元教え子 東 紅 38
その魔力をドリルの形に形成、回転させて、力を込めて打ち出した。
空を切る轟音と共に打ち出されたそれはモンスターの中央部分に命中、体を抉り貫き木端微塵に四散させる。
鳴き声を上げることもなく壁や天井、床に体の一部だったモノが飛び散り肉を打ち付ける湿った音と共に張り付いた。
驚いた事にそんな状態になってもまだ生きている様で、再生しようと肉が集まろうとしている。
途轍もない生命力か、執念か…。
「東は比較的大き目のを頼む!私はその他を徹底的に破壊する!」
「はい!」
動きながら指示を出し、目の前で他の肉と合流しようと動いている欠片を魔力を纏った足で潰す。
肉を踏み潰す不快感に眉を顰めながらもひとつずつ確実に処理していく。
少し離れた位置から紅の言霊が聞こえ、その業による熱を感じる。
彼女の方も順調に進んでいる様だ。
ここまで来たら最早モンスターに抗う術は無く、俺達に殲滅されるのは時間の問題だろう。
そう思った瞬間には紅の広域攻撃用の言霊が発動したらしく、周りには潰れた肉片と黒く焦げ付いたナニカしか残されていなかった。
「気配も魔力反応もない、討伐完了だ。お疲れ様。しかし言霊の並列発動も出来る様になっていたとは…。成長著しいな、元教師としては嬉しい限りだよ。」
「ありがとうございます!前々から挑戦していたのですが、今回初めて成功しました!これも先生のお陰ですっ!」
新しい技術を会得したのが相当嬉しかったのか、興奮冷めやらぬといった様子の彼女を見て何だかこちらまで嬉しい気分になる。
それもそのはず、これが出来るのは覚醒者でも1%未満なのだから。
「俺が教えたのは触り部分だけさ、出来る様になったのは間違いなく君の努力の賜物だよ。本当におめでとう。」
「っ!先生っ!」
「さあ、飲み込まれていた3人の安否確認と魔力結晶を回収するぞ。」
今にも飛び込んで来そうな紅を牽制しつつ次の行動に移るべく動き出した。




