緊急臨時隊長会議 8
それなりに付き合いのある隊長達だ、誠意を以って対応すれば譲ってくれるだろう。
そうして少し経ち、会議開始直前で隊長最後の1人の女性がノックもなしに扉を開け現れた。
急いで走って来たのか肩で息をしている。
「間に合いましたわ!」
息を切らせながら入って来たのはメディアに露出し、主に広報の仕事をしてもらっている第五部隊隊長 白金 瑠璃華。
適合者になり発現した白い髪を膝程まで伸ばし、深い青の奇麗な瞳は覗くと吸い込まれそうな感覚に陥る。
スラリと高い背に女性らしいプロポーション、そして人形の様に整った容姿は老若男女問わず人を惹きつけメディア番組や企業CMの仕事に引っ張りだこだ。
更に通常業務も務めている、隊長達の中で一番有名で一番忙しいのは彼女だろう。
「時間ギリギリになって申し訳ありませんわ。番組のプロデューサーにしつこく言い寄られまして遅くなりましたの。」
「それは大変だったな。いつもイメージ向上の為に奔走してくれてありがとう。急いで疲れただろう?取り敢えず席に着くといい。」
「心遣い感謝いたしますわ。本日はよろしくお願いします。」
そう言うと彼女はとても奇麗な所作で宛がわれた席に歩いていき、他の隊長達に挨拶した後席に着き息を落ち着かせた。
取り敢えず隊長全員が時間までに揃って一安心したところで会議開始の声を掛ける。
「定刻になりましたので、これより緊急臨時隊長会議を開始します。お手元の資料を確認してください。」
早めに来て資料を見ていた者と時間が無くて見ていない者で反応は違ったが今回の会議は滞りなく進んでいった。
最終的に当初俺の考えていた俺と百合の共同の調査及び研究は認められ、その後は調査が終わり安全性が確保されてからという話に落ち着いた。
勿論だが何の見返りも無く俺の希望がそのまま通る事は無く、今後各部隊に激励という名の手伝いに行くことを約束した。
その程度の事でいいなら問題あるまい。
そして会議から数日後、俺は浅草に出来た新しいダンジョンに潜るのだった。




