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東京メトロ浅草駅ダンジョン 11

そこには植物が所々に生えた岩肌に囲まれ上空から日の光が降り注ぐ神秘的場所に、透明で美しい湖が広がっていた。 



目の前に広がる湖面にはあの魔力が膜の様に覆われているからか湖の中は感知がしにくい。

感知能力の低い者ならば何も感じずただの湖としか思わないだろう。


「湖には到着したが思っていたよりも随分と大きいな。この湖にアイテムを浸ければいいのか?それにしては広大過ぎる気がするが…。百合はどう思う?」

『…。』

「百合?」


反応が無く抱えたままの百合に目を向ける。

もぞもぞと動き抱えられる事に抵抗はしている様だがその動きは弱く、あまり抵抗を感じない。


目も何処か虚ろで湖の向こう側をじっと見つめて視線を逸らそうとしない。

目に魔力を集中し百合の見ている方を凝視すると、恐らく魔力により隠蔽されていた祠の様な建築物が見えた。


しかし変だ。

俺が魔力を使ってやっと見えたモノが百合にはみえていた事になる。


そして少し前からの百合の様子がおかしい事。

もしかしたらアイテムの呪いに何かしら変化があったのかと思い百合の指に嵌まった指輪を見る。


魔力に変わった所は無いが、何となくその存在感が増しているように見える。

その変化は微々たるもので頻繁に魔力を調整していた俺が注意深く見ないと分からない程だ。


だが最初の様な悪い感じはしない。

何かを主張する様な、望むような意思を感じる。


アイテムが意志などと思うかもしれないが、人を呪おうなど相当な意思でないと出来ない事だと思う。

呪いが意志ならばその意志の込められたアイテムに意志があってもおかしくはないだろう。


「どうやらあそこに行きたいみたいだな。」


俺は今の百合の状況とアイテムから感じる気配にそう解釈する事にした。

ならば百合の意識を返してもらう為にもあそこに向かう他あるまい。


俺は脇に抱えた百合を横抱きに抱え直し、湖に向かって歩みを進めた。

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