表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/132

元教え子 東 紅 2

俺は心の中で溜息を吐きながら彼女の後に続くのだった。



移動中の軍用車の中で、俺は各部隊に連絡を取り現在の状況把握と、その状況に応じた指示を出し。

紅には潜る際の事前の手続きをやってもらっていた。

そちらは事前に連絡が行ってるので、着くころにはすぐにでも潜れるだろう。


「各部隊に指示は出し終えた。到着次第すぐに潜るぞ。」

「はい、こちらも許可が下りました。事前に連絡が行っていたとはいえ、こんなに早いとは…」

「あんまり勘繰りすぎるなよ、考えたところでいいことなんてないからな。それに、今回は緊急事態だ。」

「それはそうなんですが…。」


彼女は資料を見ながらそう答えるが、納得がいかないのだろう。

なんせ一般の行方不明者の捜索ならここまで大事にならないし、投入されるのも多くて二小隊、部隊が、しかも隊長が潜るなんてまずない。

ダンジョン攻略にその人員を割いた方が確実に利があるからだ。


そもそも世間でのダンジョンの行方不明者の扱いは、基本自業自得であり、救助隊が発足されなくてもしょうがないといった感じである。

しかし、家族や友人のような身内となれば話は変わるだろう。

先ほど見た光景がそれだ。

あの場所にいた人達は、一縷の望みに賭けてあの場に居たのだ。


卒業式の当日、ダンジョンで被害に遭う人達を少しでも救いたいと、力強く真っ直ぐな目で語った彼女からすれば、今回の件はあまりにも不平等で、納得がいかないものだと思うのもしょうがない事だろう。

心なしか資料を持つ手にも力が入っている様にも見える。


「気持ちは分かるし理解も出来る。だが今は目の前の任務に集中するんだ。俺達が早く見つければ、それだけ二次被害に遇う人を減らせる。幸い行方不明者の座標はそんなに深くないし、第二部隊も優秀だ。直ぐに見つけてくれるさ。」

「そう、ですよね。すいません先生、目の前の任務に集中します。」

「…。そうだな。頼りにしている。」

「…っ!はい!お任せください!」


彼女から力強い肯定の言葉が発せられると同時に車が止まった。

如何やら目的地に到着したようだ。

本来任務中に先生呼びはあんまりよくないのだが、今回は見逃すことにした。

誰も見てないし、運転手も聞いていない、それならば好きに読んでくれた方がお互い楽だろうし、堅苦しい呼び方はそもそもむず痒い。


「着いたみたいだな、行くぞ。」


俺は彼女に声をかけると、ドアを開けて、第二部隊の駐屯地へ向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ