるのか無いのか分からないのも厄介な所だ。

警戒してみているが、先程から付いて来て周りを回っているだけで襲って来たりはしてこない。


こちらから攻撃してみてもいいのだが、俺もこの場所の雰囲気にあてられたのかあまり荒事を起こす気になれなかった。

俺は少しだけ魔力を放出し追い払う事にした。


「何もしないなら湖の中で大人しくしておいてくれないか?」


何となくそう声を掛けるとその気配の持ち主は俺の正面で動きを止め、先導する様に祠と思われる建物に向かい始めた。

最初は気のせいかと思ったが、俺が止まれば止まり進めば進む。


何だか散歩中に何度も振り返る飼い犬の様だ。

そう思うと何だか可愛く思えて来た。


この動きでこの気配の持ち主は確実にこちらの動きを見て動いている事が分かる。

恐らくだが俺をその場所に案内したいのだろう。


もしかしたら最初に俺の周りをグルグル回っていたのも俺に気付いて欲しかったからなのかもしれない。

向かう方向も同じなので俺は取り敢えず謎の気配の後を付いて行く事にした。

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