稀代の天才 黒川 百合 16
流し目でドヤ顔をする彼女に苦笑交じりにそう返した。
話が大分逸れてしまった。
結構話し込んでいたし、そろそろ本題に戻るとしよう。
「礼の件は後で考えるとして、要はその湖にその指輪をどうにかする効果が有るかもしれない為調査に赴く。この認識で大丈夫か?」
『その認識で間違い無いのだよ相棒。思い出したら研究欲が刺激されて居ても立ってもいられないのだよ!いつ向かおうか?』
隈があるものの、その奇麗な黒い瞳をキラキラと輝かせまるで遠足が待ちきれない子供の様にはしゃいでいる。
最初のしおらしさは何処に行ってしまったのかと言いたかったが、何時までもあの様子だと此方も調子が狂うので触れない事にした。
「直ぐには難しいだろうな。沼須喜さんから該当のフロア等は聞いているのか?」
『それがだね、彼女からは相棒なら直ぐに分かるとしか言われてないのだよ。ボクも当時忙しくてそれもそうかと思って深く聞かなかったのだよ。』
「俺に対する謎の信頼ありがとうな。」
俺の周りの奴等は俺を何だと思ってるんだ?
今度部下達に聞いてみようかな…。
「取り敢えず秘書や部下にスケジュールの変更が出来ないか聞いてみる事にするよ。決まり次第伝えるから何時でも大丈夫なように準備だけはしておいてくれ。百合は都合のいい日はあるか?」
『幸いな事に前の研究はひと段落付いているのだよ。今のこんな状態じゃ下手に何かする訳にもいかないし、解決するまで休む事にするのだよ。と言う訳でなるべく早く解決してくれると助かるが、何時でも大丈夫なのだよ。』
「了解した。なるべく百合の希望に添えれるように手配しよう。」
『感謝するのだよ。』
その後準備する物や当日の動きを軽く話し合い俺は百合の研究室を後にした。
結構な時間離れていた為、帰った時には秘書のお説教があったのは当然の帰結であった。




