12年働いた職場 4
そうこの無駄に長くて、無駄に仰々しいのが今の俺の肩書である。
切り替えよう。
「現状は?」
「救出は難航している。何せ時間が経ち過ぎているし、二次被害に発展している。更に場所は旧新宿駅ダンジョンときた。」
「それはまた厄介な所に…。第二、第三部隊は今何を?」
よりにもよっての場所である、ある意味なじみ深い。
「第二部隊は待機、第三部隊はこれ以上の二次被害を防ぐために、警察と連携して、ダンジョンの封鎖に動いてもらっている。」
「なるほど、ならば第二部隊は二次被害に遭っているフリーランスの救出を、第三部隊からも一部をこちらに回します。警察に連絡して封鎖の警備の増援をお願いします。お孫さんの救出は私が行きます。ダンジョン内時間なら、生きてさえすればまだ間に合います。」
ダンジョン内の時間は外の4分の1、どんな装備で潜ったのかは分からないが、多少の食料と水は持ち込んでいるだろう。
運が良ければまだ助かる。
「それは頼もしいな、その様に手配しよう。」
「ありがとうございます。では早速向かいます。」
「待ちたまえ。」
足早に出て行こうとする俺を、上司が止める。
少し苛立ち交じりに振り返り理由を問う。
「何でしょう、急ぎなのでは?」
「そうなのだが、今回は同行者を連れて行ってほしくてな。」
「不要です。一人の方が早いので。」
「そうかもしれないが、今回は必要なことなんだよ。」
何故?とも思ったが一つ思い当たる節がある。
俺は黙って先を促した。
「今年は君の意見で創られた学校で、最初の卒業生が出ただろう?彼らは皆優秀だと聞く、私の孫娘もそこにいてね。」
その言葉に嫌な予感がする。
「今回の君の任務に同行させてもらいたいんだよ。」
嫌な予感が当たった。
主人公は孫娘が卒業生にいたことは把握しております。