元教え子 東 紅 40
無事仕事が終わりそうで緊張が緩んだのからか、お互い冗談めかして笑い合った。
要救助者の3人を運び入って来た扉を開け、その扉の前で待機する。
紅に第二部隊への連絡を任せ、俺はコーヒーを淹れるためのお湯を沸かす。
「第二部隊と連絡が取れました。現在救助した方々をダンジョンの外に護送しているらしく、もう少し待機していて欲しいそうです。第二部隊も大変だったみたいですよ。」
「連絡ありがとう。了解した。まあ、此方の発見した人達も一部だろうからなぁ…。」
【獅子の星】の残りのメンバーも見つかって無いのも気になる所。
此方で見つかって無いだけで、他の所で見つかっていれば良いのだが…。
「はい、彼方の方もかなりの数のトラブルに見舞われた様ですね。重傷者はいないみたいですが、怪我人も出たそうです。」
「そうか、怪我した者は不運だったがこのダンジョンに潜り、トラブルの対応もして被害がそれだけなら僥倖だな。」
潜って直ぐのモンスターは危険度の低いモンスターばかりだったのであわよくばと思ったが、やはり全員無傷とはいかなかったか…。
後で見舞いに行くとしよう。
「それと周辺を警備していた第三部隊から連絡があったらしく、2時間程前に【獅子の星】のリーダーである獅王子 世地が部下を複数人引きつれてダンジョンから出て来た様です。その際潜った隊員の数や隊長格の投入があったか等の質問をしたそうですが、対応した隊員は質問を拒否し即時の退避を指示した様ですね。その際に多少のトラブルがあったみたいですが…。」
「そうか。まあ、これでつかえが取れたな。対応した隊員は災難だったがな。お湯が沸いたぞ、第二部隊から追加の連絡があるまで休むとしよう。これ、東の分な。」
「そうですね、ありがとうございます。」
紅にビスケットの入った包みを渡し、アルミのカップ2つにコーヒーの粉を入れお湯を注ぐ。
ダンジョンの空間にコーヒーの香りが漂った。




