東京メトロ浅草駅ダンジョン 7
俺は此処の違和感と百合のマイペースさに一抹の不安を覚えながらも先に進んだ。
青い結晶の生えた洞窟を百合の気の向くままゆっくりと進む。
この洞窟は結構深い様で、未だに湖には辿り着いていない。
『ふぅ。久しぶりの野外ワークで少々はしゃぎ過ぎたのだよ。』
「…少々か?」
『少々なのだよ。本来なら中々ないこの機会に色んな機材を持ち込みたかったのだよ。しかし今回の主な目的は例の湖の調査。多少の採取や考察は可愛いものだと思って目をつぶって欲しいのだよ。』
「…分かった。本来ならあんまりダンジョンに潜って欲しくは無いが百合はそれ専門の研究者だもんな。こんな機会の時くらい好きにすればいいさ。」
『感謝するのだよ相棒。』
そう言いつつ百合は辺りを見回して興味を引くモノがあればバッグに詰めていく。
俺はそれを眺めつつ偶に重くなりそうな物を受け取り自分のバッグに詰めたり、周辺の魔力と気配に気を配り何時でも動ける様に構えておく。
『しかしこの洞窟中々に深く続いているのだよ。かれこれ1時間近く経ったというのにまだまだ先がありそうなのだよ。』
「そうだな。モンスターの魔力反応は無いが結晶から出ている魔力はまだまだ先にも反応がある。一度ここで休憩を挟むのも良いだろう。コーヒーと焼き菓子を数種類用意してるぞ。」
『朝食を取り損ねたからそれはありがたいのだよ。ではお言葉に甘えるとするのだよ。』
俺は俺個人所有のバッグからクッションとローテーブルを取り出し設置する。
クッションに百合を座らせるとバックから更に焼き菓子の入った箱とコーヒーの入った魔法瓶、マグカップを取り出し机の上に並べた。
『相変わらず相棒のそのバッグはとんでもない性能をしているのだよ。元々はもっと大型だったのだろう?』
「ああ、元々は背負うぐらい大きかったんだが今はこの大きさに落ち着いたな。」
『相棒のそれも不思議アイテムなのだよ。何時か調べてみたいものなのだよ。』
「思い入れのある品だから勘弁してくれ。」
百合のマグカップにコーヒーを注ぎ砂糖を渡す。
軽く雑談し小休止をとった。




